ブログ開設以来最長の13か月にわたり未更新でしたが、また再開したいと思います。
雪ミクさんをお迎えして以来生活が一変したといいますか、雪ミクさん中心の生活というのは大げさですが、休みの日の多くの時間をドール関連の作業に費やすようになったここ一年でありました。
雪ミクさんお迎え直後からついったのドール関係のフォロワーさんが大きく増え、ここ一年で1000名以上の新しい仲間ができました。今はドールコミュニティ向けにこれまでやってきたものつくりの技で貢献するべく様々な活動をしております。この辺りはものつくり各位にもそれなりにお役に立つ話だと思いますので、今後このブログの投稿にも織り交ぜていきたいと思います。
また私生活でも変化がございまして、今年6月で3年半務めたベンチャー企業を辞め、ひと月の休養を経て8月より近所の大学の職員として働き始めました。
いろいろと変化はございましたが幸いにも健康に過ごしており、方向は若干変わったものの、ものつくりも相変わらず続けております。
現職になって通勤時間も減り、使える時間も増えてまいりましたのでそろそろブログも再開したいと考えた次第です。新ドメインに引っ越して以降、過去投稿のリンクが切れまくっているなど問題を抱えておりますが、そのあたりのメンテもしつつゆるゆると行きたいと思います。
あらためてよろしくお願いいたします。
さて、とりあえず前投稿からの続きにけりをつけるところから着手です。
ここまでの投稿でLPA法についてはすべて説明しました。このLPA法、どこかに必ず先行例があるはずだと思ってずっと調べております。今のところ、かなり昔に北海道大学の研究チームが電子回路基板のパターニング技術としてアルマイトのレーザ処理を使った研究を発表したものがあり、それが最もPLA法に近いなと思ってみております。が、装飾用途では依然として先行例を見つけられておりません。引き続き調べていきたいと思いますが、どなたか情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非教えてくださいませ。よろしくお願いいたします。
ではLPA法を用いて(この一年間も含めて)これまで作ったものをいろいろ紹介していきます。
ではいきます。
まず、しばらく前に作ってtwitterでバズったウッドタグのアルマイト版です。
アルマイト処理していますので、カバンなどにぶら下げて日々持ち歩いていただいてもこすれて消えたりすることはありません。マジでもしもの時には役に立つかもです。
ちなみに営業ですが、こちらのモールス信号タグを含め以下にご紹介しますものはみら太な日々のBoothショップで販売しております。
お次、これももしもの時には役に立つかも。もやい結びの作り方を説明するタグです。
これもBoothにて販売しております(9/21時点で欠品中ですすみません)
すみません、あと3つ営業です(笑
今の時代ならではのワクチン接種済みタグです。早くこんなものぶら下げなくてもいい世の中になってほしいものです。
黒と緑でエリアカラーを作った整理整頓と安全第一のタグです。
カラー染色についてはこの一年で大きな進捗を見ました。色についてはほぼどのようなものでも調色可能になったと思っています。カラーアルマイト/多色アルマイトに使用するインク、調色の極意についてはいずれ別の投稿にまとめたいと思います。それはもうノウハウの塊であります。
営業最後は微細化挑戦した元素周期表タグです。
現時点で存在が確認されたOg(オガネソン)までの全元素の周期表です。
このサイズでも元素記号をはっきりと読み取ることができます。レーザを使うLPA法の長所が発揮されている例です。
ここからはTwitterのフォロワーさんなどからのご依頼を受けて作ったワンオフ品のご紹介です。
まず、ミクさんのサイバーコンソール依頼お世話になりっぱなしの文月さんからご依頼いただいたプラモデル用のネームプレートです。
金属光沢の中にクッキリとした文字がかっこいいです。
(お金をいただいていない試作品です、TAMIYAロゴの使用はお許しを)
お次。これもいずれ投稿にまとめたいと思っているドールさん連れ出し用ハードケースに張り付けるエンブレムです。Twitterでモニター様を募集し、鏡音リンちゃん/メイコさんマスターのへびあたまさんにお願いすることになった時に作ったものです。
単色、エリアカラーのものですが、
この辺りは結構攻めていて、
かなり込み入ったカラー染色に挑戦しています。
最後はSeriさんの雪ミクさんシルエットデザインがあまりに気に入ったので、お願いしてタグを作らせていただいたものです。
これについては制作過程をざっと復習してみます。
まず、Inkscapeでデザインのビットマップをトレースしてベクターデータを作り、タグのデザインに作りこみます。ここでははみ出し&ちょい斜めで作ってみました。
レーザ加工機で50mm幅と大きめのシルバーアルマイト板に描画します。
レーザ処理された板。この時点ではもとからあったシルバーアルマイトがレーザ処理によって変性された跡が見える状態です。まだアルマイト層は剥離していません。
これを熱した水酸化ナトリウム水溶液の中に投入して、変性したアルマイト層のみを剥離します。
両性酸化物であるアルマイト(酸化アルミニウム)はアルカリに溶解していきます。
この時、レーザ処理による変性領域が優先的に溶解することで描画領域のパターニングができることがLPA法の大きな特徴の一つであることはすでに説明したとおりです。
変性領域のアルマイトのみが剥離した状態。
アルマイト層が剥離していない部分の抵抗は無限大ですが、
剥離部分は金属アルミニウムの地金が露出していますので、電気抵抗はほぼゼロです。
これを硫酸水溶液に浸漬し、自身を陽極に、対極を陰極にして電流を流し、陽極酸化処理を行います。これにより、アルミニウム地金が露出した部分のみにアルマイト層が成長します。
処理中の様子。
アルマイト処理が終わった板を加熱した染料に投入して染色します。今回は黒で染色。
数分でこのようにクッキリと染まります。
染色が終わったものを沸騰水の中に投入し、封孔処理を行います。
出来上がり。ベタ塗りが多いデザインでしたが、ムラなく仕上げることができました。
細部もクッキリしています。上出来です。
結構な大きさですよ。
最後に穴あけして、
キーチェーンを取り付ければ完成です。
以上、レーザ加工機で作ったもの、のアルマイト編でした。
一年以上かかりましたが(笑)これで一連の「レーザ加工機で作ったもの」シリーズのご紹介は終わりです。
次回からは昔のペースに戻って定期的な投稿を目指していきます。
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