みら太な尾瀬トレッキング

雑談

 
かの有名な尾瀬に行ってきました。
14日朝早く横浜を出て関越バス「尾瀬号」に乗って昼過ぎに鳩待峠に到着。尾瀬ヶ原を縦断して見晴の宿に一泊。翌日は尾瀬沼を経由して大清水に抜けました。
群馬県出発、新潟に入って、福島に宿泊、また群馬に戻るという三県境ならではのトレッキングでした。

有名な尾瀬ヶ原。こんな道が何キロも続いています。

美しいです。

こちらが宿泊した弥四郎小屋。立派な宿でした。当然歩いてしか到達することが出来ません。
福岡に住んでいたころよく行った久住の坊ヶつるによく似ていますが、スケールが数倍あります。

山小屋なのに何でも手に入ります。便利というか味がないというか。財布持っていれば手ぶらで行っても何とかなる勢いです。

ワイドな風景。

弥四郎小屋がある見晴にはほかにもいくつも山小屋があります。

朝晩は17℃というすばらしさ。

部屋は狭くてコンセントも無いですが、山小屋としては破格でしょう。清潔ですし、布団も暖かいです。

別館1号室という尾瀬ヶ原が一望できるというすばらしい部屋でした。

食堂。ご飯もおいしかったです。

こちらは朝食。

ということで、普通の旅行の話はこれくらいにして、ここからは「みら太な日々」的な視点による山小屋探検記を書いてみたいと思います。

前記しましたが、私が泊まった弥四郎小屋は尾瀬ヶ原の南の端、見晴というところにあります。交通手段は歩きの他はヘリコプターしかありません。
聞いたところでは、週に二回ヘリが飛んできて、物資を補給しごみを持ち帰る、といったことを繰り返しているとのことでした。弥四郎小屋の横には木製のヘリポートがあり、(残念ながらバスの中から見ただけで写真は撮れませんでしたが)大清水近くにはそれに使うであろうヘリが置いてありました。

そんなわけで、物資的に大きな制限がかかる山小屋の維持管理作業は山小屋メンバーによるDIYの集大成になります。そういった目で見てみますと、山小屋の随所に工夫があることあること。すばらしいです。では見てみましょう。

たとえば電気配線。基本むき出しです。VVFケーブルがU字釘で止められております。

きっちり配線されています。電気工事士さんの苦労がうかがえます。
小屋が拡張されたりリフォームされたりするたびに新たな配線が増えていった様子がわかります。
柱とか周りの壁材、造作の類も新旧ごちゃまぜでにぎやかです。古いものを捨てて新しいものにかえるなんて贅沢は許されないのでしょう。

この扉は新しいですね

でもそのすぐ上の天井は碍子を使った配線が行われています。昔の家の中は確かにこんな感じの配線がなされていました。

床は無垢材のところと、こんな感じのリノリュームの所がありました。

もちろんちゃんと火災報知機の類は完備されています。

このサーキュレータも何かの名残でしょうね。

その横には階段の一部が天井からはみ出しています。よく作ってますね。

ここは食堂横のブラウジングルーム。

本とか、

人形とか、よく山小屋にあるようなものが並んでいます。

この一角の天井にはこんなものが。
ファンが回っていてフレキシブルダクトがつながっています。
これは想像ですが、以前はここでタバコが吸えたのではないかと思います。で、これは排気の為のファンなんだろうと。このダクトは天井裏を通って外までつながっていました。

拡張の跡で小屋の中は段差だらけです。その段差の作り方や材料の選び方も工夫の塊。そのときに手に入る材料でとにかく作る。でもちゃんとしっかり作る。そんな感じ。

こんなトマソン階段もあります。もとはなnだったんでしょうね。

尾瀬は全キャリアで圏外です。
これは歴史的に紆余曲折あったようですが、依然として基地局は置かれておりません。鳩待峠と大清水には基地局がありますが、尾瀬ヶ原、尾瀬沼、ほとんどの山小屋があるところは電話もネットも使えません。宿泊客の頼りになるのは衛星電話だけです。
「宿の予約や宿の情報発信が行われているけど一体どうやっているんだろう」と思っておりましたが、山小屋を徘徊していて答えを見つけました。

これ。衛星インターネットです。ここにルーターというかコンバータというか、結構ごつい装置があって、

従業員が活動する区画、事務所周りには無線LANが張られています。
なるほどであります。こうなっていたんですね。

ちょいと調べてみましたら、衛星インターネットも随分と身近になってるんですね。
そこそこのスピードのサービスであればそんなに高価というわけでも無いようです。

山小屋内のあちこちにはちゃんと火災報知機もあります。

山小屋はそんな規則が無かったころから立ってますから、後から後からいろんなものが追加されて、柱の上のほうはこんなことになってます(笑
電気配線、館内放送、火災報知機、ネットワークの相乗りです。すごい。

廊下の隅には分電盤。右のほうには端子台があり、夥しい数の分岐線が伸びています。

配線したときの絶縁テープがそのままになってる。

従業員通用口の横にある棚にはいろんなDIYのツールがぎっしり詰まっています。

資材はどこかというと、

廊下の隅にあるこのはしごの上、

この天井裏にあるんじゃないかと想像。

広い館内は迷路のようです。ここにはいかにも手作りの階段が。

ここは何段階にも塞がれた跡があります。

廊下の天井にある煙探知機と非常灯。

この数年内に新たに配線されたと思われるカテゴリ5のケーブル。

トイレの裸電球風の照明は、

ちゃんとLEDが使われています。
ちなみに電気も来ていませんので、小屋から少し離れたところにディーゼル発電機が並んだ発電小屋があります。

再度従業員通用口。

横には端材が積みあがっています。
周りには木がたくさん植わっていますが、国立公園内ですので枝一本とることも許されないのです。

二回も段差だらけ、下がって上がって….

で、これが今回の探検で一番面白かった発見。

なんだかわかりますか?

本館の、おそらくもっとも古い建物の壁に取り付けられています。

私もほんと久しぶりに見ました。小さいときに住んでいた家にあったのを覚えています。

ある程度お年の方はお分かりですね。これ。ヒューズボックスです。
中にこんな形の爪付ヒューズが入っています。
昔の家は全てこれでした。ブレーカーなんて無い時代です。
ブレーカーは落ちたら超過した容量分の機器の電源を切ってスイッチを戻せば終わりですが、この爪付ヒューズは不可逆に切れてしまいますので予備が無ければ復活させることが出来ません。
これを使っていた頃(私が幼稚園の頃かな)はどこの家庭にも予備ヒューズはありましたし、これを交換するのは父親の責任であり、義務でもありました。夜に停電したときに家族の期待を一身に背負って作業を行い、無事復活させたときには親父の株が大いに上がったものです。

まだ現役で動いているところがあったんですね。ちょっと感動しました。

ヒューズボックスで感動しつつ後ろを振り返ると無線LANのルーターが見えます。お互いに「何だおまえは」というところでしょう。この両者が現役で活躍しているところも少ないんじゃないでしょうか。

ほかにも手作り感満載の工事跡が随所に。

さて、ちょいと外に出てみます。ここから見ても手作り修理跡があちこちに見えますね。

屋根に段差があるところが最初の建て増し部分と思われます。
例のヒューズボックスは奥の建物の二階にありました。

玄関入ってすぐのところにはこの衛星電話が置いてあります。見た目は公衆電話。つか実際公衆電話ですが。

電話の配線は、このTA風の箱を経由して、

いくつかの機器を経由して、

最後はこの衛星アンテナにつながっています。docomoの表記があります。

向きはほぼ真南でした。南西を向いているBSアンテナと微妙にずれています。

後ろから見たとこ。

以上、弥四郎小屋冒険でした。弥四郎小屋の皆様、勝手に徘徊して写真とってごめんなさい。

さてさて、小屋を出たら、尾瀬ヶ原を離れて尾瀬沼を目指します。

ぶっこわれてますが、白砂峠を経て、

平地に出ると、

尾瀬沼に到着です。
沼と名前がついていますが、水深が10m近くあり、定義上は湖です。

外周をぐるっと回ると3時間くらいかかる大きな沼というか湖です。

湖畔にはビジターセンターが完備されています。
ここにも山小屋が集まっております。食事のメニューは豊富ですし、お土産屋もあります。コーヒーやジュースはもちろん、ビールだって手に入ります。

湖畔で、いや沼畔でしばらく休憩したら、三平峠までちょっとだけ登って、

後は大清水まで怒涛の下りです。

大清水側の登山口にも入山者を計数する光電式カウンターがあります。

後ろから見たとこ。補正用かな?光センサが見えました。

その先には、外界の植物種子を極力尾瀬に持ち込まないようにする為の種子落としブラシが備え付けられています。

ここを抜ければ一ノ瀬休憩所。ここから先は車道が整備されています。もちろん許可車しか入ってこれません。
一之瀬休憩所のメニュー。

一之瀬休憩所。

メニューに書いてあった赤紫蘇ジュース。おいしかったです。

バス、というか乗り合いタクシー風のワンボックスも走っていますが、

歩いていくことも出来ます。車に乗ると710円だったかな。

歩くと1時間程度かかります。

大清水に降りて来ました。

こんなこと書いてありますが、

大清水まではこの大きさのバスが登ってきます。

このバスに乗って無事に新宿まで帰り着きました。
お盆の渋滞に巻き込まれて、新宿着が90分くらい遅れましたが、総じて快適なトレッキングでした。
二日間の総歩行距離は26km、アップダウンはあるものの、高低差は300mくらいかな。楽勝です。私はほとんど足が痛くなることもありませんでした。

ということで、現在横浜の繁華街に基地を構えて実に便利な暮らしをしておりますが、やはり自然は良いです。私にとっては本拠地はやはりこっちなんだなということを確認した二日間でした。
これで夏休み前半は終了です。後半は福岡へ帰ってHardOffツアーです。これがまた楽しみ。
皆様も充実したお休みをお過ごしください。

コメント

  1. Alisun より:

    みら太さん、MFT2016お疲れ様でした。
    何もお手伝いできなくて、申し訳ありませんでした。
    尾瀬ですか、花はいかがでしたか、秋の草紅葉もきれいですよ。
    十数年前まだ若かかりしころ?、鳩待峠往復の行程で数回行きました。
    HardOffツアーの成果、お待ちしております。

  2. みら太/mirata より:

    Alisunさん
    その節はお世話になりました。ありがとうございました。
    尾瀬の花は水芭蕉が過ぎて小柄な花ばかりでしたが、私好みの良い感じでしたよ。元々花の名前はさっぱりでして(笑
    鳩待峠往復ですか。Alisunさんの健脚なら楽勝だったでしょう。
    私は今回大清水に抜けましたが、高低差は200mくらいあったのかな。ほとんど登りらしいものもなかったのでまさにハイキングでした。
    いずれ 燧ヶ岳に上ってみたいです。事前の勉強をしていなかったので、 燧ヶ岳以北にはこの山より高いものがないことをあとで知りました。それを知って俄然興味が出てきた次第です。