酸水素ガス発生装置のレストア その2 掃除&掃除&掃除

修理、改造

 
核心部分に手をつけます。

ぐるりと、

確認して、

上蓋のナットを外します。なんかこなこながいっぱいついています。怖いので手袋してへっぴり腰で作業。

パッキンが固着しているのではないかという心配をよそにあっさりと蓋が開きましたが、

なかから予想しなかった構造体が出てきました。

これは何じゃ?
いや電極であることは間違いないのですが、電気分解槽というとなんとなく並行平板電極が並んでいるイメージだったので。

で上蓋をひっくり返してのぞき込み、

槽本体を覗き込んで納得。これは同心円の平行電極ですね。

こんな構造です。fusion360でさくっと。
これが上蓋の陽極側を下から見たとこ。

横から。

でこれが槽本体になっている陰極。

この二つがこんな感じに組み合わさっていて、

内部の電極はこのように互いに入れ子になっていて、

同心円の平行電極を成しているというわけです。

では勇気をもって掃除をしていきます。

まず上下の電極を固定していた長ボルトを全部抜きます。
本体を筐体に固定している台座部分も絶縁されてますね。槽本体は陰極であって、筐体はダイオード極性から陽極ですので、ここは絶縁しておかないとトランスの出力が短絡するところです。

LEDライト点灯させてのぞき込みますが、よくわかりません。変な結晶や固形物はない模様。

まずはパッキンを外します。どう考えても廃棄なので、袋を横に広げておきます。

こびりついてボロボロになって外れてくるんやろうなあ、

と思ったらあっさり一体で外れてきました。一応パッキンとしての機能は果たしていた様子。よくわからない白い固体がびっしりついています。調べるのも嫌なのでこのまま廃棄します。

改めて電解槽を覗き込みます。よくわかりませんが、そこの方には黒い何かが沈殿しているようですね。壁面とは明らかに違う光沢がある何かがあります。

円筒状の陰極が下から生えていて、外れそうな感じはしませんので隙間が狭くて手を突っ込めません。仕方なく棒でつついてみることに。

底の方をこすってみます。
そんなに厚くはないですが、明らかに何かが溜まっています。

棒で掻きとってみると…..これは。
何だかわかりませんが、ヘドロ状のゼリー状の何とも知れないぶよぶよしたものが付着しています。ゴムがアルカリで溶けて溜まったものか、何らかの水酸化物と電極から溶けだした金属塩の混合物でしょうか。ドブ臭がしそうな見た目ですが、臭いは全くありません。でも素手では触らない方が良いと見た目が警告を発しております。

とりあえず掻き取れるだけ掻きとって、最後はぼろ布突っ込んで棒で掻きまわして取れるだけの付着物を取り出しました。まずまずきれいになった感があります。
改めて陰極である槽本体を見てみますと、外側の層は厚さ5mmの鋼板を丸く曲げてつなぎ目を溶接したものです。鋼管を切ったほうが早そうですが、適切なサイズが無かったのかな。生産数から考えても平板を曲げたほうが安いのかもしれません。
そして、四角い底板に溶接してあります。内側に見える二枚のというか二本の円筒電極はやはり底板に溶接されています。これらの円筒も厚さ1mmくらいの鋼板を丸めて溶接してあります。三重で円筒が溶接されたためでしょうか、底板は凹型に湾曲してしまっております。

陽極側は隙間だらけなのでまだ掃除のやりようがあります。ぼろ切れで拭き取りつつ、隙間にはコップブラシを突っ込むなどして掃除していきます。
陽極も円筒型ですが、こちらは見る限りステンレスです。陽極側ということは電気分解時には酸素イオンの酸化反応が起きる極ですので、電極自体の酸化を防ぐためにステンレスになってるんですかね。よくわかりませんが、鋼板に比べると高価なSUSを使っているということは多分その辺に理由があるのでしょう。
分解前は「電極は白金メッキがしてあるんじゃないか」「白金じゃないとしてもチタン電極なんじゃないか」と思っていたんですが、全然違いました。高価な装置なのでそれなりに金がかかってるんじゃないかと思ってたんですけどね。

一通りこすって落ちる汚れというか付着物は落としましたが、まだ全然きれいじゃないです。

ということで、一旦上下を合わせて、

全体を風呂場にもっていって、槽の中に水をため、かなりの量のブリーチを投入して一晩放置しました。ブリーチなので次亜塩素酸+水酸化ナトリウムのアルカリ溶液です。

で、翌日の様子。これは上蓋の裏側、つまり電解液側のパッキンが密着している面です。多少は汚れが落ちていますが、まだまだですね。

アルカリがダメなら酸の登場であります。野生の勘はこのために働いていた模様。
一撃で変色汚れは落ちていきます。アルカリでできた汚れは酸に弱いのであります。火炎系は水系や氷系に弱い理屈であります。

サンポールはあの独特のにおいにさえ我慢すれば、我々にも簡単に手に入る塩酸として有効です。10%程度の濃度がありますので十分に酸の作用を享受できます。

上蓋の上側も、

この通りきれいになります。

電極本体もできる限りきれいにしていきます。

こんなに汚れた電極面も、

それなりにきれいになるのです。

本体側もまずまずかな。内側の電極の溶接痕がはっきり見えますから、付着物はもうないとみていいでしょう。

上部陽極側もここまできれいにすればいいですね、というかこれ以上はサンドペーパーでもかけないと無理です。

電解槽のオーバーホールはこれで良しとします。

お次はこいつです。あまりにもひどい外観を何とかしたいです。
再塗装以外に手はありません。

シールを全部剥がして、

折り目部分に発生している錆をヘラでこすり落とします。

塗装が剥げ掛かっているところもヘラで強制的に描き落とします。鋼材の地肌が見えてきますがお構いなしにやるのです。

まあこんなところかな。ほんとはカップブラシか何か使って全剥ぎした方が塗装上りがきれいになるのですが、ここの目的は美麗な外観よりも、とりあえず見れる外観なので段差なんかは気にせず行きます。これ以上錆が広がらないようにするのが第一なのです。

裏側も落とせる塗装を落とします。
それにしてもなんでツートンカラーなんだろう。元の色はこのベージュなのかな。
でもついったでお声がけいただいたMaaaさんの同型機も色はグレーでしたね。

まあいずれにしても色と機能は無関係なので、手元に余っていたこのライトグレーのスプレーで塗装することにします。

庭にもっていっていろいろ考えずに塗るべし塗るべし。

写真で見ると実にきれいに塗れているように見えますね。

実際は古い塗装の剥がし跡が段差になっていて見苦しい部分もたくさんあるんですが。

上蓋兼右側板も塗ります。

この辺をきちんと記録に残しておいてから、

剥がしていきます。

但し、この使用説明書シールと銘板だけは剥がさずに残します。剥ぐと破れそうですし、きれいに貼り直すことはできないと思われるからです。

ということで、シールごとマスクしてしまいます。

これで大丈夫でしょう。

裏返して、

取っ手を外しておきます。

塗りました。

左側板も塗っておきます。
しばらく乾燥させたら、上からクリアを二回吹いて塗装完了とします。

まずく外します。

きれいにシールを残すことができました。

下の塗装前と比べると差は歴然であります。塗装の効果は大きいです。

塗装が乾く間にその他の小物をメンテしていきます。
結構な量がある(笑

まず新品のキャスターを板に止めていきます。

いわゆる25mm規格のもので合いそうなんですが、装置側の穴が微妙にずれています。おそらくインチ規格の穴幅なんでしょう。0.5mmくらいずれているんです。
しゃーないので買ってきたキャスター側の穴を丸やすりで無理やり広げて取り付けます。

何とか。

くるくる逃げて持ちにくいキャスターを何とか押さえつけてやすり掛けするだけでずいぶんと疲れました。リューター使えばよかったと反省。

お次はこのおそらくフィルタと思われる何か。

私がつまんでいるところが上側で、接続構成からこの構造体からガスが出ていく出口です。で反対側の端にはどうしても回らないバルブがついていて、その下にはさらに穴があります。ここはガス管内に何らかの理由で溜まってしまった液体を抜くドレンだと思われます。
このほかに枝管が二本出ており、一本は圧力計につながり、もう一本の真ん中か上に向かって伸びている枝が電解槽からのガスが入ってくる入り口です。

まずは下のバルブを抜きます。背面のナットを外して軸を軽くたたきながら回そうとしますが、びくともしません。バイスプライヤーでつまみをつかんだりしたので傷だらけですが、最後は何とか抜き取りました。ここにも黒い何かが膜状にこびりついている感じです。

再びサンポールが登場し、

摺動面にキズを入れないように磨きますがあんまりきれいにはなりません。
仕方ないので諦めてグリスを塗って元に戻しました。オイル汚れが出ますが、どうせドレンなんで油が混ざったところで関係ないでしょう。

上側を外します。こちらはあっさりと抜けました。Oリングが二本入っていて気密に気を使っている感じです。ガスラインなので妥当な構造です。

で、内部を覗くと確かにセラミックフィルタらしきものがあります。

これも固着していて動かなかったのですが、何とか割らないように取り出しました。
下には結構な長さのバネが入っています。このばねでフィルタを上部のOリングがついたパーツに押し付けるような構造になっています。なるほど。

フィルタはブリーチ溶液に放り込んで、真空ポンプで脱気します。

すると、フィルタの奥の奥まで洗浄液が届いてきれいになるのです。

フィルタのケーシングもしばらくブリーチ溶液に漬け込んでおきます。

で、しばらくしてから綿棒をケーシング内壁にこすりつけてみると….
全然きれいになってないやん(笑

しゃーないので試験管ブラシで内壁をごしごしこすりました。

それでも黒い変色は落とせないですね。もう染まっている感じです。
これ以上なら酸にドブ漬けだと思いますが、ここまでやって落ちないものは使っていても落ちるわけないという考えで良いと結論します。

ということでこれにてフィルタとケーシングの掃除は終わりとします。
よく乾燥させて組付けて終わり。

お次はこの圧力計。

水柱表示になっています。しかもすでに振れている(笑 間違いなく内部に何かの問題があります。
シールにある使用方法によりますと、使用時は最低でも圧が500mmくらいに上がってから点火しろとなっております。水柱は10mで約1気圧=約100kPaですから、500mm水柱は約0.05気圧、約5kPaといったところです。
この圧力計は信頼感がゼロなのでいずれ何か別のものに置き換えたいと思っております。
元よりこのマシンの使用方法は圧力計見ながら自分で電圧を調整するというマニュアル方式です。いずれ制御は自動化したいと思います。圧力センサの値で通電をon/offするだけなのでまことに簡単であります。

といいつつも、しばらくはこの圧力計に頑張ってもらわないといけませんので、きれいにします。サンポールで濡らしたティッシュペーパーで拭き取るとこの通り見違えるようにきれいになります。

お次はこの緑青たっぷりのケーブルです。

サンポールで濡らした歯ブラシで磨くと、

どんどん泡が出てきて面白いように溶けていきます。

で、この通り。錫メッキが無くなって痛々しいですが、緑青がついてるよりはましでしょう。ここは接触不良にならないように、組付け後もたまに磨いてやらないといけないでしょうね。

もう一本も同様に洗いました。
それにしてもこんなケーブルがいるほどに電流が流れるのかな。電圧は低いはずなので接触抵抗や配線抵抗に気を配るのは大事ですが、ここまで必要かなという気がします。
ダイオードも250A定格だし。

ということで、これで小物の手入れも終了しました。

これで全パーツの手入れが終了です。
いよいよ組付けと動作テストに入ります。

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