このブログを長い間支えてくれたデジカメが逝ってしまいました。
ミノルタのDiMAGE X20です。もう何年もメモ代わりのデジカメとして愛用しておりました。
SONYのCCDの大規模リコールに見事に引っ掛かり、CCDだけ新品になったこともあるなど波乱の生涯でありました。
このたびLCDディスプレイが何をやっても表示しないという状況に至り、もはや手振れ補正もない200万画素のデジカメでもあるまいと判断し、引退を決定しました。
後から。
沈胴式、屈折光学系なので起動したまま放り出しても光学系を傷めることがない、NiMH電池二本で駆動出来るので充電池の劣化を心配する必要がない、蓋を開けなくてもSDカードが取り出せる、マクロ切り替え無しで数cmまで接写が出来る。20cm程度の近距離でもズームで拡大ができる、と良いところを挙げたらきりがない、ほんとに使いやすいカメラでした。
こんな感じで何も表示しません。これは以前のCCD不良の時の状態とも違います。
NiMH電池で動くというのがとにかくうれしかったです。つけっぱにしてても替えの電池はいくらでもありましたので。
電池収納部。二本で動くんですよ。
SDカードのスロットが見えてるというのも珍しいでしょ。
ということで、分解です。
みら太な日々ではタダでは成仏できないのであります。最後はちゃんとブログネタになってもらって、使えるパーツを残して逝ってもらうのであります。
外から見えるネジを全部外します。入手が難しい超小ねじが手に入ります。
二つに割って、
フラットケーブルやらコネクタやら、抜けるものを全部抜きます。修理ではないのでかなりいい加減。
さて、デジカメでもフィルムカメラの写ルンですでも同じですが、ここで気をつけておくことがあります。それは「ストロボ用コンデンサを放電させる」です。
よほど長期間放置しない限り、コンデンサにはかなりの電圧が残っていることを疑う必要があります。
どのくらい残っているのかというと。
いやここまでビビらんでもいいような気がしますが、結構すごい音がします。
放電に使ったはさみがこんな感じに一部溶けました。恐ろしや。
ちなみに、コンデンサの電極間は100kΩとかの抵抗でショートしてやれば平和のうちに放電が完了します。はさみで短絡させると時定数τが最小の状態でエネルギー開放が行われます(笑
さて、気を落ち着かせて液晶モジュールにかかります。
これを、さらに分解します。この辺は勉強も兼ねて。
さすが古いタイプのLCDですね。偏光フィルムやら拡散版やら反射板やらわらわら出てきます。
偏光版で遊びましょう。
まず、オープンニコル状態。下に置いているSDカードのラベルが見えています、
一方のフィルムを90度回転させるとクロスニコル状態になり、向こうが見えなくなります。
これがディスプレイのOFF状態ですね。液晶に電圧がかかると、電界の作用で液晶の捻じれ状態が変化し、液晶の不斉構造によって旋回された光がクロスニコル状のフィルムを抜けて外に出てくるようになります。これで像を作るわけです。
全部でこんだけフィルムがありました。
左上がLCDのパネルそのもの。ガラスがUV接着剤で強力に接着された構造なので、これ以上の分解はやりません。また、液晶は一般に毒性があります。触らぬ方が安全です。
本体側に取り掛かります。
中味をケースから外して。
鏡筒を基板から分離します。
鏡筒から料理しましょう。
沈胴式&屈折式なので、CCDは鏡筒の底に上向きについています。これはカメラの底からCCD基板の裏を見たところ。
これが鏡筒の撮像口。レンズ保護のためのメカニカルシャッターが閉まっています。
鏡筒にはピント合わせ、シャッター開閉、ズーム等のためにステッピングモータがついています。
ここに一つ。
反対側にもう一つ。
CCD外します。
正方形の部分がCCDデバイスです。
拡大。
画素のギャップが光の波長に近いので回折によって干渉が生じて色がついて見えます。
顕微鏡があるともっと面白い絵が撮れるのですが、ここではこれが限界です。
フレキがすごいことになっていますね。
鏡筒をばらしていきます。
外せるねじを外して、レンズをばらしていきます。
こんな小さいフォトインタラプタが入っています。
こんな小さな送り機構が入っています。フォーカス部分かな。わかりにくいですね。
鏡筒上部は屈折のために45度にミラーが入っています。
かなりばらけてきました。
ズーム機構周りはこんな小さな歯車が使われています。どうやって組むんでしょうね。
メインのレンズが外れました。
3枚くらいの群レンズになっているようです。ガラス製でしっかりした作りです。
えらく焦点距離が長いです。
最後に絞りが外れてきました。
ここのメカニズムは小さいのにすごい精密にできています。
動画で見てみましょう。
次はこれ。おそらくズーム系のレンズです。
こんな感じで胴を回転させるとレンズが上下する機構になっています。
以上鏡筒分解でした。
次は基板です。
基板はあんまりおもしろいところがありません。実装部品は小さすぎて再利用できるようなものは無いのです。ねじを回収しつつ淡々と進みます。
エネルギーを満載していたコンデンサ氏。
バックアップ電池はここについています。
電池の横がシャッターボタン。このサイズで二段ボタンになっています。フォーカス→シャッターのあの動きはこんな小さなタクトスイッチみたいなもので実現しているのです。すごい技術です。
さらに分解したいところですが、あまりに小さいので諦めます。
昇圧基板と制御基板を分離します。
電解コンデンサの耐圧は300Vでした。恐ロシア。
これがメイン基盤ですね。上の方に4方向+プッシュ動作のマルチウェイスイッチが見えます。
SANYOの石が載っています。おそらく画像処理用と思われます。今は亡きSANYOは実はデジカメのOEMメーカーとして最大の会社でした。
メイン基盤の裏にはSDカードスロットが実装されています。
これが最後です。IFと電源回路が載っている基板と思われます。
これも外せば、
全てがバラバラです。
光学系も含めて結構な部品点数です。電子部品を含めると数百点あるでしょう。
筐体の殻。
と思ったら、ここにも何かあります。
LEDのインジゲータでした。そういえば光っていたような気がします。
タイマー撮影でもしない限り見ないところです。
が、反射板、導光部品など結構手間をかけた作りになっています。実に丁寧な仕事です。素晴らしい。
ということで、これにて分解終了です。
予想通りほとんどリサイクルできるものはありませんが、ネジはそれなりの数手に入りました。
危ない実験に使えそうなコンデンサ氏。
バネはバネ入れに、
コンデンサはリサイクル部品入れに入れて作業完了です。
長い間お世話になりました。本当に良いカメラでした。
合掌。
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