ニコ動とここの両方に「アクリル板へのスパッタ製膜は可能か?」とのご質問をいただきましたのでやってみました。
結論: 無理ではないけど基板冷却機構を作らないとちゃんとしたものは出来なさそう。
プラスチックや有機物へのスパッタリングは、有機ELの電極形成などを目的として研究室レベルでは行われている例があります。うまく行かない報告が多いように思いますが。
うまく行かない原因は熱によるダメージです。
スパッタのプラズマはいわば炎ですので有機物をさらすと熱のダメージが生じる場合がほとんどです。酸素がほぼ無い雰囲気ですので燃えてしまうことはありませんが、表面が荒れたり融けたりします。ということで、ガラス基板のときよりもプラズマから遠ざけてスパッタする事にしました。
では実験します。
基板にはこのときにスキャナから取り出したアクリルの導光板を切って使う事にします。
アクリルカッターで切ろうとしましたが、6mmもあって大変だったので最後はのこぎりが登場しました。
基板を綺麗に拭きあげてこんな具合にセットします。基板ホルダも4mmほどターゲットから離しています。
で、スパッタします。ここは躊躇なく電流を流してガラス基板とほぼ同条件で製膜します。
1分くらい経ったところ。 あれ、曲がってない?
ターゲットを冷やしてから取り出します。取り出すときに、すでに基板ホルダと接する部分がちょっと融けて張り付いていました。
やっぱり基板は少し曲がってますね。
肝心の膜はというと、それなりについています。
わかるかな
角度を変えるとちゃんと金属膜が見えます。厚くは無いですが。
もう一枚
金属膜なので反射もします。
とりあえずやっただけではありますが、6mmもあるアクリル板が曲がる熱雰囲気は相当なものだと思われます。ちゃんとした膜を作るのは簡単では無いですね。
このあと出来た膜をメタノールをつけた綿棒でこすってみたところ、ほとんどはげてしまいました。
ということで、ちゃんとつけるにはもっとプラズマに近づけ、融けてしまわないように背面から冷却をする必要があると思われます。
アクリルへの製膜はこれ以上追求しませんが、こんな感じで様子をわかっていただけるかな。
コメント
わざわざ有難うございます。
本当にやってみちゃったんですね^^;
やっぱり、熱の影響は避けられませんか・・・。
そうですよね、当然の結果だと思います。
それにしても個人でココまでやるとは、「凄い」の一言ですね。
これからも研究&開発、レーザーの発振頑張って下さい。
本当にただやって見ただけの実験です。
ご期待に沿うものではなかったかと思いますが、どうかお許しを。
でも、結構金属膜が出来ていたのには驚きました。ちゃんと工夫をして行けばものに出来るような気がします。
ありがとうございました。
またなんなりとコメントくださいな。
(^O^)/