レーザスキャンプロジェクタ HD301D1

買ったもの

 
ここのところプロジェクタが来ているみら太な日々であります。
もう一つプロジェクタネタを。
買ってみましたレーザプロジェクタ。しかもピコプロジェクタです。

これ。HD ピコ レーザー プロジェクター 自作キット for Pi [HD301D1]

18,150円と中華フルHDプロジェクタとほぼ同じ値段がしますが、手のひらサイズ、レーザ方式と、みら太な日々的にはストライクゾーンの真ん中よりであり、何よりプロジェクタが来ている現状に乗って勢いで買ってみました。使い道は謎(笑)ですが、所有に対する欲求は半端ないです。

実はわたくし前職でピコプロジェクタの企画段階のプロジェクトに参加したことがあります。ある日役員に呼ばれて「お前この手は好きやろ」とのオファー。もちろん二つ返事で引き受けました。ほかに仕事抱えているとか関係ないのです。もうずいぶん前の話です。
実はこのプロジェクトにはマーティーさんもいらっしゃったんですよ。

といった経過もあり、ピコプロジェクタについては様々思いがあるのです。
ピコプロジェクタは今でこそ珍しくない、というか一時ブームになってそれも終わった感があります。結果として市民権を得たとは言えず、依然として色物扱いであります。
色物扱いの理由は様々あると思いますが、暗い、画質がいまいち、つかどこで使うんだよ、といったところかな。
いろいろむつかしい製品ジャンルだとは思いますが、それを補って余りある魅力があるのも事実です。「男の子ってこんなのが好きなんでしょ」ままであります。

さて、そんなピコプロジェクタはすでに多数市場に投入されており、Aliexpressでちょいと探せば数十種類の製品が並びます。が、今回みら太な日々が購入したこのプロジェクタはそれらとは一味違います。
私が見た限りではAliexpressにあるピコプロジェクタのほとんどは液晶方式。一部DLP方式といった感じです。これに対して購入品はレーザ方式、さらにレーザスキャン方式であります。
このあたりは非常に分類が面倒なんですが、ざっと分けると、

  • 液晶方式:
    液晶に写した像を投影するもので、基本的には家庭用とかプロジェクションマッピングに使われているような大型プロジェクタまで同じような考え方。透過型と反射型があるけど、ピコプロジェクタはほとんどが反射型のLCOSを使ったタイプ。
    光源はほぼすべてRGB LED。
  • DLP方式:
    テキサスインスツルメンツが発明したDMDというMEMSデバイスを使ったもの。小さな鏡がXGAとかで並んでて、ピコピコというか数十kHzで向きを変える。そこにRGB時分割した光を反射させて像を作る。これも光源はほぼすべてRGB LED。
  • レーザスキャン方式:
    RGBのレーザビームを二枚のガルバノミラーでスキャンして像を作る。

といった感じ。レーザ方式にはレーザを光源として使うLCOSまたはDLP方式なんてのも考えることができるあたり面倒です。
で、購入したレーザスキャン方式ですが、この方式の最大の特徴であって、私に購入を決断させたポイントは、レーザスキャン方式は距離に無関係にピントが常にあっているということです。レーザスキャン方式では、画素を構成しているのはスキャンされるレーザビームの断面なので、ビームがコリメートされていればピントは距離に無関係に常に合うのです。
よって、ピント調整という概念はありませんし、投影面が曲面だろうが何だろうが常にピントはあっています。投影される像は歪んだとしてもボケることは無いのです。

私はこのレーザスキャン方式が大好きで、件のプロジェクトでもこの方式の採用を強く勧めたのですが結果的には実現できませんでした。それは安全性の問題です。
ご存知のように、レーザにはその出力によってクラスが決まっていて、当時プロジェクタに使ってもよいと考えられていたレーザのクラスは1から2でした。民生品である以上プロジェクタを正面から見ても目に障害を与えないレーザ出力に抑える必要があったのです。
このクラスのレーザの出力はせいぜい数mWですから、いいとこレーザポインタ程度です。
「レーザポインタも十分明るいやん」と思われるかもしれませんが、プロジェクタではこれをスキャンします。よって一点にレーザが照射されている時間は投影面積分の1となり、任意の点で見たときの明るさはレーザポインタの数千から数万分の1になってしまいます。つまり、とても売り物にならないようなものすごく暗い画面しか作れなかったのです。

例によって恐ろしく長い導入部を経ての本題です。
モノはレターパックで届きました。プロジェクタがレターパックで送られてくるとか感動ものです。

KSYさん長野なんですね。水害大丈夫だったかな。

光学機器は信州のイメージがあったりしますが、心臓部は中国製です(笑

開梱。

実はこれ完成品ではなくキットになっています。なんでここに一段試練を設けるのか謎ではあります(笑

組み立てに関してはこの辺に記事がありますのでこの辺ちらちら見ながらやります。
取説の説明も完璧なので特に難しくはないです。

まずは放熱板の貼りつけから。

ここに載せます。
一番発熱するのは光源&ガルバノミラーモジュール部分ですが、そこは元から放熱筐体になっています。

放熱板には両面テープがついてますので、

裏紙剥いで

乗せるだけ。

光学モジュールと基板の間はフラットケーブルでつなぐようになっています。

レーザ射出口。レーザは内部でコリメートされますので、射出口にレンズはありません。
レーザスキャン方式ならではの構造です。このあたりが萌えるところ。わかるかな(笑

光学モジュールの先端部分。左側にミラーモジュール、右側にRGBのレーザが並んでいるものと思われます。これを見る限り緑は純半導体レーザのようです。
実はついこないだまで半導体レーザの緑は量産できていませんでした。赤はGaAlInPあたりで、そして青はInGaNで完全半導体レーザが作られていましたが、緑の領域はバンドギャップの関係で良い材料系がありませんでした。ので、半導体レーザでNd:YAGレーザを励起し、SHGで倍波を作って532nmの緑を作るのが良く使われる方法でした。たいていの緑レーザポインタはこの方式です。が、こうするとでかいし効率悪いしで早く完全半導体の緑が求めらていました。ここ数年でInGaN系で緑の発光効率が上がって量産できるようになったようですね。
GaNにInを加えるとバンドギャップは狭くなり、Alを入れると広がります。GaNのもともとのバンドギャップでは青というよりも紫域の発光で、これにInを入れてなんとか青まで持ってきていたのですが、緑まで引っ張ると効率よく光らないという状況が続いていました。このあたりウォッチしていませんでしたので何のブレークスルーがあったのか知らんのですが、効率が実用レベルに到達したみたいです。

また話が逸れました。このあたり異常に好きな分野なものですみません。
フラットケーブル刺して、

繋ぎます。電気周りはこれで終わり(笑 つか電気周りはフラットケーブルしかない。

接続したモジュールをアルミのベースに載せていきます。

放熱テープ貼ります。このプロジェクタは消費電力3Wかそこらですから発熱そんなにしないはずなんですが、しつこいくらい放熱対策がなされています。

ねじ止め。まず基板。

フラットケーブルをこわごわ曲げながら光学モジュールをねじ止め。

樹脂高ナット立てて、

アクリル板載せます。

レーザカット品ですね。このレーザcautionシール欲しいな。どっか売ってないかな。

完成。

実に手のひらサイズです。

早速投影テスト。スクリーンはA4紙。

解像度は720PなのでPCディスプレイとして十分なのですが、この距離ではスペックルがきつめで長時間は厳しい感じです。

fusion360起動してみました。スペックルノイズがよくわかるでしょ

ですが、動画見るには十分です。

机の下の壁に投影。32インチくらいと思われます。
この程度が一番見やすいですね。きれいです。これは使える。

明るすぎて写真撮れませんが、こんなサイズでもちゃんとピントあってます。かわいい。 

背面投射。これだとスペックルノイズはほぼ気になりません。近い時はこれかな。
※設定で画像を反転することができます

動画を少々。明るさとかはカメラで撮っても何の参考にもなりませんが、スペックルのもやもや感はなんとなく伝わるかな。

全体的な、しかしみら太な日々的に偏向した感想としては、小さい、軽い、電気食わないということで、割り切って使えばすごく良い製品と結論します。問題はこれが登場するシーンがどれだけあるか(笑
消費電力少ないので電池駆動のノートPCで十分に長時間使うことができます。おそらくノートPCのディスプレイよりは電気食いません。出張の時にもっていって最終手段のサブディスプレイにするとか、寝るときに天井に投影して動画見るとか。そんな使い方かな。
みんなで旅行行ったときにスマホの写真をいっしょに見るとかにも使えそう。

せっかくなのでもう少し大きな画面に映してみます。スクリーンは100inchまでありますから(笑

これで60インチ位かなと思います。

暗いところであれば十分に鑑賞に堪えます。ずっと見たいとは思いませんが。
この写真ではノイズが目立ちますが、動画で見てるとほぼ気になりません。
それよりも、こんな小さなボディからこの絵が出てくることに驚くばかりです。

いわゆるプロジェクタとしての評価であればいろいろ言う人もいるでしょう。使い物にならないという声も出ると思います。が、先にも言いましたように、この製品はどう見ても一般人向けではない色物です。
みら太な日々的には、レーザスキャン方式だから許せる、いやむしろ評価すべき、そして驚くべきポイントになると感じているのです。ガルバノミラーがものすごいスピードで振動し、それを上回る速度で点滅する完全半導体レーザ光源の動きを想像しながら映像を見ればもうそれですべてが許されるのです。

さて、どこで使おう(笑

コメント

  1. knob.create より:

    私の職場は打ち合わせスペース不足が常態化しており、このプロジェクターを買おうかを考えていました。色々な所で動画はOKだけどドキュメントの投影には文字が潰れて見づらいとレビューされており、なかなか手を出すか悩んでいたのですが、実際どうでしょうか?また明るさ的にオフィスで数人の打ち合わせで使うような場面で使えると思いますか?30インチ程度に映す想定で。