プリントしたサポート付きのミクさんからサポートを外していく作業をします。
まず、これが今回出力したミクさんのSTLファイル。
これだと何がどうなっているのかわからないので、
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サポートの部分を赤で囲ってみました。こんなにたくさんサポートがついているのです。奥の方や裏の方までびっしりと。
このサポートはデータの作者であるAnimu氏が設計したもので、slic3rが自動でつけるサポート材とは違って太くて剛性のある柱といっていいようなものです。ミクさんとの接続部分だけ形状が絞られており、外しやすさに一定の配慮はなされているものの、これを外していくのはたいへんな作業になりそうです。
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改めてプリントしたものを見ていきます。
髪の先の細い部分もつながっていたりしますので、相当神経を使いますね。
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ということで、最初はこの小さなダイアモンドやすりで接続部分を削り取って行こうかと思ったのでしたが、
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3Dプリンタお持ちの方はお分かりいただけると思いますが、PLAは切削性が悪いというかなんというか、やすりで切断するような作業には向かない材料です。
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試しに一本外してみましたが、時間がかかります。きれいではあるのですが、とにかく時間がかかります。
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サポート材はこんなにあるんですよね。さてどうしたものか。
としばし考えて、
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結局荒っぽい(笑)やり方を採用。超音波カッターを使うことに。
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PLAに対して超音波カッターを使う場合、それは切っているというよりも熱で溶かしていくという表現が正しいと思われます。おそらくホットナイフで作業しても結果が変わらないでしょう。
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とりあえず一ヶ所刃を入れてみます。一撃で切れます。というか溶けます。
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サポートの途中を切って、
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サポートをニッパーで挟んでぐらぐらやると、虫歯が抜けてくるような感覚で柱が折り取られてきます。ダイヤモンドやすりよりは楽ですし、遥かに早いです。
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あっという間にこんな感じにミクさんの胴体が見えてきます。
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後ろも外していきます。後頭部は特にサポート材が複雑に入っています。髪に傷を入れないように慎重に作業します。
奥の方のサポート材を切断するときは超音波カッターの威力が歴然です。ホットナイフだと全体が熱いので奥の方にナイフ突っ込むとあちこち溶かしてしまう可能性が高い、というかまず損害なしに込み入った奥の方を切断するのは無理でしょう。
その点超音波カッターは刃を奥まで突っ込んで、切断ヶ所に当ててから超音波振動をONすれば一瞬で先端だけが加熱されますので周りを傷つけることが一切ありません。
持っててよかった超音波カッターであります。
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おおよそコツをつかんできたところで髪についたサポートを外していきます。
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ここはサポートの方が髪よりも圧倒的に太いので、髪を折ってしまわないようにしないといけません。
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サポートができるだけ小さくなるように切り取って、場合によっては残りをニッパーで一発切断します。その方が細い構造に力がかからずリスクが小さいようです。
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かな~りミクさんが見えてきました。
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背中もほぼきれいにサポートを外すことができました。いい感じであります。
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この辺りから超音波カッターに加えてミニリューターをつかい始めます。
リューターの刃はバレル上のカンナ刃を使い、サポート材の残りやプリント時に生じる玉をざっくりと削り落としていきます。
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これもまたなかなかに地味な作業です。
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サポート材を外したすぐあとはこんなにガタガタがあって汚いですが、
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削っていくとこんな感じにある程度形状が出てきます。もちろんきれいではありませんが、仕上げのベースとしてはこんなもんでしょう。
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全てのサポートを外したところでプリントステージから剥がします。
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外れました。
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細部はいろいろ問題山積みですが、ぱっと見それなりの形状が出ています。なかなかのものであります。
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後ろ。
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横。
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上。頭頂部の髪の分け目もそれなりにプリント出来ていますね。ええ感じです。
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下。フリルの構造がかなり複雑なのですが、それなりにプリント出来ていることに驚きます。元の設計が優れているからだと思いますが、FDMでこれだけの形状が出るとはすばらしい。
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残骸。
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あらかたのバリを取り終えたらリューターの刃を粗い砥石に替えて積層痕を削っていきます。これまた地味な作業なうえに、いくらやっても基本的に積層痕が消えることはありません。気休め程度です。
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フリルのように凹凸が激しいところはきれいにリューターの刃が入りません。この辺りはダイアモンドやすりで手作業です。
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この後数時間研磨作業に集中しました(笑
いいおっさんが何をやってるんだかといったことは一切考えません。ミニスカートを下から覗いていようが太ももをサンドペーパーで舐めるように磨いていようが、心の中は仏像を彫っているか能面を打っているような静かな心境なのであります。
さて、こうやって無心で磨き作業を続けるわけですが、かなしいかなまず積層痕は無くなりません。PLAはABSと違って粘るというかなんというか、削っていったときに消しゴムのカスのようなねっとりとした塊ができるだけでつるっとしないというか、快削ではないというとわかっていただけますでしょうか。
ということである程度予想していましたが、磨き続けてもむなしくなるだけですので、ここで以前より考えていたアイデアを実験してみます。それは積層痕はそのままほっといて、上から樹脂でコーティングをして表面を平らにしてしまおうというものです。
パテ埋めも考えましたが、パテ作業をするには構造が複雑過ぎるかなと。
まずは以前出力したHANAKOさんとUVレジンを使って実験してみます。
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レジンはセリアで買ったクリアを使ってみます。
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365nm 3WのLEDライトを準備して、
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UV樹脂を垂らして爪楊枝で塗り広げていきます。
…もしこれがフィギュアのぶっXX画像のように見えたなら、あなたの心はそうとう汚れています(笑
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UVライト当てます。
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妖しい(笑
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あっという間に硬化して、
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わかりますかね。
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こうすればいいかな。
UVレジンが積層痕の上でレベルしてつるつるの表面が出来ているのがわかります。
思った通りですね。積層痕を消し去ることができるようです。また表面の保護、強化も出来ていると思われます。
今回のレジンは透明なものを使いましたので奥の方に積層痕は見えてはいます。が、着色してやればまず見えなくなるものと思われます。
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着色したければ今はたくさんの種類の色付きレジンもありますし、
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レジンに混ぜる顔料も100均に売ってます。
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この実験はUVレジンでやりましたが、エポキシの接着剤、またはエポキシの接着剤に顔料を混ぜたものでも同様の結果を得ることができます。
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白と青の顔料混ぜたもので実験的にミクさん塗ってみました。
太ももを白で、
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髪を青と、
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黒で。
特に黒は隠蔽が強いので薄くても積層痕が全く見えなくなります。
UVレジンと黒の組み合わせでは硬化に時間がかかるようになりますので、黒や色の濃い顔料を使うときはエポキシ接着剤との組み合わせの方がよいと思います。エポキシでもつるつるの表面を得ることができます。エポキシ接着剤はUVレジンと違って硬化に数時間から一晩近くかかりますが、これは止むを得ないでしょう。
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何枚か写真を。
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スカートの部分を透明のエポキシでコートしてみます。
これは何もコートしていない状態。
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これがコートして固まった状態。わかるかな。
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こうすれば光が反射しているのがわかりますね。つるつるの表面が出来ています。
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このように、UVレジンかエポキシ接着剤をコーティング剤として使えば積層痕は無くなり、なめらかな表面を得ることができます。
コーティングに顔料を混ぜれば色付けもできます。ただ、この方法では表面が滑らかになりすぎてまるで着色した陶器のような見た目になってしまいます。
いわゆるフィギュアらしい粘土やポリパテの質感を得たければ、コーティングして表面を出したところで粗めのサーフェイサーをかけるとよいと思われます。いずれそのあたりまでやってみたいと思っております。
とりあえず今回のミクさんの出力には合格点をあげていいかな。もちろん美しさという点ではまだまだです、特に顔なんてのっぺらぼうですしね。
ということで、例によって急に(笑)ちゃんと色付けまでして鑑賞に耐えるようなミクさんを作ってみたくなってきました。大きさも1/6のドールサイズくらいまでやってみたいですね。そうなるとパーツ毎に分割出力しないといけませんし、分割しても1/6スケールを目指すなら今のプリンタでは小さすぎると思われます。作り直しが必要でしょう。データも分割しないといけませんので、STLを編集できる環境が必要です。fusion360でもSTLを読めますが、編集はほぼ何もできません。
やはりこれは一度挫折したBlenderに再挑戦するしかなさそうであります。
またライフワークが一つ増えてしまいました。がんばりたいと思います。
発散に発散を続けるみら太な日々でありますが、それもまた楽し。
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