警告
この記事では高電圧かつ大電流を扱っています。安易に真似をしないで下さい。参考にしていただくことはかまいませんが、その結果何がおきても私は責任を取ることができません。
フライバックトランスの記事も危険ですが、電流が数mAであり、感電しても大事に至る可能性はそれほど高くはないと思われます。しかしながら、この記事で使用しているMOTは2000V以上の電圧と100mA以上の電流を出力します。
ではどうぞ。
アクリルパイプを使ってスパッタを作る予備実験です。
銅をスパッタして反射ミラーとハーフミラーを作るために必要であるとの結論に至りました。
まずは材料入手。左側の5mm厚のアクリルパイプと丸板で作ることに決定。


そこにワンタッチジョイントをねじ込んで隙間をエポキシで埋め、丸板とパイプをやはりエポキシで接着します。丸板の上のビンは単なる重石です。

接着ができたら、パイプの肉にあわせてシリコンゴムを切り出します。

ちょっとわかりにくいですが、丸板中央部にあけた下穴にタップを立てて、M3のながねじをねじ込みます。

次に、銅ワッシャと銅の針金で正極を作ります。なんとこれがスパッタのターゲット(笑



次に、電源。
リサイクルの電子レンジから取り出したMOTを下のように配線します。
一次側はそのまま端子台へ。二次側はヒータ用の出力は短く切って使わず。そしてマグネトロン用の高圧出力にワニ口クリップをつけます。二次側のもう片方はMOTの本体につながっていますので、MOTをアルミの板に乗せて、アルミの板を対極(負極)とします。

先ほど作ったチャンバの電極用M3ねじに電子レンジから取り出した高圧ダイオードをねじ側がカソードになるように取り付けます。
ほんとはブリッジを組みたいところなのですが、ダイオードが二本しかないのでとりあえずは半波整流で実験。(高圧用ダイオードはAliExpressで注文済)

負極はアルミ板のままでもいいのですが、こんな台を作ってみました。ワッシャに半田付けで銅の針金を固定し、足を曲げて作製。正極と対応する位置に置けば電極対の完成。いいかげんすぎ。

MOTを100Vにつなぐととんでもないことになるので、スライダックを介してコンセントに接続。
チャンバの中を真空ポンプで排気します。

さて通電、とやってみたのですが、プラズマが立ってさて写真を撮るか、と思った瞬間に銅ワッシャで作った台が崩れ去りました。半田が溶けてばらばらです。負極は結構熱くなるのね。
ということで、急遽台を探しました。正極とまったく形が違うのであんまりよろしくないと思いますが、まあ予備実験ということでその辺に転がっていたヒートシンクを使用。上に乗っているワッシャは基板のつもり。

ところが、この状態で放電させるとヒートシンクのねじ穴に電界集中部ができてしまうようでプラズマが美しくありません、そこで、ヒートシンク全体をアルミホイルで覆ってみました。

この状態でようやくそこそこのプラズマが立ちました。

暗くするとこんな感じ。
ほんとはアルゴンを入れてやりたいところですが、アルゴンは高いので入手できておりません。
まあ窒素(というか大気を減圧しただけ)でもいけるんじゃないかと。

この写真の状態で、スライダックは1/3回転くらい。つまり入力は30Vくらいと思います。二次側の電圧は怖くて計っておりませんが、下のほうで実験したときの結果をリニアに外挿すると、おそらくrmsで500Vくらいではないかと思います。電流もあんまり流れてないでしょう。
とりあえずはこれでMOTが使えることがわかりました。今後はちゃんとした電極と基板台を作ってプラズマを安定化したいと思います。
そして電流をもう少したくさん流さないといけません。今のままでは現実的なスピードでの製膜は難しいと思われます。
最後にプラズマの様子がわかる動画を二本アップしておきます。
コメント
とても興味がある実験に感謝
正極と負極のと距離や電圧
作品の結果はどんな感じかな
是非その後が知りたいです
コメントありがとうございます。
スパッタのその後の経過はラベル「自作CO2レーザ」で追っていただくか、http://mirata.blogspot.jp/2013/01/blog-post_14.html のニコニコ動画の投稿からもご確認いただけます。
非常にきれいな銅のハーフミラーが出来るようになりましたよ。
ちなみに正極と負極の距離は30mm位、電圧はちゃんとは計っておりませんが、おそらく1500Vくらいだろうと思います。圧力によって結構電圧はふらつきます。
やってみての結論は、
・条件を再現性良く整えるのは難しい
・うまく行くときは非常にきれいな膜が出来る
という感じです。
結構安直ですのでぜひトライされてはいかが。