ガス冷却ペルチェ方式霧箱 その38 ペルチェ素子の最低到達温度を探る その1

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ガス枕のガス圧を調整し、-14℃とまずまずの温度まで下げることができました。
今度はこのガス枕の上にペルチェ素子を乗せて、どこまで最低温度を下げることができるかを探ります。

まずはペルチェ素子を一つだけ、ガスの入り口付近に乗せて実験します。

熱電対は二本。左上の表示がガス出口付近のガス枕温度、右上がペルチェ素子の冷却側の温度です。
まずはコンプレッサを運転し、ガス冷却だけで下がるところまで下げます。ペルチェ素子はガス枕状で冷却されていき、ほぼガス枕温度まで冷やされます。この時点では通電していません。

通電を開始します。直後にいきなり-28℃を下回ります。

電流はまだ0.5Aくらい。ちなみに、脈流なので値は目安です。

1Aに増やします。

1.5Aに増やします。
….あれれ、下がらずに上がってます。これはまずいです。
ペルチェ素子の温度低下は条件が適当だとすぐに飽和します。そして飽和した後は電流を増やしても消費電力が増える、つまり発熱が増えるだけで、むしろ冷却側の温度は上がってしまいます。その状態が起きてしまっていますね。

そんなことはないだろうと思いつつも「脈流だからいかんのかもしれんなあ」と考えて、直流電源を繋いでみました。ペルチェ素子一つであればこの電源(30V-6AMAX)で十分に駆動できます。

それなりに温度は下がります。

今度のでんりゅうは正確なはず。

うーん。

もちろんガス枕はこんな具合なんですが、

温度はいまいち下がりません。

最も下がった時でこの程度でした。
-30℃であればガスを抜く前にも到達していた温度です。ガス枕は-13℃まで下がっているのですから、単純に考えても-40℃程度までは下がってもいいはずなんです。
おかしいなあ。

何かがおかしいのかもしれないと思いつつも、とりあえず-30℃まで下がることは確認できましたので、ペルチェ素子を増やしてエタノールプール乗せて、プール上の温度を測定してみることにしました。

 ペルチェ素子を押さえていた断熱材を外したところ。
何も間違ってないと思うんですけどねえ。

コンプレッサを切ると、ついていた霜が一斉に溶けて、底板の上に溜まってすごいことになります。そのうちドレンを作らないといけませんね。

難しいなあと思いつつ、ペルチェ素子を4枚に増やしてエタノールプールを乗せました。

常温から温度低下を見ていきます。
左上がエタノールプール中央部、右上がガス枕端っこの温度です。

こんな感じのセットアップです。

近くから。

コンプレッサを始動してガス冷却だけで温度を下げていきますが、ペルチェ素子4枚、その上にアルミのエタノールプールが乗っているということでなかなか下がってくれません。
考えてみると、エタノールプールは放熱板、というか吸熱板みたいなものですので、これまでになく熱的には厳しい条件になっているはずなのです。

エタノールプールにはうっすらと霜がつき始めます。

ガス枕とプールの温度差は結構あります。なかなか厳しいです。

ガス枕温度はこのあたりで飽和してしまったので、うーんと思いながらもペルチェ素子への通電を開始しました。
すると、すぐにプールの温度は下がり始めますが、

どう頑張っても、

このあたりまでしか下がりません。

ペルチェ素子1枚の時も2A程度が最適でしたので、この実験でも直流電源を使っています。最大30Vまでかけられますので、4直接続でも対応できるのです。

このままじりじり下がってくれと祈りつつ、

10分程度放置してみましたが、

むしろ温度は上がったくらいで、全然ダメでした。

-20℃では話になりません。さてどうしたものか。
もう一度基本に立ち返って、ペルチェ素子一枚で実験をやり直すことにします。
なかなかうまく行きません。が、この辺が面白いところなんですよ。

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