マグネトロンスパッタリング再起動 その1

自作レーザ加工機

 
その後 MakerFaireTokyo 事務局から「スパッタはダメよ」系のメールが来ておりません。
ということは現場で製膜してしまって良いということだと解釈いたします。
もちろん、高電圧かつ大電流を扱いますので万が一にも事故が起きないように準備をする必要があります。
これまでの実験ではすべての機器を机の上に並べてワニ口クリップで配線するという荒っぽいことをやっておりました。これじゃさすがにダメでしょう、つかダメです。
ということで、機器類と配線をそれなりのケースに押し込むことを考えました。

マグネトロンスパッタの実施例のひとつは以下のようなものです。なんか特許明細書臭い言い回し。

結構ごちゃごちゃしています。このほかに右の方にスライダックがあります。
台の上に載っているのは、右上がMOT(MicrowaveOvenTransfomer)と呼ばれる昇圧トランスです。AC100Vを2kVまで上げます。しかも数百mAの電流出力があり、一発で感電死できるレベルの殺人トランスです。電子レンジを分解して取り出します。その左がダイオードブリッジ。逆耐圧12kVという頼もしいダイオードを使います。電流は絶対定格で380mAだったかな。ブリッジの下が高圧コンデンサ。これも電子レンジの中に入っております。で、その下が電流計と電圧計。左下がスパッタを行うチャンバです。
このMOT以降の電気系をケースの中に入れてすっきりさせます。

まず設計。いきなり出来上がっておりますが、こんな感じのレイアウトで行きます。要は見にいらっしゃる皆様が誤って触れたりしないようにしておけばよいのであります。

板材は5mmtのアクリルをレーザカッターで切って作ることにします。

ばらしてdxf化し、NCVCでGコード化するあたりはいつもと同じ流れ。

では作っていきます。
5mmの厚さはそれなりに気を使わないときれいに切れません。

最近はかなり慣れてきました。白化することもほとんどないです。きれいに切れています。

どんどん作っていきます。

切っているところを動画で。

この丸い大きな穴は電流/電圧計が入るところです。

あと一息。

最後の一枚は取り出し部分を動画で

切り欠きやねじ穴部分の切りくずの断面も非常にきれいです。自作のレーザー加工機でも条件をきちんと詰めるとこんなにきれいなカットができるんです。素晴らしい。

さて、全部切れました。

組み立てていきます。使った板が全部透明なのでちょいと見にくいかもしれませんが悪しからず。

切り欠きを穴に押し込みます。レーザ加工機の切り代は非常に小さいので接着剤を使わなくてもがたつきはありません。むしろ木づちで叩き込んでいく感じです。

底板は最後につけます。ここだけは強度確保のために接着する予定。

メーターつけます。

寸法測って設計していますので当たり前ですが、きっちりと入ります。
これがうれしいのなんの(笑

ダイオードブリッジは「見せる取り付け」にすることにしました。
まず、HVM-12のリード線を短く切ってY端子をつけます。

こんな感じにブリッジを作るのです。

どんなふうにするのかというと、このスペーサーを使って、

メーターの横によく見えるように取り付けます。

こうなります。なんかかっこいいでしょ。

では配線していきます。装置っぽくなるようにハンダ付けを使わずに圧着端子をつかって組んでいきます。

なんかかっこいいぞ。

コンデンサへの接続も端子です。

そのコンデンサは、底板にタイラップで固定します。

大体の配線引き出しが済んだので、底板を接着します。エポキシでさくっと。

裏板はメンテで外すときのためにねじ止めするようにします。
ねじ止め用のパーツはちょいちょいと図面を書いて3Dプリンタさんに作ってもらいます。

小さくて単純な形なので30分もかからずに出来上がります。

完璧。

これをここにねじ止めして、裏板を受けます。

あとは、底にゴム足をつけて、

外との接続をするための端子台を取り付けます。右が交流入力、左が直流高電圧出力の端子です。

MOTにもゴム足をつけておきましょう。

いい感じに座るようになります。これが重たいんですよ。

出力の一方はボディにありますので、引き出し用の端子取り付けねじをつけておきます。

仕上げは端子台への配線です。

 完成です。

裏板をつけてみました。怪しい装置の感じがしてなかなか良いです。

こんなのが午後だけの作業でできちゃうんですからたまらないですね。
この図面が、
こうなります。

作ってよかったレーザ加工機、作ってよかった3Dプリンタさんです。
素晴らしい。

コメント

  1. ファインダーの人 より:

    以前フライバックトランスがファインダーの物じゃないかと書き込んだ者です。
    最近の霧箱作成楽しく拝見しておりました。そして久々にスパッタ装置見れて嬉しいです。
    ところで、木材等の加工だと糸鋸でもどうにか加工できるので、いまいち凄さが実感できなかったのですが、大物のアクリル工作物を見せられるとレーザー加工機の威力がひしひしと伝わって来ます。アクリル加工で割ったりヒビ入れたりしてよく泣いてます。
    加工時に力がかからないのでキズも付きにくそうだし、切断面そのままで完成まで持っていけるし、切断面が透明。これは「素晴らしい」!
    もう本当に欲しくなっちゃいます。どうしよう。
    …ともあれ、MFT陰ながら応援しております。

    • みら太/mirata より:

      ファインダーの人さん
      レーザ加工機本当に便利ですよ。ぜひ一台(笑

      そのうち量産型として4号機を設計しようと思っておりますので、完成した暁には格安にて受注いたしますよ(笑
      SmartLaserなんか見てて、似たようなことは私でもやれるだろうと思っております。
      その際はぜひお客様第一号になってくださいませ。

  2. ファインダーの人 より:

    すごくありがたい返信に喜んでコメント投稿したのに、投稿できていなかった事に今気付きました(汗
    操作をミスったようです。
    さておき、ここのブログの記事を見ていると安心して発注できちゃいますよ。ぜひお願いしたいです!制作始まったらまた飛びつきたいと思います(笑

    • みら太/mirata より:

      ファインダーの人さん、ありがとうございます。
      いつになるのかわかりませんけどね(笑
      いまは3Dプリンタを先に作り直そうかと考えているところです
      今後ともみら太な日々をよろしくお願いいたします。

  3. sbin より:

    いやー、素晴らしいですね。DIYでスパッタ できる人初めて見ました。とても真似できませんが、レーザー 加工機は欲しいです。CNCも3Dプリンタもあるので次の次あたりでしょうか。
    ニコ動のスパッタ を何回も観てしまいました。

  4. みら太/mirata より:

    こちらもsbinさん。ともに放置ですみませんでした。
    スパッタは案外簡単です。蛍光灯でも起きてる現象ですからね。
    といいつつ、膜が出来たところで喜んでそのままになってますからレーザ管には応用されていないのが問題です(笑
    まあ、趣味の世界なのでお許しを

  5. camerazilla より:

    はじめまして。カメラのプリズム腐食がしたくて色々調べているうちにこちらに辿り着いたものです。みら太さんの記事を参考にスパッタリング装置自作に挑戦しようと思っているのですが、ターゲットの銅板は、普通の銅板でいいのでしょうか?
    ご教示お願い致します。

  6. みら太/mirata より:

    camerazillaさんどうもです。目的がわかりやすい名前で良いですね(笑
    銅板は銅なら何でもいいですが、真空に耐える強度がある厚さを確保する必要があります。開口部の形状や面積にもよりますが、私が使った瓶の口(70mmφくらいかな)であれば厚みは2mmもあればいいんじゃないですかね。
    ターゲットは結構というか、危険なレベルで熱くなります。冷却対策も考慮ください。
    まあ、私の投稿見てスパッタやろうという方ですからその辺は大丈夫ですね。
    ご不明点がありましたら何なりとお問い合わせください。
    メールのほうが確実かと思います。
     mirata.na.hibi@gmail.com
    くれぐれも事故、ケガにはご注意を。何かあっても私は何の責任も取れません。

    • Unknown より:

      みら太さん、
      早速のご返信ありがとうございます。
      わからない事あればメールさせて頂きます。
      やっぱり、死にたくないですから(^_^;