夏休みからこっちいろいろ分解しております。
もはや分解記事が多すぎて投稿するかどうか迷うのですが、しばらく間も空きましたのでまとめて投下しておきます。
まずはスキャナ。
EPSONのGT-7000です。
もうどこで買ったかも忘れました。
300円も出しているのはこれまでの経験で結構なブツが回収できることがわかっているからです。
ふた外して、
この奥にあるネジを緩めれば、
あとは数か所の爪を外すだけで上下に開くことができます。
まずうれしいブツその1はこのガラスです。
町のガラス屋さんに行ってもガラスを買うことはできますが、結構な値段がします。
このサイズだったら2000円はするんじゃないかなあ。
ガラスは両面テープで固定されています。この構造はどのスキャナも同じです。
ガラスに余計な力が掛からないように注意しながら端から外していきます。
外れました。
その2はこのシャフトです。
シャフトの固定は様々な方式がありますが、これは一端にねじ切加工がしてあってナットで止めるタイプでした。
ナットの右下にはええ感じのステッピングモータが入っております。2相バイポーラのもので、A4988をつかったよくあるモータドライバ基板を使えば簡単に回すことができます。
応用の可能性は無限大であります。
ではバラしていきます。
シャフト外します。
制御基板。頑張ればモータドライバICやらフォトインタラプタやらUSBコネクタやら回収できますが、部品ジャンクは溢れかえっておりますのでこのまま廃棄します。
電源。おそらく12Vか24Vと5Vあたりが出ていますが、大した容量ではないはずなのでこれも廃棄。
ヘッド分解します。
縮小光学系が折りたたまれて収納されています。
内部。冷陰極管点灯用インバータ基板、細長い表面鏡、レンズユニット、ラインセンサ基板などなど入っております。
センサ基板外します。
ラインセンサ。いつかラインカメラ作ってみたいと思いつつ。
レンズ。
芋ネジで止まっていますので、六角レンチで緩めて取り出します。
これがけっこう使えるやつです。
新聞を、
このように美しく拡大できます。
スマホのカメラの前に押し付けているだけですが、マクロレンズとして立派に機能します。
いろいろすっ飛ばしてますが成果確認。今回回収したものは以下の通り。
ガラス板、シャフト、フラットケーブル(1mmピッチで14Pだったかな)、タイミングベルト、ベルトプーリー、ステッピングモータ、レンズユニット、バネ少々とネジといったところ。
小ねじが5本、タッピングが32本と控えめでした。
みら太な日々的には大きな投資である300円の投下でしたが、十分な見返りがありましたね。
ではお次。インクジェット複合機。
EPSONのPX-A640。とある方からいただいたもの。というか、周り中に「なんか捨てるときは私にくれ」といいまわっており、その結果として入手できたものです。
二回はスキャナ、一階がインクジェットプリンタというよくある構成です。残念なことにスキャナはCIS方式(いわゆる薄いやつ)なのでたいした部品は期待できません。
この板の下にモータがいますが、軽いCIS動かすだけなので小さいはずです。
シャフトもありません。成形で作られた筐体一体のレールにシリコングリス塗って滑らせてます。
一階は、
シンプルなYMCK4色インクのヘッドをもつインクジェットプリンタのようです。カバーがしっかりしてて分解しにくそう。
では行きます。方針なんて特にありませんが、上から順番に行くくらいかな。
廉価版のプリンタなのでネジよりも爪勘合が多いことを想定して作業します。
まずスキャナユニット外します。
ふたを抜いて、
本体横に小窓があり、その中にスキャナ部からの配線を繋ぐコネクタが入ってました。
これですね。慎重にコネクタから抜きます。
スキャナ外れました。
見えるネジ全部外して上下筐体を外します。
CIS(Contact Image Sensor)の略です。ロッドレンズアレイの下にラインセンサが並んでいます。はし箱くらいのサイズ。
ロッドレンズアレイは束ねるとテレビ石みたいなのが作れますので面白いっちゃ面白いのですが、紙面を読み取るために焦点距離が短いですし、原理的に被写界深度が稼げないのでいまいちであります。さらにこのレンズアレイは暗いです。
どっちかというとこのフラットケーブルに興味があります。長くて折り目が比較的少ないです。使えそう。
こんなに長い。
モータはあまり期待せずにばらしますと、
何ともかわいらしい。ですが、これも2相バイポーラの立派なステッピングモータですので用途を絞れば使えます。しかも減速ギア付きですので最終段のトルクは結構な値になるのでしょう。ゆっくり動かせばいいものにはこのまま使えます。固定用のネジ穴も開いてますしね。
CIS型スキャナでもガラス板はしっかりしたものが入っています。これは立派な収穫。
と思いましたが、こ奴無駄にしっかり固定されています。
このスキャナユニットはプリンタ部の上で開閉される部分でもありますので、静置される一般的なスキャナよりも設計条件が厳しめになっているのでしょう。
筐体を割りながら慎重に外していきます。
がっちりついていてなかなかに怖いです。
何とか外れました。
両面テープもしっかりしたものが使われています。外すのに一苦労します。
ようやくきれいになりました。
プリンタ部に移ります。とりあえず見えるネジ外していきます。
そういえば、スキャナユニットを支えている開閉部分のヒンジからは良いバネが手に入ります。
これですね。開と閉でそれぞれラッチがかかるようになっています。
ばらすの結構大変ですが、こんなに大きなバネが手に入ります。しかも左右で二本。
これです。長さは50mm位かな。
分解続行。制御パネル外します。
タクトスイッチついてますが、いらんです。
ここもええ感じのフラットケーブルが見えますね。
筐体分割して、
ざっと様子を見ます。
やはり廉価版だけあってコストダウンというか妥協というか、徹底していますね。
プリンタからの有用な回収物の一つがヘッドを支えるシャフトなんですが、このモデルではなんと板金の端部を曲げ加工してそこにグリスを塗って滑らせています。賢いっちゃ賢いのですが、まあすごい妥協です。寿命短いでしょうねえ。
ロジック基板外します。
これ以上分解する需要も気力もありません。
樹脂筐体のベースから板金構造体を取り外します。ヘッドにつながるフラットケーブルを傷つけないように慎重に。
詳細に確認しますが、
うーん
うーん
見事なまでに有用な部品がありません。
紙送りもヘッドの移動もDCモータとエンコーダです。
めげずに分解していきます。少なくとも紙挿入とヘッド洗浄部分にはステッピングモータが使われているはずです。
キャリッジ外します。
ヘッド部。EPSONですからピエゾのヘッドのはずです。
100V程度のDCパルス電圧かけてピエゾ素子を動かしているはずで、動作原理自体は結構シンプルなはずなのですが、駆動系のICがほぼ全てEPSON専用になっているのでデータシートが見つかりません。いつか駆動してみたいと思っているんですが、なかなか情報が無いんです。
インクカートリッジ外してフラットケーブルを無傷で回収するべく分解を進めます。
これが結構複雑な引き回しになっていま死す。
気持ちはわからんでもないのですが、もう少しシンプルな設計に出来たような気もします。
最終的には暴力を行使(笑
この部分がフラットケーブルコネクタになっていました。
そこそこの長さのケーブルを無傷で回収。頑張った甲斐がありました。
本体に戻ります。紙送りローラーのエンコーダ外します。これもいろいろ使い勝手があるんだと思いますが…。
普通のDCモータを回収。
電源ユニット取り外し。
これもモータ駆動とロジック用の2電圧出ていると思われますが、容量は大したことありません。
ヘッド洗浄部の分解に入ります。
ここから先はインクまみれになりますので手袋を使用。
この部分はメカ屋さんの本領発揮部分というかなんというか、実に複雑な構造をしています。たった一つのモータの正転/逆転、ヘッドがホーム位置にあるか否か等の条件でカムやピン、歯車が連携させて給紙とヘッドからのインク吸出し動作を行なっています。
捨てインクを吸収するパッド。ここの汚れ具合を見ればそのプリンタがどのくらい使われてきたかわかります。このプリンタはそれほど酷使はされてない様子。
これがインクを吸い出すためのポンプ部分。小型のペリスタポンプが構成されています。
ばらしていきます。
ポンプのモジュールを外します。
シリコンゴムチューブが円筒形のポンプ内を貫通しています。
裏から見たところ。わかりますかね。
ペリスタポンプはこのシリコンチューブをローラーでしごくことによって送液を行います。気体でも液体でも扱え、吸引も圧縮もできる優れたポンプです。弱みはチューブの耐久性にあります。ローラーがチューブをしごくという動作が肝なので、チューブがへたると動作しなくなります。チューブの復元力が吸引力の源です。
街の中ではコンクリートを圧送する大型のポンプ車にペリスタ方式が多く使われていますね。マンションの建設現場などでよく見かけます。
使うかどうかはわかりませんが、中を洗浄して取っておくことにします。
シリンジで水を圧入します。
通常のペリスタポンプは正転逆転両方で使え、吸引と吐出は両サイドで等価です。が、インクジェットプリンタのペリスタポンプは方向性があります。ヘッドからはインクを吸い出す動作しか行いませんので逆方向の特性は不要なのです。のでポンプ内部でローラーは関節のあるアームに保持されており、逆転時には関節が折れてチューブとローラーが離れるようになっています。賢い作り方です。ちなみに、荒っぽく言うと逆回転しているときは給紙動作をしています。
ここまでの分解で箱一杯の筐体の残骸が出ました。
何とかしてこれを再利用できないものかと考えています。粉砕してペレット化し、射出成型の材料に出来ないか、3Dプリンタのフィラメントに出来ないか(これはすでにKickstarterにリサイクルのための機器が提案されていますが高いです)等々。何かいい方法がないですかね。上手くリサイクル出来れば環境保護に大きく貢献できるはずです。
この辺りの取り組みこそ趣味のMakerの頑張りどころだという気がします。
では成果物の確認です。
まずフラットケーブルたくさん。
先ほど洗浄したペリスタポンプ。
DCモータ2個、ステッピングモータ1個。
たくさんある歯車の中からひょっとしたら使えるかもという形のものをいくつか。
それから、バネやらネジやらたくさん。
バネ。
よくわからない短いシャフト。
ネジはこんなに回収できました。素晴らしい。
小ねじは小ねじ入れに。
タッピングはタッピング入れに。
バネはバネ入れに。
ガラス板はガラス置き場にそれぞれ保管します。
廉価版複合機でしたが、それなりの成果物回収ができました。
さらにお次。みら太な日々的には珍しいHDDレコーダです。
わが家で長年使われていたものですが、BDレコーダの導入に共ない引退したまま放置されていた物。HDDにエラーが出ているのか動作が不安定になってました。
パナソニック DMR-E100H。
フロント。
リア。
コンポジットがメインで、S端子もあり、という2003年製のモデルです。
では行きます。
まずファン外して、
後のねじ外せば簡単に蓋は開きます。
DVDドライブ。
ここが多分HDD。
フロントパネルは爪でひっかけになっています。
簡単に外れます。コネクタ外しておきます。
VFD。
この辺が電源。
PCカードスロットがついてるんですよ。懐かしいですね。
フロントパネルからばらしていきます。
LED付きのプッシュスイッチです。買うと高いので外しとこうかという気が一瞬おきますが、面倒&いつどこに使うつもりやねんという気持ちがそれを抑え込みます(笑
DVDドライブ。
皆さん、これIDE接続ですよ。
カートリッジタイプのDVD-RAMにも対応するドライブです。パナのこだわり。
HDDのカバー外します。
MaxtorのHDDが入っていました。
ATA133接続です。
ジャンパの設定は、
ケーブルセレクトになってます。
マスター/スレーブという設定もSCSI IDみたいに段々と忘れ去られるんでしょうね。
電源基板。ロジックの基板とははっきり分かれております。安全設計、というか設計部隊が違うのだろうと思われます。
IF基板。使えるものは何もありません。
RFモジュール。地デジにすら対応しておりません(笑
エンコーダ/デコーダ基板ですかね。ASICだらけでなんも出来ません。
裏。部品大杉。
ほとんど何の収穫も無いままボトムに到達。
メイン基板の裏。
表。基板でかすぎ。
これで終わりすか。
しゃーないのでドライブを分解します。
これも大した収穫が無いことは分ってるんですがねえ。まあ、小ネジくらいですか。
ヘッド。CD/DVDの二波長対応と思われます。
パナのこだわりでカートリッジDVD-RAMに対応しているのでそのための無駄なメカが入っております。
これかな。スピンドル自体が上下してディスクの穴を押さえに行く構造になっています。
こちらはヘッドを動かすための小型ステッピングモータ。
ここでやめるとゴミ作っただけになりますので最後まで進めます。
スピンドルキャリッジ外します。
これがそのステッピングモータ。送りねじ一体型なのでなんか使い道があるのではと思って取っておくのですが、そうやってもう20個くらいあります(笑
スピンドルモータ部。
フレキの上になんでも実装する合理性は見習いたいですね。大量生産のなせる業ですが。
こじれば外れますのでリミットスイッチくらいは回収しておきますか。
スピンドルを持ち上げるためのモータ。歯車込みでコストダウンの敵です。多分。
ロジック基板見えてきます。
いやあ基板がでかいですねえ。時代を感じます。今はこの1/4以下の面積で片面実装じゃないかな。
ヘッド。ダイキャストのアルミベースに板金ねじ止めというよくある構造。
ここからは小さなネジが結構な数手に入ります。
どうなってもいいので破壊寄りの分解を実施。
レンズとアクチュエータ。ごついですねえ。
レーザとアナモルフィックプリズムが見えます。UV硬化接着剤でがっちり固められているので回収は望み薄であります。
ということで、ほぼ破壊で終了。ねじを回収したのみです。
最後はHDD。120GB、IDE、動作怪しいとなると使いみちは磁石回収だけです。
Maxtorはこれなんですよねえ。へそ付きトルクスではないのでまだましではありますが。
分解マイスターのみら太な日々工房には当然分解工具もそろっております(笑
何気にシール下にもネジが隠れています。これはヘッドキャリッジの軸を固定しているネジですね。HDDは各社基本的にすべて同じ構造です。
開きました。
その昔は「ハードディスクってどんなのなんやろ」と思っておりましたが、すっかり見慣れた光景です。
ちなみにみら太な日々が初めて購入したHDDはTAXANの70MB品(※MBです)でした。20世紀の話です。
磁石。HDDによって上下にあったり片方しか無かったりいろいろです。
この磁石はねじ止めされていないものが多いように思います。これも自身の磁力で固定されていました。よって引っ張れば外れます。
こ奴は下側にも磁石がありますね。ということでヘッドのキャリッジを外します。
コイルのところをバキっと破壊しても良いです。
外れました。今回は穏便にドライバーを使用。
下側磁石。こちらはねじで固定されていました。
回収完了。磁石同士をくっつけてしまわないように注意です。指挟むと血豆ができますし、衝撃によって割れる可能性も高いです。
この磁石はNdCoかSmCoか分かりませんが、いずれにしても陶器のようにもろいものです。さらに、表面の銀色はメッキです。これらの強力磁石は錆に弱いという弱点があります。できるだけ傷つけないようにしましょう。
ほかには魅力的なものは何もありません。ディスクをカラス除けにするくらいですか。効果があるのかどうか知りませんが。
元に戻して廃棄します。
磁石はいろんなもん止めるのに便利です。
わが家の冷蔵庫にはHDD由来の磁石がたくさんくっついていて町内会のチラシなんかを止めるのに活躍しております。
ネジは結構取れましたね。
何と小ねじが37、タッピングが64本も。これはもっとVEしなくては。
小ねじ入れはありますが、モノが小さいのでなかなか貯まりません。
今回は光ヘッド回りからこれだけを回収。
最後は布団乾燥機です。
これも買ってはみたものの案外使わない。ということで放置になっていました。
レーザ加工機周りやそのた粉が舞う作業は多いので排気ファンとして第二の人生を送ってもらうことにしました。
ネジ数本外せばこうなります。
構造はシロッコファンの先にヒーターがついているという巨大なドライヤーです。
ヒーターにはあまり興味はありませんが、念のため取っときます。
シロッコファンは100Vの隈取りモータ駆動でした。回転制御が出来ないのでちょっと使いにくいです。インバータでも作るかな。
ということでたくさん分解でした。
これで分解予定物は半分くらい片付いたかな。とか言ってたらすぐ増えるので注意が必要であります(笑
コメント
私も資源ごみは病的に分別しているので、分解は見慣れた光景です。
みら太さんの記事は、いちいち解説を入っているのでいつも楽しみにしています。
ただパーツの用途もないので、ただ分解するだけですが。
プラッタを留めている部分は、風鈴にするといい音がしますね。
何かに使えるかと思って、磁石と共にため込んでいます。
KOHさん、私も分解したものを全部活用できているわけではありません。
出来るだけリサイクルでものつくりしたいと思ってはいるんですが、なかなか思い通りにはいかないものです。
プラッタ風鈴良いですね。2.5inchのプラッタは最近ガラスばかりですのでいい音がしそうです。