DELL Inspiron3500 の分解

分解




 
昔はよくジャンクノートをたくさん買い込んできて、二個一で動くもの作ってヤフオクで売ってお小遣い稼ぎをしていました。まだ無印Pentiumの頃ですかね。随分といい思いをさせていただいたものです。みら太な日々に活用されている設備のいくつかはこれらの儲けから購入されたものであります。
さて、そんな時代からなぜか捨てずにとっていたノートPCが一台ありまして、今回それを分解いたしました。そのまま捨ててしまってもいいのですが、それなりに有用部品が回収できるのでもったいなく思った次第。
ということで、今回は久々の製品分解投稿です。
こちら

DELLノートPC Inspiron 3500です。98年発売。20世紀のPCです。

もっとも安いモデルでも30万以上したという超高級品。Mobile PentiumⅡ。

バスはPCMCIAx2、オーディオ、

USB(もちろん1.0)、PS2、

シリアル、パラレル、RGB、そして専用の拡張バスという構成。
このパラレルがあったゆえにこれまで捨てずに持っていたのです。ノートPCでMACH3が動く環境を持っておこうかなと思って。

裏面。電池とCDROM(DVDではありません)。

メモリは思いっきり挿してますね。スペックによると最大256MBとのこと(笑

では分解していきます。
ノートPCの分解手順はメーカーによらずほぼ同じ。見えてるねじを全部外して、ディスプレイと本体を分解→キーボード外す→本体を上下に割る→HDD外して云々といった流れ。
まず二つに分けます。

キーボード外します。

この下がCPU。左上にヒートパイプっぽい銅部材が伸びていて、その先にファンが見えています。

電池とドライブ外します。

HDD外します。容量いくらだろう。IDEバスで、OSはWindowsXPです。たしか。

外せるものをどんどん外していきます。板金類は廃棄ですが、この辺りはジャンク部品箱に放り込んでおきます。

中央近くにグラフィックチップがありました。NeoMagicとかいう懐かしい名前が見えます。昔はほんとにGPUのメーカーが沢山ありましたよね。

ヒートシンクの下はやはりCPU。左はPentiumⅡだとして、右は何かな。ノースブリッジですかね。

基板上の部品はリサイクルできるものがありません。そもそも外すことがほぼ不可能な上に、回収しても再利用の用途を全く思いつきません。

ということで、メインボードはねじを回収したら終わりです。

袋に入れて燃えないゴミに出します。

ではここまでに外したモジュールを分解していきます。
まずCDROM。

ケース外して、

モジュール取り出します。

見えるネジを全部外してやれば、

上下に割れます。

ピックアップ部分。CDROMは内側から読んでいきます。
レコード世代の私には随分と違和感がありましたが、さすがに慣れました。

トレイを引き出しますが、普通は取り出しボタンを押しても何も起きません。
ここにある小さなソレノイドのコアを引き込む必要があります。

ですが、電源入れなくても開けられるようにソレノイド近くにはたいてい手動でラッチを外すための穴があります。このドライブの場合はここでした。

穴にドライバ突っ込んでピンを外してやるとトレイが出てきます。

裏のねじ外せばピックアップとモータが見えます。

この部分はモジュールになっていて、丸ごと外れてきます。同じトレイの設計でモジュールを入れ替えるだけでCDROM、CDR、DVDなどグレードに合わせたドライブ選択ができるようになっているのです。

ドライブ内部のねじはどれも非常に小さいです。なかなか売っているものではありませんので貴重なリサイクル部品です。

ピックアップを動かすための小さな小さなステッピングモータがついています。出力には3つもギアが。

どんどんばらします。ピックアップをスライドさせるシャフト二本を入手。

ピックアップ本体。ダイキャストのフレームに光学部品がUV接着剤で固定されまくってます。

ピックアップの可動部を外します。トラッキングのために上下左右に動く部分。テクノロジーとノウハウの塊のところですね。

ほぼ分解終了。

ドライブのコントローラ部分。

流用できる部品はありません。ソレノイドとねじだけ取って残りは廃棄。

ここまでで中間まとめです。リサイクルできそうなのはこの辺りの部品かな。

M3、15mm、黒、トラスというこれだけ買ったら200円くらいするであろうと思われるねじ。

こちらも買うと高い小ねじ。

小ねじは小ねじ入れへ。

M3以上はこのジャンクねじ入れへ。このビンの中身はすべてこれまでに分解したジャンク品から回収したものです。このほかにタッピング専用ビンもあります。

電子部品関連はジャンク部品入れへ。

バネはジャンクバネ入れへ。

ではディスプレイ部に取りかかります。まずは見えているネジを、と行きたいところですが、見えているネジは一つもありません。ということで、そんなときはゴムのブッシュを疑います。たいていその下にねじが隠れています。

このモデルもその通りでした。上下左右4か所のねじ外せば、フレームカバーが外れてきます。

20世紀のノートPCですからバックライトは当然冷陰極管です。こちらは点灯用の昇圧インバータ。高圧部は保護されています。

基板外して液晶モジュールを外します。

14inch、XGAのTFT液晶パネルです。さすがにこのころの液晶はすべてTFTになっています。

裏側。まだガラス基板上にドライバを作り込むIGZOみたいな技術はありません。裏は引き出し線だらけで、引き出しのフラットケーブル上にロウ/カラムドライバチップがベアで実装されています。これだけでも驚異の技術でしたよね。

黄昏るのはそのくらいにしてパネルをさらに分解していきます。液晶パネルはこのように爪で固定されているものと、小ねじで固定されているものがありますが、今回は爪タイプ。ねじが回収できずちと残念。

爪をまげてフレームを外します。

これがベアチップの実装部分。

液晶パネルはたくさんのフラットケーブルで裏面の基板とつながっていますので、このフラットケーブルをカッターで切り裂きます。

するとパネルが最終段階まで分解されます。左から液晶パネルそのもの、変更フィルム、光源の拡散フィルム、アクリル導光板、背面反射板、フレームの順番です。

フィルム類を全部取り出します。レンチキュラーレンズみたいなフィルムは薄いのに向こう側ではなくちょっとずれたところが見えるという不思議な効果を体験できます。
この辺りのフィルム技術も日本がぶっちぎっています。素晴らしい。

これらのフィルムも取っておきます。拡散フィルムはLEDの粒をぼかしたりするのに活用できます。導光板であるアクリルの板はもちろん板としての素材となります。
今回のアクリル板は楔型していますので材料としてはいまいちですが。
分解はここまでです。液晶のガラスを二枚に分けようなどとしてはいけません。液晶材料には毒性が高いものがあります。微量ですが気をつけるに越したことはありません。

ということで、ノートPCの分解でした。
回収出来た部品は多くはありませんが、ネジだけでも80本近くあります。それだけでもかえばすぐに数百円になりますよね。何よりも身の回りのものがどうやってできているかを知るための何よりの勉強になります。分解によって得られるものは計り知れないのであります。みら太な日々ではこれまでも幾多の分解を行ってまいりました。皆様にも自信をもって分解をお勧めします。
壊れた電気製品や、ジャンク品を入手すれば元手はほとんどかからず、有用部品と休日の楽しみと何よりも経験と知識が蓄積できます。

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