自作3Dプリンタ その2

自作3Dプリンタ

 
引き続き設計です。今回はリニアガイドとベルトを繋ぐパーツを描きました。この部分はすべて自分で設計し、3Dプリンタで出力する予定です。
FDM式の3Dプリンタをお持ちの方&ご自身で機構部品を設計される方は把握していらっしゃると思いますが、FDMで作った部品は積層方向とそれに直行する平面で機械的強度が全く異なります。
FDMの原理上積層方向の層間は「すでに冷え固まった下層に溶けた材料を載せる」ことになります。よって、層間はなんとなくひっついているといってもいい状態で、機械的強度は期待してはいけません。もちろんノズルが通過する一瞬下層の材料も溶けるので積層方向の結合がまったくないわけではないのですが、溶融と冷却硬化が連続的に行われる直行方向とはどうしても強度が違ってきます。
ということで、3Dプリンタで機構部品を出力する際は「どの面を下にしてどう積んでいくのか」「設計している部品はどの方向により強度が求められるのか」を考えて描く必要があります。
そしてそのうえでさらにアンダーカットを出来るだけ避け、積層方向の高さが低くなるように設計していきます。

いつも通り前置きが長いみら太な日々であります。
では設計の続きです。

いきなり道を踏み外しますが、雰囲気を味わいたかったので以前エクストルーダーを交換するときに描いていた図をインポートしてプリントヘッドを取り付けてみました。というかヘッドを想定する位置に配置してみました。繋ぎ部分は全く書いてません。リニアガイドに刺さっています。

刺さっている(笑

では接続部分を描いていきます。CaridgeBeltBridgeというコンポーネント名にします。
まず、適当な立方体をリニアガイドのブロックに重なるように描きます。

で、描いた立方体からブロックを引き算しますとこんな形ができます。

ちょいちょいとトリミングしてこんな形を作ります。
横浜基地所有の3Dプリンタの精度を考えるとまずちゃんとはできないだろうと予想されますが、ロジック上はこれでぴったりとスライドブロックにかみつくような形状のパーツがプリント出来るはずです。とりあえず一度作って考えることにします。

後はねじ穴開ければスライドブロック側の固定は出来るはずですので、ベルト側の固定を描いていきます。

何も考えずに描いていて、

ここまで描いてこのパーツのプリントはアンダーカットがあるじゃあないかと気がつきました。
別にアンダーカットがあってもラダーを立てればいいのですが、どうしてもラダーを使う部分ってきれいに仕上がらないですよね。特にPLAは削って仕上げるのがABSに比べて難しいのでラダーは使いたくありません。

イメージとしては、こんな風に取り付けて(黄色いパーツね)使おうと思ったのです。

ベルトはフレームの中を通っていますので、ベルトの水平を維持したままこのパーツに固定しようとするとどうしても「フレームの中にベルトを迎えに行く」ことが必要になります。無理やりベルトをフレームの外に引っ張り出すような固定をするとプーリーに近い両端でベルトが斜め方向にひかれることになり位置決め精度も力の伝達効率も低下します。
そのためにどうしてもパーツの一部をフレームの溝の中に突っ込む必要が出てきます。

こんな感じ。でっぱりが出ますので、プリント方向としては下の図の左上から右下へ向かって積層していくのが最適と思われます。で、そうするとでっぱりの反対側にあるへこみ部分がアンダーカットになるのです。

ということで、方針を変えました。
まずへこみをなくして、

こんな感じに裏側までベルトを引っ張って、下の図で言うと右上方向を向いている面で固定しようと考えました。
この形状で右上から左下に向かって積層すればアンダーカットはなく、一番短い辺方向に積むことになり、さらに最も強度を必要とするベルトのテンションがかかる方向は積層方向に直行しますので、引っ張りによって層間が裂ける心配もありません。

ベルトを固定する小パーツとねじを書き込みます。

ここまで描いとけばベルトの固定は出来るのですが、ちょいとこだわりを出して&fusionの練習を兼ねて実際に固定されている状態を図面化してみます。

まず注目するとこ以外のパーツを不可視にして見通しを良くし、ベルトの一部を削除します。

で、ベルトを引き出す形状に合わせてスケッチを描き、パスに沿ってまずベルトの平たい部分をスイープで描きます。

で、次に刃の部分をやはりパスに沿った配列を行い、その後これらを合成します。

するとこんな感じになります。
実際にベルトをクリップしてる感じがしてリアリティが出るでしょ。

….実は、たしかこのタイミングベルトのようなガタガタしているような形状を一発でスイープする方法があったような気がするのですが、調べても見つけることができませんでした。sketchupの動的コンポーネントの話と混同しているかもしれません。どなたかご存知でしたら教えてくださいませ。

こうして見えない部分にもこだわることで自己満足感が満たされます。
そしてここまでちゃんと描いておけば、時々アホなミスを見つけることもできます。

いい感じですね。
どうでもいいと言ってはいけません。無くてもいいような細部にこだわるところに趣味の宇宙が広がるのです。

で、最後はお決まりのレンダリングです。

早く設計を終わらせて作製に取り掛かりたくなってきました。
頑張りたいと思います。

コメント

  1. magu より:

    お久しぶりです。
    みらた様には旋回軸プラス、横軸、z軸構造に挑戦していただきたいです(^^;
    実現すればクレーン車で住宅をプリント出来ますよ!!

    • みら太/mirata より:

      maguさんどうもです
      確かに極座標動作する小型の3Dプリンタって見たことないですね。どでかい奴は中国かどこかで動いているのをGizmodoで見たような気がします。
      旋回軸は座標変換が面倒そうです。maguさんソフト作ってください。そしたら頑張ります(笑