仮説1で正しそうな気配 その2

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 仮説1で正しそうな気配の実験を受けて、もう少し別の角度から検証をしてみました。

細いパイプばかりをいくつか一緒に入れて様子を見たのです。
以下の写真のように、外形6mmφのパイプの長いものを2本、短いものを2本、外形8mmφの短いパイプを1本という構成で同時に通電をしてみました。

並べて、

蓋して、

通電します。

真空度が上がるとすべてのパイプでプラズマが消灯しました。
まず長い6mm、次に短い6mm、最後が8mmでした。 構造的には細くて長いほうが閉空間に近い環境を作ると思いますので、この順番での消灯は理にかなっているように思われます。また、この結果から仮説2「円筒の内部は圧力が高くてプラズマが集中するのかもしれない」は棄却されます。なぜならもっとも複雑な構造に近い形状である長い6mmが真空度を上げていったときに最初に消灯するからです。仮説2を支持するためには消灯の順番が逆でないといけません。

動画で見てみるとよりよくわかります。
この動画はプラズマが発生する程度まで真空引きした状態でプラズマを点灯させ、その状態でポンプを切ったところからスタートします。
3秒たったところでポンプをONにし、真空引きを再開しています。するとまず長い6mmが消灯し、次いで短い6mm、そして下のほうなのでちょっとわかりにくいですが、13秒経過時点で8mmも消灯します。そして真空度が上がるにしたがって床面全体から発生するプラズマが強くなっていくのがわかります。
(このことも仮説2を棄却すべき観察結果のひとつです。)
また、仮説の検証とは直接関係ありませんが、この実験ではじめて見つけたことがあります。円筒内のプラズマが消灯した後を良く見ると長い6mmの先端中央部から非常に細いプラズマが上方に伸びているのが見えます。これも面白い現象です。(上の写真でもわかりますね)
何かに応用できないか考えてみます。
動画はさらに続き、19秒時点でポンプを切ります。
すると今度はリークによって徐々にチャンバ内の圧力が上昇していきますので、消灯したのと逆の順番でプラズマが点灯していきます。これは真空度が下がることによって陰極暗部が短く(薄く)なり、細いパイプの中でもプラズマが発生できるようになるためと思われます。

ということで、どうやら仮説1が正しい説明に近いように思われます。

今回はたまたま小ソケットを実験に使っていたのでこのような現象を見つけてソケット/パイプの径を変えた追試とその結果を考察する機会を得ました。これは非常に運が良かったといえます。最初に大ソケットを使っていたら円筒内部のプラズマの集中には気がつかなかったかも知れません。もちろんそうであれば管径を変えた実験をする可能性は低いです。
小ソケットの径と、私が使っている真空ポンプの排気能力、チャンバの大きさ、等々いくつかの偶然が重なって今回の工夫にたどり着くことが出来ました。

今回は非常にラッキーでした。

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