凹面鏡を切り出す

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ここここで紹介しましたように、CO2レーザの全反射ミラーに凹面鏡を使うといろいろと良いことがあります。ということで、凹面のミラー作製方法を検討しました。
Sam’s LASER FAQ に記載された先人たちのアプローチのひとつでは、車のバックミラーを使うという例があります。が、みら太はもっと簡単な方法を取りました。スパッタが完成しているからこそ出来る方法です。

レーザ管に取り付ける全反射ミラーは当然表面鏡である必要があります。表面鏡であって凹面鏡であるということです。つまり凹面、くぼんだ側に反射面がついている必要があります。

バックミラーはご存知の通り凸面ミラーですよね、ですけど凸面ミラーになっていると言うことは凸面の裏側、つまり凹面に反射面が形成されているということです。これを使うというのがSam’s LASER FAQ の例なのです。通常鏡の反射面には保護材が塗布されていますので、この保護材を有機溶剤で溶かして除去し、銀の反射面を露出させるというめんどくさい方法を取っていました。

一方でみら太の方法です。これはそのまま素直に凹面ミラーを使います。が、凹面ミラーの反射面は凹面ガラスの奥側、つまり凸面に形成されています。当たり前のことですが、これでは表面鏡にはなりません。そこでスパッタです。
スパッタを使えばガラス面に鏡を形成する事が出来ます。つまり凹面鏡の本来の反射面は使わずに、ガラス面に改めて金属膜を形成するのです。使うのは凹面の形状のみ。反射面はスパッタで作る。スパッタが使える強みです。すばらしい。

さて、まずは凹面鏡の確保です。ここで紹介しておりますように100円ショップにあります。これもまたすばらしい。
しかしながら、凹面鏡であれば何でも良いというわけではありません。焦点距離がレーザ管の光共振器の長さの2倍以上あるものを使う必要があります。凹面鏡の焦点や曲率半径についてはこのあたりに詳しくかつわかりやすい説明があるように思います。(勝手リンク失礼)
まずは購入した鏡の焦点距離を測定します。
鏡をこのようにバイスに固定して、何かの像を映しながら鏡から次第に離していきます。今回はメタノールの瓶を使いました。

凹面鏡から離れた位置ではこのように像が拡大されます。離れるほど拡大率は大きくなっていきます。

あんまり話すとだんだん像が崩れていき、

ついには像を結ばなくなります。この位置が焦点です。瓶から出た光の反射光が光軸に平行になるために像を結ばなくなります。

今回購入したものではおおよそ120cmでした。ということはこの鏡の曲率半径は約2.4mと言う事になります。
みら太のレーザ管は現在のもので67cmの光共振器長を持っていますので、2倍すると134cmとなってちょっと足りませんが、まあいいでしょう。これを使う事にします。

ということで、鏡を切り出します。また、超音波カッターに活躍してもらいます。
縁の部分を切り込んでいきます。

縁に取っ掛かりを作って、そこからドライバを突っ込み、こじって平面鏡側を割ります。

平面鏡を取っ払います。

凹面鏡側にガラスカッターで傷を入れて、

裏側からかなづちで叩いて傷を成長させます。簡単に狙いの部分を取り出すことが出来ます。

こんな感じ。

耳をきれいに落せば出来上がり。

これだけあれば相当数の全反射ミラーを切り出す事が出来ますので実験には十分です。
鏡に映る像の方が若干大きいのがわかりますか?

曲率はこんなもんです。微々たるものです。
こんな微妙なことでレーザの発振モードが変化するというのは面白いことです。

とりあえず全反射ミラー用材料の準備は完了です。
金のスパッタをうまくやれるようにならなければ。

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