中華レーザ加工機をMACH3対応に改造

レーザ加工機

 
とある方よりいただいた中華レーザ加工機を自作の参号機に替えて今のメインマシンにしています。

中華加工機によくあるパワー調整マニュアルのやつです。

制御はMoshidrawという中華ソフトウェアと専用ボードで行われています。
が、これがなんとも使いにくいです。
ラスター/ベクター両方とも対応しており、またdxfのインポートも可能です。グラフィカルな画面で加工物を図面確認でき、さらに切断する線を選択することも可能です。

このように書くとちゃんとしたソフトの様に思えますが、というか機能的にはしっかりしたソフトウェアであることは間違いないのですが、これが期待通りに動いてくれないのです。
まず、ファイルによって原点が変わる(としか思えない動き)、順調に切っているように見えて突然あらぬ方向へドリフトしていき、壁に衝突してガガガガガと引っ掛かってステッピングモータが脱調する。なぜか裏表が逆転している、しないときもある、ミラー反転させても反転しない。レーザ出さずに一度試し描きをさせ、うまくいくことを確認してから再描画させると同じ動きをしない。dxfのちょっと複雑なもの、といってもラインで数百本くらい、を読み込むと応答なしになってリブートするしかない。
等々、贔屓目に見ても「うまく切れる場合がある」という感じでなんとも信頼感が低いのです。特によく使うベクターカットの時。
ということで、最近めっきり使う機会が減っておりました。

現在300x600mmの板を乗せられるステージを持った新しい加工機を設計中ですが、完成はかなり先になる予定なので、それまでは何とかこの中華機とうまく付き合っていきたいのです。
いろいろネットを調べてみますが、そもそもこのMoshidrawの情報が少ないです。日本でもかなりの方が勝ったと思うのですがどうしてかな。
海外のフォーラムを覗いてみると、やはり同じようなトラブルに見舞われている人がたくさんいるようで、さらに調べると「どうやってもうまくいかないのでコントローラ交換したよ」「コントローラ交換するしか手はない」といった雰囲気で、どうやって解決するかという議論よりも、どのコントローラに交換すべきかの議論のほうが活発です(笑

これ見て私もあきらめることにしました。
まあ、もともとハンコつくるためのレーザ加工機ですから多大な期待をしてはいけないのかもしれません。
ということで、私もコントローラを交換することにしました。

まずは中の構成を今一度確認します。
右側のコントロール部を開くと、中には中央に高圧電源、その右がバラスト抵抗、左がモータとコントローラボードの電源、そして手前に縦に固定されているボードが問題のMoshidrawコントローラです。

開いた蓋の裏。上から電源スイッチ、レーザ電圧印加のロック/ロック解除スイッチ、レーザをワンショットできるテストスイッチ、パワー調整用ボリューム、レーザ管に流れる電流を読み取るアナログ電流計がついています。

これがMoshidrawコントローラボード。
大きめのマイコン(PICかな)、放熱板の下がモータドライバでしょう。右上にはX軸モータとリミットスイッチへの配線。12chのフラットケーブルが使われています。その下はボードへの電源とレーザON信号線、写真では見えませんが、さらにその下にY軸モータから来る四色のリード線が接続されているXHコネクタがついています。左奥はPCへ接続するUSBコネクタです。

モータ電源。DC24Vです。

レーザ電源のコントロール部。パワー調整やインターロック、ONトリガ入力などが集まっています。このあたりは昔すでに悩んで解決済みです。

加工室内はX軸の左側にステッピングモータとリミットスイッチ回りが集まっています。
Y軸のモータは写真左下角の板金下に隠れています。

Xじく左側。X軸を駆動するステッピングモータと左側にはX軸リミットスイッチ、右下にはコネクタが乗った中継基板兼Y軸リミットが取り付けられています。X軸のリミットスイッチはよくあるレバー式のマイクロスイッチですが、Y軸はフォトインタラプタになっています。

 これが中継ボード。親指のすぐそばにある黒いのがフォトインタラプタです。

フラットケーブルは使いにくいので配線を交換することにします。
ということで、この中継ボードも一旦外します。

これ。表の4PXHコネクタはX軸ステッピングモータが接続されています。
この写真ではフォトインタラプタがよくわかりますね。

うら。2PXHコネクタはX軸リミットスイッチへの配線、フラットケーブルコネクタはボードへの配線がつながります。

結線調べます。4PのステッピングモータとX軸リミットスイッチは接続をテスターで調べれば終わり。
フォトインタラプタは、どちらかがLEDでもう一方がオープンコレクタ接続されたフォトトランジスタのはずですので、基板をよく見ます。抵抗が乗っているのをを見つけましたのでそちらがLED側です。抵抗値からここには5Vがかかっているらしいことが分かります。どちらがプラスかについても基板をよく見ます。基板の外周を囲むように広い面積のパターンになっているのがまずGNDで間違いないです。
といったことを参考にしつつ接続を割り出します。つながってない端子が4つもありますね。

フラットケーブルは使わないのでコネクタを外して、新たに配線します。

こんな感じ。

裏。

基板を元通りに固定します。

配線はスパイラルでまとめてコントローラ基板まで引っ張っておきます。

加工室側の改造はこれで終わり。

ではいよいよボード交換です。

Moshidrawコントローラボード外します。

代わりに取り付けるのは参号機で使っていたこの自作MACH3ドライバです。
この基板にはマイコンは乗っていません。
MACH3はPC上ですべてのリミットスイッチ、ステッピングモータのステップ信号まで作ってからパラレルポート経由で出力しますので、加工機側はモータドライバとモータドライバ用のロジック電源回路、いくつかのプルアップ抵抗だけ載っていればよいです。
ほんとは全部の入出力をフォトカプラで絶縁するべきだと思いますが、今のところレーザON/OFF用の出力だけを絶縁しています。

では配線していきます。
まず電源はそのまま流用できますので、24Vを接続しますが、なんとこれ、同じ色のリード線が使われています。あんまりじゃないですかねえ。プラスもマイナスも青色です。
これを許している設計と製造ですからね。品質は推して知るべしであります。

当然赤プラス青マイナスで配線をやり直しました。

ステッピングモータは先ほど加工室から引き出してきた配線のモータ線4本にテスターを当て、接続されているもの同士を隣にしてXHハウジングに突っ込みます。
接続さえ間違えなければ、極性はMACH3上から設定可能です。二相バイポーラステッピングモータは二相のどちらかの配線がひっくり返っても逆回転するだけです。

Y軸モータはXHハウジングがついていましたので、そのまま流用しようと思いましたが、外しているとポロリとコンタクトが外れました(笑
一体どんなカシメをしているんやらと思ってみてみると…ひどいもんです。
専用工具を使っていないのは明らかですが、確認も何もなされてないんでしょう。作業手順書なんか無いラインでくっちゃべりながら作ってるんでしょうね。
いままで良く動いてたな

当然全部やり直しです。気を取り直してコンタクトをカシメ直します。

リミットスイッチもしかるべき配線をすればボード側は終わりです。
パラレルケーブル接続して、

MACH3立ち上げて、テストパネルを開きます。

設定は簡単で、モータの回転方向を合わせ、リミットスイッチのポートをXYそれぞれの軸にアサインします。Y軸だけ回転方向がひっくり返ってましたので設定を変更しました。
その後モータ回しながらリミットスイッチをテストし、原点復帰ができることを確認します。
さらに、MACH3の移動量とキャリッジの移動幅が合うように、1mmあたり何パルス送るのかを設定します。
Moshidrawはえらくモータ駆動音がうるさかったのですが、1/4のマイクロステップ制御はやっていたっぽいですね。交換したモータドライバは1/8マイクロステップにしましたのでパルスレートを倍にすればぴったり移動量が合いました。
モータの動作音も非常に静かになりました。

ということで、中華加工機のMACH3対応が完了しました。
MACH3はもう6年くらい使ってますからそれこそ慣れたものです。
これで好きなだけアクリル板加工ができます。早速作りたかった1/2ミクさんのベース板を作りたいと思います。こちらは次の投稿にまとめます。

コメント

  1. sbin より:

    やはりMACH3は捨てられません。UC-100 は調子よく稼働しています。
    ところでお勧めのあ中華CO2加工機はありませすでしょうか?少し検討してみます。

  2. みら太/mirata より:

    sbinさんこんにちわ
    MACH3はほんとによくできていると思います。ほしい機能が全部そろってます。しかもUIが自然なんですよね。
    中華加工機のおすすめは無いです(笑
    sbinさんなら作れるでしょ
    自分で思うようなものを作ったほうが絶対いいです
    頑張りましょう