レーザ加工機(黄)のセットアップ

レーザ加工機

 
工房の中がレーザだらけになってきた(笑)ので、名前を付けて整理します。
まず稼働中の自作レーザ加工機は今まで通り参号機とします。
これ

そして今回いただいたレーザ加工機のうち、手元に残し、今回整備するものをレーザ加工機黄色とします。理由は本体色が黄色だから。で、残りは裸の50W管と、レーザマーカです。

ではレーザ加工機黄色の調整と動作確認を進めていきます。
こちらがその黄色加工機。

加工エリアは300x200mmというところかな。A4くらいということで、自作加工機とほぼ同じです。

ねじ一本外すことでレーザ管収納部の扉が開きます。
届いた時点では冷却水循環チューブは切断して封じた状態でした。

何はともあれここからです。冷却なしにレーザ管に通電するのはご法度です。
レーザ加工機黄色をいただいた方は結構寒いところにお住まいで、クーラントにエチレングリコールをお使いだったとのことでした。そのせいなのでしょうチューブが硬化してしまっています。
まずは動作確認を目的としてこのまま通水することにします。

付属のポンプで水を循環させます。が、

なんとこの浸漬ポンプの電源電圧が220-240V仕様(笑
いや100Vでも水の中に引き込むのは怖いのに220Vかよ、という感じであります。
が、とりあえず変圧トランスをかませてそのまま使用。ドキドキ。

各部を点検していきましょう。まず加工室。

第二・第三ミラー。キャリッジについている第三ミラーに調整機構はありません。

丸窓の奥に見える第一ミラー。手前の緑はキャリッジのリミットスイッチ。Y軸のリミットはフォトインタラプタがついています。一貫性がないです(笑

お次、レーザ管固定部。

射出口と第一ミラー。端子の接続はカバーがかぶせられていてどうなっているのかわかりません。なんとなく射出側にプラス端子を繋ぎたくなるような気がしますが、マイナスというかグランド側を接続します。射出側がマイナスになっているのは以前投稿した通りの理由です。

排気口。ここに無理やりシロッコファンを取り付けるようになっています(笑
排気口の形とファンの口が全くあっていません。ということで、付属のシロッコは使わない予定。

これが加工室側の吸入口。細長いスリットになっています。あんまり吸ってくれなさそうです。

お次、写真倒れていますが、制御部。
電源、出力調整のためのボリュームつまみ、出力の目安となるレーザ管に流す電流をモニタするアナログメータ、レーザ出力enable/disableスイッチ(オルタネート)そしてテスト射出スイッチ(モーメンタリ)となっています。

この部分もふたが開くようになっています。実にメンテナンス性が良いというか危険というか。
中には中央の高圧電源、左のロジック電源、手前のロジックボード(MoshiDrawボード)右壁にはバラスト抵抗が見えます。抵抗値はわかりません。

操作盤の裏。まあこうなっているでしょうね。

MoshiDraw。使い勝手は良いのだろうか。
いずれMACH3かGRBL駆動に交換することになると思います。

MoshiDrawボードとステッピングモータの間はフレキで接続されています。
電流値的に大丈夫なのだろうかという気が少々しますが、他に盛沢山ある突っ込みどころに比べればたいしたことではありません(笑

で、再び下降室内に戻って、モータで駆動されるキャリッジ部。実に低コストなうまいやり方でスライダーが作られています。ある程度数が見込めればこんな押し出し部材を作れるんですけどね。この部材だけメータ材で売ってないかな。

Y軸のスライダーはオーソドックスなシャフトとリニアブッシュ。12mmφのシャフトが使われています。

反対側のY軸は、単にフレームの上に戸車上のコロが載っているだけという大胆な設計です。まあ、両方をベルトで引っ張っていますのでずれはないはず。「がたつきは一方で担保すればいいでしょ、精度的にそれで充分じゃん」という設計者の声が聞こえてきます。
ちなみにY軸の駆動モータは両軸のものが隠れるように取り付けられています。

さすがのチャイナクオリティ炸裂がここ。ストッパーが水道ホース(笑
非常に合理的な考え方であり、見習う部分は多いのですが、ここまで大胆にやられるとちょっと引いてしまうところがあります。質実剛健、デザインやおしゃれ感は全くありません。

キャリッジはエア配管のカールコードを引きずっています。

Y軸のフォトインタラプタ。

頼りないフレキ。ケーブガイドを使うといった思想は全く無いです。そうじゃないと安く作れませんからね。

フォトインタラプタを邪魔する板。

Xキャリッジのリミットスイッチ。ターコイズスイッチかと思いましたが多分違います。

レンズ。キャリッジの内部に上下スライドする鏡筒が入っており、それを写真にあるローレットネジで固定します。レンズ位置を上下することでワークまでの距離を調整して焦点合わせをします。

レンズが相当汚れています。あとで掃除することにします。

第三ミラーを正面から見たところ。この丸窓のど真ん中にビームが来るように光軸調整をしないといけません。

ハニカムステージ。ワークエリアより一回り小さいですが、十分使えるものです。

置いたところ。

ちなみに、この自作レーザ加工機では各部がどうなっているのかというと、

むき出しの制御基板。

むき出しのレーザ管と、

むき出しの高圧電源とむき出しの電流計、

むき出しのバラスト抵抗、

ハニカムテーブル換気扇から取り外したパンチングメタル。反っているのでマスキングテーブルでMDFのフレームに貼り付けています(笑

HDDのプラッタで作られた第二・第三ミラー。第三ミラーは放熱板付き(笑

(多分エプソンの)プリンタから取り外したY軸駆動用ステッピングモータ。

同じくなんかのプリンタからやって来たXキャリッジ駆動モータ。

キャリッジに搭載されている第三ミラー、X軸リミットスイッチとZnSeレンズ。
スライダーはプリンタから取り外したシャフトとリニアブッシュ。

ということで、レベルはさておき、あるべきものはちゃんと付いているのであります。しかもこの自作加工機はZ軸テーブルがモータで昇降します。

さて、加工機黄色に戻って周辺機器を確認します。
まず排気ファン。

3Dプリンタで作られている箱。100V-200V変換トランスが入っているとのこと。

ファンは200V仕様です。
※このファンはマーティさんに差し上げましたのでもう手元にはありません。

小容量ダイアフラムコンプレッサ。手元にあったデュアルヘッドのポンプの方がパワーがありますが、まあこれで行けるでしょう。

こ奴は100Vというか、110V仕様です。

では電源を投入してレーザ管の動作確認をしたいと思います。
まずは電源投入。動画で。

結構うるさいです。まあこんなもんかな。左上が原点になっているようです。
次にレーザ管に通電します。これも動画で。

ということで、無事動作確認もできましたので、本格的にセットアップと光軸調整をしていきたいと思います。

一旦冷却水外して本体を作業しやすいように反対向きにします。

まずは硬くなってしまった冷却水配管を交換します。

冷却水はいかんはレーザ管の両端につながっていますので、それぞれ外して新品チューブに交換します。

この部分を切断。

簡単に外れます。

こちらも同様に。
ちなみにヘッドとチューブ本体を繋いでいる短いチューブはシリコンの良いものがつかれているようで、両側とも全く問題ありませんでしたのでそのままにしています。

外れました。

手前の新しいビニルホースに替えます。

これ。

と思いましたが、レーザ管をホルダに固定したままでは何とも作業がやりにくいです。

どうせ光軸調整はゼロからのやり直しですので、いったんレーザ管を下すことにしました。ホルダのネジ外せば簡単に外れます。

配線引きちぎらないように、というか電極に応力かけるとすぐにレーザ管が割れますので慎重に配線を外していきます。

外れました。配線はつないだままです。

で、この部分に、

このホースをつなぐわけですが、

毎度苦労するのは、このチューブがレーザ管の冷却水接続部より若干細いのです。
無理すれば入りそうなのですが、複雑なガラス細工の、しかも曲がっている部分にチューブを押し込むのは非常に怖いです。応力集中部分に曲げ力をかける方向です。いやであります。
ということで、高温ドライヤーでチューブを加熱して、

こんな感じに先を広げて、

さらに接続部分にワセリンを塗って、

そっと押し込んで、

タイラップで止めます。これでまず大丈夫。今まで何度もこの方法でチューブ接続をしてきましたが、この部分から漏れが発生したことは一度もありません。

反対側も同様に。

チューブをつないだらレーザ管をホルダに戻します。

チューブの引き回しーに注意しながら、

本体裏側下部の冷却水チューブ引き出し口から、

こんな感じに引き出します。

反対側も。
インレットとアウトレットの表示が私の好みとは逆になっております。気にせずアウト側から流し込みます(笑

配管完了。

実はポンプは二つ付属していて、

一台はこの嫌な高電圧使用ですが、

もう一台は110Vという安全な(笑)仕様になっています。

冗談でもこんな電圧水の中に引き込みたくありませんので、自作加工機の保守用にストックしていたポンプを持ってきます。

こちらは安心の12V仕様。

 

では光軸調整に入ります。
光軸調整の際にはキャリッジをあちこち動かさないといけませんが、加工機黄色は電源を投入するとモータが励磁されますので自由に動かすことができません。無理やり動かせば脱調して回りますが、やめた方がよいです。
ということで、ここからはPCとMoshiDrawを使って行きます。

初めて起動してみましたが、いまいち使い方がわかりません。

 

さらに、MoshiDrawが動いているPCとディスプレイはここにあって、

本体はあそこにあります(笑
行ったり来たりですが、レーザ加工機コントロール用のPCは一台に集約しておきたいのでしかたないのであります。

ちなみにインターフェースは、本体横の

このいまいち位置があっていないUSBポートを使います。

では光軸調整開始です。

細かいことは省きますが、これだけのマスキングテープの山を築いて得た結論は。
「基本設計の時点で光軸があってないぞこれは」
ということでした(笑

着手時点でレーザ管の下に敷かれているこの厚紙が気にはなっていたのです。しかも前側のホルダだけに敷かれている(笑
この時点でレーザ管が傾いているか、ホルダベースが傾いているのは明らかです。

詳細割愛、というか作業に集中していて写真を残すのを忘れていたのですが、結局第一~第三ミラーとそのホルダを全部外してつけ直しました。
日曜の午前中を全部使って分かったのは「どう考えても光軸に対してキャリッジ位置が高い」でした。のでレーザ管の下に厚紙を敷いて無理やり光軸を持ち上げてやる必要があったのです。が、そんなことをしても光軸全体が傾いてしまいますので、きっちりすっきり光軸が合うことはありません。
で、いろいろ考えた挙句、キャリッジ位置を5mmほど下げることにしました。

これがキャリッジ。

ミラー外します。マスキングテープが焼けたときのヤニがついています。あとで掃除しないといけませんね。

キャリッジから第三ミラーとレンズ鏡筒を含むモジュールを外しました

これ。

モジュールは3本の高ナットでキャリッジに固定されています。

この高ナットは30mmあります。これを25mmのものと交換することでキャリッジを5mm下げる作戦で行きます。

手持ちの高ナットぶちまけますが、

ちょうどいいものがありません。
一番上が外した30mmのオスメス。で30mmの同じものはたくさん持っているのですが、20mmのオスメスはありますが、25mmのオスメスがありません。25mmはメスメスの身です。
ということで、M3のネジとこのメスメスを使ってオスメスを作ることにします。

M3ねじを切って、

メスメスにねじ込んでオスメスを無理やり作ります。

それをキャリッジにねじ込んでようやく25mmのポストが立ちました。

レーザ管から厚紙外します。上の二枚が最初から入っていたもの、下の白いのは厚紙で光軸合わせるために新たに後部ホルダに追加した厚紙。こんだけ入れればキャリッジ下げなくても光軸合うんですが、厚紙5枚はどう考えても正常な状態とは言えません。経時的に軸が動く可能性が高いです。
ということで、全部取り払ってキャリッジ下げて改めてゼロからの調整です。

今回は面白いように調整が進みます。

ワークエリアの四隅でばっちり第三ミラー窓のど真ん中に光軸が合いました。
欲しかったのはこの達成感であります。

ここで改めて第三ミラーをクリーニングして、

レンズも掃除します。

これも毎度のことですが、ZnSeは酸と反応して猛毒H2Seガスを発生する有毒物質です。飲み込んだら確実に死にます。ということで手袋必須。

相当汚れていましたが、丁寧に掃除しました。レンズの上下も逆になっていましたので、正しい方向に戻します。

あとはエア配管を固定すれば光軸調整は完了です。

今回はこの量のマスキングテープで調整完了。

ではいよいよ試し切りです。
と言いたい所でしたが、まだMoshiDrawでどうやってカットしていいのかよくわかっていません。ということで何とか分かったラスター描画でテストです。
この加工機、というか中華の安い加工機は印鑑/ハンコ製造用のマシンがホビー用レーザ加工機として流通しているもので、もともとの動作がラスター描画なのです。

では動作確認の様子を動画で。
もちろん動作確認と言えばミクさんであります。

多分どっかに設定があるんですが、とりあえずえいやでやったテストではラスター動作が非常に遅かったです。全部で30分くらいかかりました(笑

もう一本動画を。

両端のずれもなく順調に進みます。

終わりました。

なぜか枠が周りにあるのですが、それはさておき、

拡大。

別のとこ。

こうやって見ると、コントラスト比が独特のパターンに変換されているように見えます。
それも(先入観かもしれませんが)ハンコにした時に綺麗な仕上がりになるパターンが使われているような気がします。

写真もやってみました。
こちらもええ感じに描画出来ているようです。
いずれも出力は安定するぎりぎり、5mAくらいですので、計算上10W程度のパルスで書いたことになります。

ということで、光軸調整に思いのほか手間をとり、結果的には調整というより改造に近いものになりましたが、一度しっかり軸合わせをしておけば当面安定して動いてくれるものと思います。
これでまた強力な武器が工房に備わりました。素晴らしい最高のクリスマスプレゼントです。サンタさんありがとう!

コメント

  1. マーティーの工房日誌 より:

    マーティです。
    私も明日から組立に入ります。
    レンズが逆とか予想外ですね~私のもよ~く確認していきたいと思います。
    私にとって初めての光軸調整、前途多難になりそうです。
    でも、できた時を考えるとワクワクです。

    • みら太/mirata より:

      マーティさん、光軸調整は嵌らなければすぐに終わるのですが、発散させると収束が大変です。ガイドラインはあっても完全な手順というのはありません。どうぞ何度も経験して慣れてくださいませ。
      誤射にはくれぐれもご注意を。

  2. 魔流 より:

    こんにちは、初めまして
    いつも楽しく拝見させていただいてます
    私もmoshidraw持ってまして、アップグレードしたいなと思っていました
    これからの展開が楽しみです(^^;

    参考までに今まで集めた資料ページです

    moshidrawを落とすソフトがあります
    最新版は2017みたいですね

    ttp://www.moshidraw.com/English/html/2459862944.html

    こちらに2013年番ですが取扱説明書が
    ttp://kousakukoubou.com/reference.html

    制御基板のアップグレードガイドです
    みら太さんには必要ないかもですが(^^;
    ttp://www.lightobject.info/viewtopic.php?f=16&t=1372

    海外にはupgrade kitってのもあってやってみたいんですが
    今の素ではグレースケールとか使えませんしね
    カットだけなら関係無いんですが

  3. みら太/mirata より:

    魔流さん、コメントありがとうございます。
    豊富な情報提供に感謝です。私だけではなく、ここを見に来てくださっているすべての方々との情報共有の場ですからどうぞご遠慮なく。もちろん私も参考にさせていただきます。
    アップグレード情報をDlしてざっと見ました。中華レーザ加工機はベースの板金筐体は同じでも、様々なバリエーションがありますが、この資料で取り上げられているものは青筐体で、私が今触っている黄色の制御系と電源が組み合わされているんですね。でもリミットスイッチがないとか、いろいろ細かな点がちがっています。実に面白いです。
    moshidrawまだ全然わかっていません。trotecのドライバみたいに「赤細線はカット、それ以外は彫刻」みたいになっていると思っているんですが違うんですかね。グレースケール使えないというのは「レーザのパワーをショットごとに変更できない」という意味ですよね(私のマシンではレーザ出力制御はフロントパネルのつまみとしかつながってないので、PCからの制御はやりようがないです:笑)

  4. 魔流 より:

    そうなんですよ、ハードでしか出力調整できないんで
    電源が対応してたらソフト的にできるだろうにもったいない仕様です
    まぁ元々がハンコ用で普及したみたいですからね
    色の濃さでレーザー出力加減できれば写真なんかのアクリル焼付も綺麗にできるでしょうし
    文字の立体彫りとかも3Dデータあればできますし
    単純に彫刻してからカットしたくても、現状は一発でできません
    彫刻とカットじゃレーザー出力が違うので2回別に操作が必要です
    それだけでも操作が楽になるなと思うんですが

    • みら太/mirata より:

      魔流さん、やはりそうなんですね。
      電源にはPWMのポートついてるわけですから簡単にできるような気がしますけどね。電流の時定数が大きいのかな。でも、白黒彫刻の時には50usecくらいで反応しているようにも見えます。
      結局は3Dプリンタと違って装置を自作する人口が少ないからソフト周りの進歩も遅いということでしょう。
      自分でやれればいいんですが、時間がなさすぎます(笑
      さすがtrotecというところです。ちゃんとした既製品だけあってできるべきことができるようになっています。

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