ガス冷却ペルチェ方式霧箱 その41 構成を再検討

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ようやく軌跡(飛跡ともいわれていますが、なんとなく軌跡で書き始めてしまってました、遅ればせながら今後は飛跡と書いていきます)が確認できましたので、仕上げに向かっていきたいのですが、ここまで行ってきた検討の印象から、ペルチェ素子4枚使いというのは無理があるように思われます。というか、1枚で-40℃まで冷えるので、これだけで何とかなるのではないかという気がするのであります。
そもそもなんで4枚使いを検討していたのかというと、飛跡を観察できる面積を増やしたかったからです。ペルチェ素子1枚のサイズは40mm角、それを4枚使えば80mm角になると、そう考えたわけであります。
今回飛跡を確認できたときにペルチェ素子に乗せていたのは、40mm角、厚さ0.5mmの黒塗装アルミ板でありました。つまりペルチェ素子と同じサイズのものを使っていたのです。下の写真のやつですね。

で、改めて飛跡が確認できた動画を見ていると「この板をもう少し大きくしても大丈夫なんじゃね?」と思い始めました。ペルチェ素子よりも大きな板を乗せて、その板のサイズで観察ができればペルチェ素子が一枚で済みますので作るのも面倒じゃないし、第一ガス冷却系にかかる負荷が1/4と激減します。

ということで、いくつかの実験をしてみました。
40mm角のペルチェ素子1枚に対して、上に乗せる大きめの板としてまず選んだのはこちら。直径80mm、厚さ1mmの銅板です。ペルチェ素子の上に乗ってない部分は伝熱でしか冷えませんので、少しでも熱伝導率の良い銅版を使った方が良いと考えたのです。
早速ラッカーのつや消し黒で塗って実験してみました。

が、この構成ではあまり多くの飛跡を観察することができませんでした。銅板は伝熱もいいですが、放熱もいいので、あまり効率が良くないのかもしれません。厚いのも問題なのかな。
0.5mmの薄い銅版も持っているのですが、あいにく今会社にもっていってしまってます。
後日実験することにします。

ということで、もう一度アルミ板に戻って少しずつ板のサイズを拡大していくことにしました。
まずは60mm角。下の写真で比較ください。ペルチェ素子に乗っているのが40mm角、手前が60mm角です。厚さは同じ0.5mmです。

ペルチェ素子に乗せて線源置いたところ。ぐっとサイズアップですね。うまく行くかな。

ちょいと線源の位置を変えましたが、同じ板で実験です。

大丈夫ですね。よく飛跡が見えます。このサイズは問題なく使えそう。

となると当然もう少し欲が出ますよね(笑
80mm角にします。これが使えるのであればペルチェ素子の4枚使いは全く必要ないということになります。サイズは下の写真で比較ください。

これはでかいです。このサイズ、水冷ペルチェ素子霧箱の4倍の面積、今回設計目標にしたサイズです。

今回は線源で土手を作って中にアルコールを溜めてみました。アルミは平板ですが、宣言の溶接棒で土手を作ると浅いアルコールプールを作ることができます。こうすれば林式霧箱になります。さらにこの構成では、アルミ板だけでなくエタノールによっても冷熱が運ばれますので、周辺とペルチェ素子直上の温度差が小さくなることも期待できます。

チャンバ乗せるとギリギリのサイズです。これはでかい。うまく行ってほしいです。

で、やってみますと、あっさりとうまく行きました。素晴らしい。

あんまりうれしかったので写真を何枚か。

さらに動画を。


全く問題ありません。ペルチェ素子1枚で80mm角の観察エリアで決定です。
ペルチェ4枚いるだろうと思ってたんですけどね、珍しいことにうれしい側に誤算でした。
設計的にはやり直しです、せっかく切削加工したエタノールプールもお蔵入りになっちゃいます。が、実験事実には従うしかないのであります。
ということで、チャンバ構造は再設計となりますが、ここでついでに確認しておきたいことがありますので、そこまで進めておきます。

確認しておきたいことは何かというと、雑イオンの抑制効果についてです。
詳細は霧箱に関する貴重な情報源であります名大F件様を参照いただくとして、霧箱チャンバの上下に電界を形成することで空中を浮遊する雑イオンをトラップし、飛跡をよりはっきりとさせることができます。つか、これをやらないと飛跡が次第にボケていって、観察できる飛跡の数も減っていってしまいます。
飛跡がボケるとはこういった状態です。下の動画をご覧ください。


ね、全然違うでしょ。これは一つ前の動画を撮影した後に、そのまま10分ほど放置してから撮影したものです。数分の間にチャンバ内の環境はここまで変わってしまうのです。
ということで、雑イオンの抑制は大事です。
トラップは静電集塵と同じ考え方で行います。よってかなりの高電圧を使います。子供たちとドライアイス霧箱の実験をするときなんかは、風船をこすって静電気を使ったりします。ほしいのは電界なので静電気の電荷量で十分なのです。
みら太な日々では風船を使わずに、水冷ペルチェ方式霧箱でも使ったこの高圧電源を使います。今は亡き日米無線電機で買ったやつなんですよこれ。もう手に入らない。
説明書上は解放で約6000V出るとのことですので、チャンバ上下が100mmとして、60kV/mの電界強度ということになります。まず十分でしょう。

一方をガス枕に、もう一方をチャンバ天井の金属ネジに接続します。このネジはアルコールをしみこませたコットンパフを保持する棚を取り付けるためのものです。
電界は下に向かって広がる不均一電界になりますが、電位勾配を形成するには問題ないはずです。雑イオンがどういったものであるかによってどちら向きの電界にすべきかを決める必要があると思われますが、とりあえず上をプラスにしておきます。空気中のイオンは負イオン、または負帯電粒子が多いように思われます。いずれ電界の向きによる違いを比較してみましょう。
では電圧を印加して実験です。

動画でどうぞ。
コットンパフにしみこませたアルコールが減ってきているみたいで、飛跡が現れる頻度はやや下がっていますが、飛跡自体は非常にシャープになっています。ガス枕を電極にしても効果は確認できました。この構造で行きましょう。

この実験では、ガス枕への接続はこんな感じにGND側の線を延ばしてワニ口でガス枕にかみつかせただけです。

ということで、ペルチェ素子たった1枚で80mm角の観察領域を冷却できることが確認されました。
実験につかった板を並べます。真ん中が40mm角です。80mm角の観察エリアが非常に広いのが分かりますね。ここまで広ければトリウム線源で観察できる飛跡のほとんどはエリア内に収まります。最初から最後まで飛跡を見ることができるということです。

こうせいが決定し、チャンバ構造の再設計に入ります。
が、その前にもう一つだけ実験したいことがあります。それを終わらせましょう。

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