みら太な日々は「つくると!5」に出展します。
つくると!って何?という方は上記リンクをご覧ください。ミニミニMakerFaireといった感じのモノつくり系イベントです。つくると!は「作ると」であり、博多弁で「作ります」「作るよ」といった意味ですかね。私は100%博多弁ネイティブでありますが、「つくると」の意味を改めて問われるとちょいと詰まります。「つくると」と→→→→こう発音されたときは「私は作るのだ」という意思を表し、「つくると?」→→→↑と発音すると「作るの?」「作るのですか?」といった疑問の意味になります。「!」がつくと意思の強調形といったところかな。
ということで、つくると!は福岡を拠点に活動するMakerやらデザイナーやら、お堅いところでは大学の研究室やらに籍を置く方々が運営主体となっている活動のようです。「のようです」というのは、私も初めて参加するからで、実はどういったものなのかがよくわかっていません。
すでに5回を数えるつくると!ですが、始まったのが私が横浜にいた時だったため、いままで参加することができなかったのです。
今回福岡に帰ってきてようやく参加できるということです。しかも今回は出展であります。みら太な日々は「みら太な日々」としてDINレールスライダを使ったプロジェクトとして、3Dプリンタ、カメラスライダを展示します。あと部品とかいろいろ。
DINレールスライダのシンプルさと安さ、それでいて結構使えるところなどをアピールしたいと思っております。
といいつつ「出すと見れないの法則」が発動しないように、展示の方は比較的緩めにして、つきっきりで説明するようなものにはならないようにしたいと考えています。
MFT2016とYAMAGUCHI MINI Maker Faireの時のように立ちっぱなしでクタクタなんてことにはならないようにしたいのです。ほかの展示もぜひ見たい。
開催は7月15(日)16(月:海の日)場所は九大大橋キャンパス(旧九州芸工大キャンパス)です。お時間があるお近くの方は是非遊びに来てくださいませ。
そして、みら太な日々としては福岡で開催されるMaker系イベントへはものすごく久しぶりの参加であります。ずっと昔にニコニコ技術部のイベント「NT福岡3」に何もわからないままCNC出展して以来です。
NT福岡3では当時すでにバリバリにご活躍だったホットプロシードの湯前さん(日本の商用3Dプリンタの草分けで、「物を作って生きるには」にも載っている方です)とか、オレ工房のTOMOさんとかすごい方々に混ぜていただいていたのでした。
また、前回の「つくると!4」には みら太(私が乗っていたダイハツミラ)をもらってくださったkama_AGEさんが参加されていました。kama_AGEさんについてはどうやら今回もご参加のようで、ひょっとするとお会いできるかもとこれまた楽しみにしております。
ということで「つくると!5」はあとひと月ほどで開催です。そろそろ出展の準備をしないといけません。
3Dプリンタはいろいろ問題ありつつもすでに稼働しておりますので、そのまま展示して動かせばよいだろうと思っておりますが、カメラスライダは横浜でちょっと簡単な実験してそのままばらしておりましたので作り直さないといけません。ちゃんと展示に堪える程度には設計をやり直す必要もあります。そこで、この週末は設計とスライダのメカ部分を作りました。
まず設計です。設計といっても基本構成はすでに実証済みですので、スライダとしてまともに動作させるためのリミットスイッチの取り付けや脚をつけるなど、主機能以外の部分を作る作業になります。
設計にはすっかり手に馴染んだfusion360を使います。バージョンアップとともにどんどん高機能化してついていくだけでも大変な状態ですが、私が必要としている範囲では動作も安定し、ほんとに使いやすい必携ツールになりました。こんなものが実質フリーで提供されるとかいい時代になったものです。
いきなりですが、モデリングが完了したところから。
リミットスイッチをつけて原点を決め、脱線しないように制御します。
脚は二本。とりあえずはこんな形で倒れなければ良しとします。
DINレールは手持ちのアルミ製650mm長のものを使うことにします。
ということで、作るパーツは脚とステッピングモータ、プーリー、キャリッジそれぞれのアクリルパーツです。
まず足から。これは3Dプリントします。fusionのモデルからSTL吐いてスライスするだけ。
できました。
なんかクオリティが低いですが、これも展示用に0.5mmのノズルに付け替えてからあんまり調整してないからです。
展示会で0.2mmのノズルでちまちまプリントしててもイライラするので、でっかいやつに換えました(笑
M4のナットを埋め込んで完成。つけ外しが多いと思われましたのでタッピングではなくねじ止めとしてみました。
お次はアクリル材の切り出し。自作レーザ加工機が活躍するところであります。
データはfusionから2Dスケッチをdxfで吐いてNCVCでGコード作っています。
今回実はここで大きな進捗がありました。ついに長年使ってきたjwcadからDraftSightへ2DCADを変更することにしたのです。理由は、ここのところのバージョンアップでついにjwcadではfusionが吐き出すdxfが読めなくなったためです。
これまではfusionで吐いたdxfをjwcadで読み込んで原点等を書き加えてCAMデータとし、それをNCVCでGコード化していました。たまに読めないデータや一部の情報が落ちている(特に曲線、スプラインは高確率で落ちる)こともありましたが、まずまず使えていました。しかし、ついに何をどう工夫しても読めなくなりました。fusionが吐き出すdxfのバージョンがjwcadとの互換性を失ったのであろうと思います。
ご存知のようにdxfには山のようにフォーマットがあり、しばしばトラブルの元になります。cadの発展とともに機能追加と互換性確保の妥協を繰り返した結果とも言えますが、バージョンが一体いくつあるのか私はよくわかってません。
jwcadはその中で(多分古い方から)R12と呼ばれるところまでのフォーマットを読めるらしいです。これってdxfのバージョンとしてはかなり古いんですよね。
ということで、この辺りはまた別投稿にまとめたいと思います。
作業に戻って、使った素材は3mmのクリアアクリル。切断の様子を動画でどうぞ。
できました。
実にきれいに切れております。
レーザ管も4年を過ぎて使っておりますが、一向に劣化する気配はありません。すばらしい。
外して、
保護紙剥ぎます。完璧な出来。
カメラスライダという以上はカメラを固定できないといけません。横浜で実験したときはキャリッジの上にカメラを乗せただけでやってましたのでここはちゃんと作るところです。
使ったのはこちらの小型三脚の、
雲台の部分から上。三脚との間はM4ネジで止まっていたので、キャリッジにM4穴さえあけておけば簡単に取り付けられます。
こんなイメージ。
穴はキャリッジのど真ん中に開けておきました。
実際の取り付けでは、キャリッジの裏面にネジの頭を飛び出させたくないので、皿ネジを使います。ということで、取り付け前に皿ネジのためのザグリ加工をします。
取り付け。皿ネジ使ってますので底面まっ平です。
雲台固定用のノブを回すのがちょいとやりにくいですが、まずまず使えそうであります。
お次、Vベアリング取り付けていきます。
このベアリング取り付けにも注意が必要です。うまく取り付けないとベアリングの外周の回転部分を締め付けてしまって全くベアリングとしての用をなさなくなる可能性があるからです。
内周の固定はしっかりと、それでいて外周部には一切力がかからない。これ大事です。
ということで、内周だけを押さえつけるために下のような工夫をします。
右から左に向かって作っていきます。
まずM3ネジをアクリル板に通し、それをM3の普通のワッシャで迎えます。普通に考えると次はベアリングですが、このまま組み付けるとM3のワッシャとベアリングの外周が干渉してしまいます。そこで細いスプリングワッシャを挟みます。スプリングワッシャは十分に径が小さいのでベアリングの内周部分のみを押さえます。
この状態でベアリングを取り付けて、最後は写真の左側にあるちょっと変わった形のナットを使って締め付けます。このナットはカレイナットと呼ばれるもので、通常はこんな使い方ではなく、板金シャーシに打ち込んでタップが立てられない薄板にネジ穴を作るためのものです。(パイロット付きナットと呼ばれるものでも同じことができます。)このカレイナットは写真で見るところの右端の径が小さくなっているので、スプリングワッシャのときと同じ考え方でベアリングの内周部のみを押さえることができます。通常のM3ナットはφ6mmありますので今回使ったベアリングの外周と干渉するのです。
この辺りに気を使うことで大変スムースな動きをさせることができます。
ベアリングが完全に浮いてフリーな状態になっているのがわかります。
DINレールに乗せてギャップを調整します。若干締まり嵌めになるように調整します。
4つのベアリング穴のうち2つは丸穴ではなくスロットにしていますので、締め付け具合を見ながら位置調整が可能です。
動かしてみましょう。動画でどうぞ。スムースであります。
お次は先端に取り付けるプーリーです。
こ奴がまたVベアリングと同じ問題を抱えております。このまま締め付けると全く回転しないプーリーになってしまうのです。
穴はM5なんですが、こんな風にM5のネジ通して、
ワッシャ乗せるとこの通り。この状態でナットで締めると完全にプーリーを押さえ込んで全く回らなくなります。
ということで、ここはもう一工夫。
この基板スペーサーを使ってプーリーをM3ネジで取り付けられるように改造します。
M3ネジを通せればM3用のワッシャとナットが使えますので、当然M5のものよりかなり径が小さくなり、結果としてプーリと干渉しなくなります、くるくる回るようになります。
ところがこのスペーサーM5穴に対して結構大きいです。
ということで、こんな感じにM3長ネジにねじ込んでおいて、
ドリルチャックで咥えて、
ドリル回しながらやすりを当ててM5サイズになるまで削り込みます。
途中写真を撮り忘れましたが、こんな感じで汚いながらもプーリーの軸にピッタリ収まるM3用スリーブができました。
M3ネジを使えばこの通り、ワッシャが全くプーリーの回転部分と干渉していないのがわかります。
DINレールに取り付けて完成。
キャリッジとツーショット。
最後はモータです。このプレートを使用。
モータは実験でも使ったこの薄型を採用。日本橋デジットでまとめ買いしたもののうちの一つです。確か250円でした。
ベルトとプーリーの位置関係を見ながらスペーサーを入れます。
いくつか試した結果、この6mmのものがベストでした。
ちょうどギアの刃の部分だけがプレートから頭を出す感じです。
これもDINレールに取り付けます。
これに先ほどの脚をねじ込んで固定します。
いい感じです。
なかなかシンプルなつくり。非常にスリムでかっこいいと自画自賛。
リミットスイッチはこんな感じでベアリングで押す構造です。
さて、メカ部の仕上げはこのベルトです。2.5T 5mm幅。RepRapをはじめとして多くの3Dプリンタに使われています。わが工房でも数十mを在庫しています。
余裕ある長さで切ります。こういうところでは必ずアルティメットカッターが登場。相変わらず惚れ惚れするような切れ味。まさにゴッドハンド。
ベルトをどうやってキャリッジに固定するかというのも結構な難題なんですが、
私は結構荒っぽい方法を使っています。
まずこのようにベルトを織り込んで歯をかみ合わせた状態にしてクリップで止めます。
で、この状態で2mmのドリルで折り返し部分に貫通穴を開け、
こんな感じにM2のネジとナットで止めてしまいます。これで破れることも切れることもありません。ベルトは繊維で強化されていますので強度感は一般的なゴム材とは全く違います。これでいままでトラブルはありません。
で、このわっかを引っ掛ける方は同じくM2のネジとM2の高ナットを使って、
こんな感じにキャリッジに柱を立てます。
ここに輪っかを入れればシンプルにベルトを取り付けられます。信頼性も十分に高いと思います。
一端をキャリッジに固定したベルトをくるっと回して、
反対側の端をキャリッジに固定するイメージで長さを調整して切断。
他端にも同じような輪っかを作ってキャリッジに引っ掛ければベルトかけは完成です。
モータ側。
プーリー側。こちらは長手方向に位置が調整できますので、ネジを緩めてベルトをピンと張る状態で固定します。
イメージ通りに完成することができました。
次週は駆動回路部分を作って実際にカメラを乗せてスライドさせながら動画撮影をしてみたいと思います。
とりあえず「つくると!5」の展示には間に合いそうな見通しが立ちました。まずは一安心であります。
引き続き良いものを作って皆様に見ていただけるように頑張ります。
コメント
どうもです。
昨年、「つくると4!」に行きたかったが用事があって行けなかったので、今年の「つくると5!」に行こうかなぁと思っていたところに、みら太さんが出展するというブログを拝見して、久しぶりにお会いしたいですね。
多分、1日目か2日目のどちらかに行く予定ですので、その時はよろしくお願いします。