自作CO2レーザ加工機五号機(大) その5 LASER WEB4

自作レーザ加工機

 
レシプロソー作ったり、酸水素バーナーレストアしたりしている間にもレーザ加工機の構想は着々と進めております。
今回、制御系の構想をまとめましたので投稿しておきたいと思います。

在庫確認の際にUSB接続のMACH3コントローラを使うことを書きましたが、やめます(笑
いろいろ調べていくと、いつの間にやら海外のコミュニティの間で思い切りレーザ加工機の制御系が進歩していることに気がついたからです。
数年前にもArduinoのGRBLとCandleなどのGコードセンダーを組み合わせたベクターカットができるシステムがありましたが、これらが見違えるような進歩と使い勝手を獲得しておりました。ざっと見る限りTrotecの加工システムに並ぶか、それよりも良い感じすらします。

その制御システムというのはLASER WEB(最新版はVersion4)を核としたものです。
「核とした」というところが実は曲者で、LASER WEB4自体はGコードの作製、送出、加工機のマニュアルコントロールをするためのソフトウェアで、以前のCandleにGコード生成機能が追加されたもの、あるいは3Dプリンタで言うならばCuraとRepetier-Hostが一体になったようなものです。でそのLASER WEBから送られてくるGコードを解釈して、ステッピングモータを回すためのハードウェアとファームが、Smoothieboard などと GRBL-LPCなどの組み合わせです。
ハードとソフト、ファームとフロントエンドが順列組み合わせみたいになっているために全容を把握するのに少々苦労しました。
さらに、Gコードを生成するためのソフトウェアも上記LASER WEBだけでなくInkscapeのプラグインが驚くべき進歩を遂げており、もうオープンソースのハードとフリーウェアだけでプロのシステムに完全に並ぶことができる時代が来ているようなのです。

そもそも、これまでMACH3にこだわっていたのは、GRBL系のコントローラではラスター描画ができない(あるいはやりにくい)という問題があったからです。が、今回の調査でその懸念も完全に消えました。これでMACH3、パラレルポート、WindowsXPのシステムから完全に脱却することができます。

メモ&備忘録として、ポイントとなる情報サイトを下にリンクしておきます。

スムージーボードがハードウェア、あとの二つはソフトウェアで、スムージーボードにデフォルトでセットアップされているスムージーウェアにGRBL-LPCを上書きすることで強力なシステムを構成することができるようです。

ハードウェアはオープンソースなので例によってAliexpressにありまして、
Smoothieboardで検索するとたくさん出てきますが、その中でもマイコンにLPC-1769を使っているものを選びます。これとか。

スムージーボードはもともと3Dプリンタ制御を意図して設計されたボードですが、これのファームを乗せ換えてラスター描画を強化したレーザー加工機コントローラにしてしまうとすごいぜ、というのがLASER WEB4の説明であります。
これと、このあたりにある英語の動画を一生懸命見てシステム動作の概要を把握し、「これはいいやん」と結論した次第。
自作CO2レーザ加工機五号機(大)の制御系はこれで行くことにします。

それと、わき道にそれているときにInkscape用のGコード生成プラグインが大きく進歩していることも見つけました。それがJ Tech Photonics Laser tool です。
Inkscape上でGコードを生成するプラグインについてはもう5年も前にこの投稿でg-code toolsを紹介しましたが、このプラグインは線のつながりを考慮してくれず、下から順番に描画していくという、非常に時間がかかるコードの最適化の点で今一つのものでした。ということで、みら太な日々ではレーザ加工用のGコードはずっとNCVCを使ってきたのでした。NCVCはそれはもう素晴らしいソフトなんですが、jwcadと連携すると非常に使いやすいというものでした。「使いやすいならええやん」という話もありますが、これが時として、というか次第に足かせになってきていたのも事実でありました。
端的には、fusion360との相性の問題です。
fusion360でモデリングしたものをレーザ加工機で切り出そうとする場合、fusion360で投影を使って3Dのモデルを二次元のdxfにします。が、このdxfがR14でしか出力できません。一方で、NCVCを使うためにはjwcadでデータの下準備(レイヤー名称とか基準点の作製とか)をするのですが、jwcadで読み込めるdxfはR12までです。ということでやむなく間にdxfヴァージョン変換のためだけにARCADを使って一旦読み込みと描き出しを行いまして、これをjwcadで読み込んで下処理し、ようやくNCVCにデータが渡ってGコードができるという面倒なステップを踏まざるを得ませんでした。
さらに面倒なのは画像をベクター変換してGコードまでもっていくときでありました。
画像をベクター変換するのはフリーソフトではInkscapeを使うのがおそらく最強です。なので、ここは決まっているとして、これをGコードに変換するには(先ほどのg-code toolさんがダメダメなので)Inkscapeからdxfを吐き出してjwcadとNCVCを使うのですが、ちょいと画像が複雑になるとちゃんとしたdxfができることはまずありません。が、ここには裏技があって、変換したベクターデータをいきなりdxfに書き出すのではなく、一旦プレーンsvgで保存して、これを改めて読みだしてからdxf化すると、あら不思議、ちゃんと出力できるのでありました。
ということで、ネットで拾ったミクさんのかわいらしいイラストを(私的にですよ)レーザ加工機で使いたいときには、
ネットから画像DLする→Inkscapeでベクター変換する→プレーンsvgで保存する→inkscapeで再度読み込む→dxfdファイル吐く→jwcadで下ごしらえする→NCVCでGコード作る、という非常に面倒なステップを踏んでおりました。
それが今回J Tech Photonics Laser tool で一発でできるようになったのです。
例えば、麗しきミクさんのデータとして、ニコニコ静画にアップされている出涸らしさんのミクさんの線画を使わせていただいて流れを説明しますと、

出涸らしさんに感謝しつつデータをいただき、

inkscape上でベクター化し

J Tech Photonics Laser tool を走らせるだけであります。

実に簡単で正確なGコードができます。素晴らしい。

ちなみに、このGコードはLASER WEB4でみることができますので、LASER WEB4を使って表示してみます。
こんな感じ

もちろんツールパスも表示できます

さらに、シミュレーションというか、描画のステップを追うこともできます。

g-code toolとちがって合理的なパスで描画されていくのが分かります。

LASER WEB4の描画も実にスムースです。

このデータは3万以上の線からできているのですが、

全く引っ掛かりなくさくさく描画されていきます。

素晴らしいです。
ということで、調べてみるといつの間にやら驚くほどに世の中が進歩していたことを確認できた週末でした。
これはますます完成が楽しみになってきました。頑張って設計したいと思います。

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