ありがたいいきさつでわが工房へやって来たレーザ加工機二台の話をもう少し。
メールでレーザ加工機の譲渡を提案いただいた方(神)は「みら太な日々」をご覧になっていたということでした。で、私がレーザ加工機なんか作っているもんですから「こいつにならレーザ加工機渡しても怪我したりして面倒な話にならないだろう」と目をつけていただいたとのことでした。まことにありがたいことであります。
もちろんオークションなんかで手放してしまうことも出来るわけで、実際一時期検討はなさったようです。ですが、だれの手に渡るかも分からないオークションでこういった使い方を誤ると非常に危険な機器を取引することに抵抗と感じたとのことでした。
みら太な日々に目をつけていただいたことに感謝しますと共に、安全に活用いたしますことをお約束するものであります。
最近は趣味でレーザを扱う人が増えてきています。多くは出力の小さな半導体レーザですが、FabLabや一部のホームセンターなどには高出力のCO2レーザ加工機があります。また半導体、CO2、果てはYAGレーザまでも中国通販で簡単に安く手に入るようになりました。
みら太な日々ではCO2レーザの危険性についてあんまり書いたことがありませんので、この機会にもう少し言及させていただき、レーザを扱う皆様に注意喚起をしておきたいともいます。
一番リーズナブルな価格で多数出回っているCO2レーザ管は40Wのものだと思います。この40W出力のCO2レーザ、出力の数字だけみると電子レンジの出力の数百Wや、IH機器のkWレベルと比較するとたいしたことない数字です。が、レーザはそのコヒーレンスゆえに出力40Wをわずか100umかそれ以下の領域に集中できるというところがまず危険です。
例えば、直径25cmの円形で出力1kWのIHヒータがあったとします。こ奴の出力のエネルギー密度は、約2W/cm2となります。一方で、100um径に集光されたCO2レーザのエネルギー密度は510kW/cm2というとんでもない数字になります。このエネルギー密度では身の回りの多くのものが燃焼するか、一瞬で蒸発してしまいます。非常に危険です。
次に、CO2レーザのビームはそのコヒーレンスにより散逸しません。これももう一つの危険な性質です。この特性は気体レーザ、固体レーザ一般にあるものであり、この特性ゆえにレーザが世の中で活用されていると言ってもいい優れた性質です。
ところが、この性質を悪用することを考えると非常に恐ろしいことになります。例えば、道を挟んだ反対側の家に放火するなんて簡単なことで、数百m離れたものにも放火出来る可能性があります。おそらく証拠は一切残りません。出火の瞬間を現場を見られても、まずレーザに思い当たる人はいないでしょう。CO2レーザは波長10.6umで完全に不可視です。近赤外レーザと違ってスマホのカメラにも写りません。
この一例をもってしても、使い方を誤る、というか悪意を持って使うととてつもなく恐ろしいものなのです。
大きな事件や事故が起きていませんから規制が行われていませんが、CO2レーザの危険性はエアガンやらボウガンの比では無いと思っています。
皆さま必ずこのようなレーザの危険性をよく理解して安全に使いましょう。
さて、あいかわらず前置が非常に長いみら太な日々であります。
こういった経緯で手元にやって来た二台のレーザ加工機+1本のレーザ管(50W)ですが、さすがに私も全部を活用する自信はないのであります。
まず、すでに自作レーザ加工機が稼働しており、これには40Wのレーザ管が搭載されています。さらに、以前ちらりと触れましたレーザマーカー。いずれ手を入れて動かそうと思ったまま放置になっていますが、これにもCO2レーザが載っています。(さらにさらに、今年の独身の日に2.5WのBlueレーザモジュールをポチってしまったのでした。)
ということで、現在わが工房にはCO2レーザ5基、合わせて180W分(笑)があるといういつにないインフレ状態になっております。
さてどうしたものかと思っておりましたところに、ちょうどタイミングよくマーティの工房日誌のマーティさんからお声がけをいただき、一台の面倒を見ていただくことになりました。
昨日マーティさんに工房へお越しいただき、大いに歓談した後に無事お引き取りいただくことになりました。
で、残りの1台はきっちり整備して使うことにして、残る裸の50W管をつかって計画中の大型加工機を作ることにしました。
ではまずいただいた加工機を整備して動作させてみたいと思います。
これが結構大仕事でしたので別投稿にまとめました。
コメント
マーティーです。
その節は、大変お世話になりましたm(_ _)m
私にとっては「あなたが神」であります。
いや~工房見学は、めちゃ楽しかったです。
またお邪魔させてください!
マーティさんお疲れさまでした。
早速動かしていらっしゃる様子、この勢いで年内には何かぶった切れるかもと期待しています。
CO2レーザの出力まできて初めて「レーザ加工をしている」というレベルになると思っています。出来ることがめっちゃ広がりますからね。ぜひぜひ安全に気をつけて楽しんでくださいまし。