工房設営 その7 レーザ加工機再起動

自作レーザ加工機



 
作製中のCOB LEDライトですが、電気系はできてソフトも組んで動作確認まで終わりました。あとは実装ですが、ここにきて実装するためのアクリル板を切り出す必要があるのですが、アクリル板を切り出すためのレーザ加工機はまだ引っ越しして持ってきたままの状態です。レーザ管すら乗っておりません。
ということで、いずれやらなければいけないこの作業を一気に進めました。

取り合えず置いただけのレーザ加工機本体を、

作業台の上に移動させます。アイランド状に作業台作ってますので非常に楽に調整が出来そうです。

カバー外して各部の損傷状態を確認します。問題ないようです。
MDFで作った筐体ですが、YAMAGUCHI MINI MAKER FAIREで山口市往復、横浜基地を往復、と随分とトラックやら車やらで運んで回りましたが、全く持って故障知らずであります。

組み立てていきます。
まず外していたレーザ管ホルダ(後)から。

ここはねじで止めるだけ。あちこちゆるみが出ていたので増し締めをしておきました。

ここにレーザ管を乗せます。まだ運んできたときのままの状態。振ってもカラカラ言わないので割れてはいない模様。しっかりした梱包してよかったです。

出して、

どきどきしながらエアキャップ開きます。大丈夫の模様。

電極周りが最も気を使うところですが、問題ないみたいです。
金属とガラスが接していますので、どうしてもガラスの濡れが悪く、また膨張率も違いますのでクラックが入って真空が破れる原因になりやすいところです。

反対側の電極も問題なしです。

冷却水配管の接続部分も割れ無し。

では乗せていきます。第一ミラーの直前にレーザ管の射出口が来るこんな配置になります。

まずレーザ管を乗せるベース部分の水平を確認。

次にレーザ管の水平を確認。水平になっていないときはホルダの3本のネジを調整して水平になるようにします。最初の位置決めが肝心ですのでしっかりと妥協なくやります。

お次、冷却水配管です。ホームセンターで新品のチューブを買ってきました。チューブは消耗品です。

随分と久々にフロント開口部を開いて中を掃除します。

CO2レーザ光が下まで抜けたときのために床面にはタイルが敷き詰めてあるのです。これをどかして下まで落ちてしまった切りくずを掃除機で吸い取ります。

なんじゃかんじゃとゴミが落ちております。

ここでレンズ外しておきます。ZnSeで出来ていて、CO2レーザの発振波長10.6umに対して透明度の高い材料です。

普段はこのキャリッジの下に入っております。

これがキャリッジ。キャリッジには第三ミラーも乗っています。

この機会にY軸の直交と、

Z軸の水平を出しておきます。ほとんどずれはありません。

Z軸の昇降モータは筐体の底部外についておりまして、昇降ステージを二か所で支えて上下動させています。こちらは右側。

そしてこちらが左側。この二つのモータは一つのモータドライバに直列接続されています。こうすることで(脱調を除いて)両者の回転はぴったり一致します。

では冷却水配管を繋いでいきます。これが結構気を使います。というのも、このホースを緩みなくきっちり取り付けるためにそれなりの力を入れてジョイント部に押し込むのですが、これが怖いのです。なんせ相手はガラスです。しかも何とも折れそうな効力集中点に向かって力をかけないといけないというかなんというか、とにかく折れそうで怖い作業です。ゆるいホースでは漏れる可能性があり、硬いホースではガラスを折る可能性があり、といったことで気を使うのです。

少しでも作業を楽にするために私はいつもこのワセリンをジョイント部に塗って滑りを浴しておいてホースを押し込みます。ワセリンがあると押し込んだ後抜けてしまような不安もあったのですが、今のところノントラブルで来ています。おすすめ。

レーザ管の冷却配管口は向かい合っていますので一方向にホースを引き出すには工夫が必要です。私はこのようなU字管をつくって方向を反転させています。それにしても汚いガラス細工、というか細工でもないですね。ほんとは曲げるときに吹いて形を整えないといけないのですが、これはただ曲げただけ、波打っております。学生実験でやったら原点もらうところですね。

みら太な日々的には結果オーライなのでこれを今回も使います。
筐体の後部に固定して、

こんな感じにホースの方向を反転させます。ホースを曲げてもいいのですが、もし折り目がついて冷却水が止まった場合を考えるとやめた方がいいです。冷却なしでレーザ管を動かすとあっという間に出力が落ちて復帰しません。

反対側も同じように接続します。私は冷却水がこちらの射出口側から流れ込むように配管しています。ここは陰極を接続しますのでプラズマの陽イオンが電極にアタックしてきます。陽イオンは電子に比べるとけた違いに重たいので、その運動エネルギーが衝突によって解放される陰極側は温度が上がります。そのため陰極側は電極そのものが冷却水配管に接しており、電極も冷却されるようになっているのです。
管全体の冷却はもちろん大事ですが、その中でもこの陰極が最もデリケートです。よってこちらにより温度が低い冷却水が入ってくるようにしているということです。ちょっとした気遣いですが、レーザ管の寿命を延ばすためには大切なことだと考えています。

パイプの接続部はタイラップで縛ります。このタイラップを縛り付けるときがまた怖いのなんの(笑

これで事前準備は完了です。

本来の設置位置であるこの台の上に移動させて、

排気系を繋いでいきます。

加工機後部の排気口にフレキつないでテープで漏れが無いようにぐるぐる巻きにします。

フレキの反対側は排気ブロアの吸い込み口に繋ぎます。

が、この排気ブロアの吸い込み部は大気解放状態で使うことを意図されているようで何も吸い込み口を接続するようなとっかかりが無いのです。

ということで、このフレキの先端をこのように無理やり、

たすき掛けにして繋ぎます。

とりあえずこの位置に置いて窓の外に吹き出せるようにしておきます。

工房は住宅街の中にありますので、今後は消臭を考えていかねばならないなと思っておりまして、すでにウルトラ低価格の脱臭機の構想を終えております。そのうち作って効果のほどを確かめる予定。

接続が済んだ配管は、

先端に浸漬式のポンプをつけて冷却水タンクに沈めます。

お次、電気回り。結構たくさんあるので大変です。コンセントが沢山必要です。

モータとロジック駆動用の12V電源と、レーザ管駆動用の超高圧電源。

まずは気を使うレーザ管の配線から。
その中でもGND比15kVの電圧がかかる陽極配線をします。といっても、被覆を剥いた出力線をレーザ管の陽極に巻き付けてワニ口クリップで止めるだけ。
そのうちに銀ペーストちゃんとつけたいですねえ。

陰極側はバラスト抵抗繋いでワニ口でつまむだけ。簡単に済ませます。

制御用のPCは横浜基地で使っていたモノをそのまま、と思いましたが、なぜかここではMACH3が起動しません。
MACH3はもともとWindows7/10の動作は保証していません。それでも以前は7で問題なく使えていたのでそのまま使ってました。7/10共に煩雑にアップデートされますので、どこかのタイミングで動かなくなる時が来るかもと思っていましたが、ちょうどこのタイミングだったようです。
しばらく調べてみましたが、MACH3のパラレルポートドライバがポートを見に行った瞬間にWindowsが落ちます、というかいきなり電源ONの状態にまで行きますのでかなりハードウェアの下の方で何かが起きています。警告もブルースクリーンもありません。いきなりリセットです。百発百中で(笑

ということで、しゃーないので以前息子が使っていたHPの古いマシンを引っ張り出してきてやはり以前使っていたwindowsXPのHDDを接続して使うことに。
久々ですWindowsXP。セキュリティー的にはまずいのですが、これ自身がハックされてもなんて被害はないですし、踏み台にされるほど起動時間が長いわけでもありません。
アンチウイルスソフト頼みではありますが、止むを得ません。
もちろんこの環境であればMACH3は何の問題も無く起動。

ようやく光軸調整にかかれます。
例によって焼け焦げ位置確認法でやります。この辺りはここで詳しく書いているので今回は大胆に割愛していきます。
まず、厚紙たくさん準備して、

こんな感じに光路において、

光路長を長くとって、

焼け焦げ位置を見ながらミラーの傾きを調整していきます。

第一ミラーが終わったら第二ミラーへ。

第一ミラー部。こんないい加減なミラーの保持でもなんとかなるもんです。実績が証明しております。

調整が終わりましたら、いつものミクさんで確認です。
動画で。

ええ感じではないでしょうか。

ということで、細かいところはまだ調整の余地があるのですが、本来の作業であるLEDライトを進めたいので、この状態でアクリル切断作業に移ることにします。

コメント

  1. こばたいしょう より:

    みら太さんこんばんは

    丁度私も冷却系をつないでレーザーチューブの配線とミラーの調整
    を行っているところでしたので、同感することろが多々ありました。

    レーザーチューブの配線ですが、電極にハンダも乗らないので
    私もとても悩みましたが、緑色のターミナルブロックをばらして
    中身の部分を配線にはんだ付けして使っています。結構しっかり固定
    できるのでお勧めですよ。(中身のコの字の板は使用しません。)

    レンズの取り付けとレンズを通した試し打ちを完了しましたので
    あとは制御系の調整です。

    冷却系は現在CPU用のラジエータとポンプを使っていますが、
    室温以下にできないのでペルチェを使った冷却を考えています。

    本格稼働したら脱臭集塵機も自作したいですね。

    • みら太/mirata より:

      こばたいしょうさん、今頃何レスしてんだかと自分でも思っております。放置してすみません。
      ご記載の件、締め付けて接触させるということですね。なるほど。
      機械的に固定することは思いつきませんでした、というかワニ口でいいやと思ってました(笑
      銀ペーストくらい塗るかなと思いつつ今まで何もせずに来ましたが、おそらく問題ないんじゃないですかね。酸化物なんかで接触不良になったとしても通電開始時のレーザ管の抵抗に比べればずっと低いでしょうから通電の瞬間に絶縁破壊すると思うのです。
      火花が出るようであればそこで電圧降下しますから対策が必要ですが、何ともなくレーザが出ているんなら放置でいいかもです。

  2. sbin より:

    Windows7でmach3 が起動するとOSが落ちて途方に暮れました。OSも数年ぶりに再インストールしましたが、全くの無駄になりました。
    原因は、.Netが勝手に更新されていたのが原因で、除去したらmach3 が復旧できました。

    • みら太/mirata より:

      sbinさん情報ありがとうございます。遅レスすみません。
      私の症状もこれと思われます。.netか。疑ってませんでした。HDD外してしまってますので、別のPCに繋ぐときに試してみたいと思います。
      有益な情報に感謝です。
      さすがハンドルがsbinなだけありますね。

  3. sbin より:

    MSの悪夢は突然やって来ますね。みら太さんの記事読んでいたらLEDですけど、レーザーカッターをポチしてしまい悪戦苦闘してます。添付されていたCDR読めなかったことでかなり時間を使いました。ソフトもマニュアルもオール中国語で難儀してますが、オリジナルを見つけたので、取り敢えず書ける事が確認できました。最終的には、arduino で組み直した方が早いかも知れません。取り敢えずgcodeを読み込むモードはあるようなので、カットに挑戦してみます。カットデータも灯台下暗しで、NCVCについていたので、そぐ試せそうです。

  4. みら太/mirata より:

    sbinさん
    レーザ加工機、というかステッピングモータを使った軸系のコントロールで最も手軽で情報が多いのはGRBLでしょう。レーザ加工機よりもCNCの人たちの活動を追えばまずほとんどの情報が手に入ります。
    GRBLではラスター描画ができないのがなやみでしたが、最近はLaserGRBLというフリーのソフトが出ています。
    お試しあれ。

  5. sbin より:

    貴重な情報をありがどうございます。現在はEleksCAMと言うのとコピー版を試しています。
    読み込み種類と動作モードは手動です。
    LaserGRBL良さそうですね。Inkscape svgもそのまま読めて自動認識してくれて素晴らしいですね。私のはGRBLが多分 GRBL0.9だと思います。
    エンジンもUNOで無くNanoなのでハイスピードを使わなければ動くかも知れません。取り敢えず試してみます。現在のEleksCAMで初めて書いた時に45度斜めに書いていたのでなんでだろうと思っていましたが、LaserGRBLの動画も斜めに書いていてコードを最適化すると斜めになるような事をT2laser の開発者の人が書き込んでいて勉強になりました。