中華レーザの構造を考えてみた

自作レーザ加工機

 
現在作成中のCO2レーザはガスをフローするタイプのものですが、最終的には封じ切りのいわゆるシールタイプレーザーにしたいと考えております。

AliExpressには中華製のレーザがたくさん売られています。これらはすべてシールレーザになっており、数千時間の動作を謳っています。
写真もたくさん載っておりシールレーザにする際の参考にしたいと思っていたのですが、どれも同じような構造であるもののいったいどうなっているのか良くわからないままでした。
たとえばこれら。

両端のミラーとその調整機構はまあわかるとして、一番謎なのが3枚目の写真の左側で見ると良くわかるぐるぐる巻きのジムロート冷却器の様なガラス管でした。

で、ずーっと考えていたのですが、こうだろうという結論に到達しました。
ということで中華製シールレーザの構造についての考察を以下にまとめます。

  • ガラスは三重構造になっている。これを外、中、内管とする。
  • 内管がレーザ発振をするレーザ管。
  • 中管は冷却水が通る冷却管。入り口と出口は外管を貫いて外部に出ており、一方はミラー部分を冷却するのにも使われている。
    (写真3枚目の左側の管の上部のシリコンゴム部分。これはハーフミラー側と思われます。レーザ光が通過する際の吸収で発生する熱を冷ますためでしょう。)
  • 外管はレーザガスのバッファ。
  • 外管と内管はレーザガスで満たされており、内管の両端は外管内部で解放されているので、ガスは外管と内管の間を自由に行き来できる
  • ばねは片方だけにあり、内管にある放電電極までの配線であって、内管を機械的に保持しているわけではない。
  • ばねが無いほうの電極は単純に線で繋がっているだけ。
  • 放電電極は内管内だけにプラズマを立てるため、内管内の電極間がもっとも抵抗が低くなるように配置されている。
  • 外管と中管の間にあるぐるぐる巻きのガラス管は冷却水の通路。

ぐるぐる巻きのポイントはまず間違いなく熱対策です。これが考察の結論。
レーザ発振中はレーザ管(内管)は熱くなります。すると当然膨張しますのでガラス管としては伸び方向の変位がもっとも大きくなります。この変位を吸収するためにぐるぐる巻きの冷却管があるのだと思われます。これは一方の電極まで繋がるばねにも同じことが言えると考えています。
もし内管の変位を吸収する構造を作らないと、内管が膨張したときに外管と、外管を貫いている中管の接合部に応力が集中して割れると思われます。
わかりにくいと思いますので図解で説明します。
まず内管。
内管の端部には電極があり、電極はばねで配線され、最終的には外部に引き出されています。レーザ管の端部は開放ですので、ばねの間を通ってガスが出入りできます。
で、この回りを下のように冷却管が覆っています。

この冷却管には水を流さなければなりませんので、その引き出し管がついています。
これがぐるぐる巻きの管です。

こういう構造にすれば内管が少々伸び縮みしても破壊が防げるというということになります。
そして、これらすべてを外管が覆いガスを封じ込めています。

こうやって、レーザガスを一定量バッファすることで寿命を確保しているものと思われます。
なかなか良く考えられています。

…..とか思っていたのですが、よくよくよくよく見てみるとどうも違うような気がしてきました。
たとえばこの二枚の写真。

どうもグルグルの管はガスがある部分につながっているように見えます。冷却水ではないようです。
うーん、わかりません。もしガスだとしたら何の理由でぐるぐる巻きになっているのでしょうか。
放電の熱でガスを膨張させてレーザ管内で一定の方向の流れを作り出す工夫でしょうか。

どなたかご存知の方いらっしゃいませんか?

コメント

  1. 774 より:

    まず水冷です、冷却箇所は反射板2箇所とレーザー菅の部分のみです。
    CGが間違えています。中の放電を行う部分が2重になっている部分で菅を冷却しています。
    グルグルのところはCS2ガスです。そこは密閉されているので何もしなくてもいいです。

    レーザの種類は赤外線レーザーです。放電の部分肉眼で見えますが
    レーザー出力は目には見えません。

    • みら太/mirata より:

      774さんありがとうございます。
      この後レーザ管を二本買いまして、今はすべての構造がわかりました。ご指摘の通りの冷却です。付け加えるのであれば、運動エネルギーの大きな陽イオンがアタックする陰極の電極周りも冷却されています。
      それにしてもこんな面倒なガラス細工をよくやるもんですね。
      大学の時にさんざんガラス細工をさせられましたが、とてもこんな複雑なものを作れる気がしません。