レーザ管出力測定 → 残念なお知らせ

自作レーザ加工機

 
完成を宣言したレーザ加工機ですが、いろいろと積み残しがあります。
その中のひとつがレーザの出力です。実はどれくらい出ているのかわかっていません。

参號機に搭載されているレーザ管は40W出力のものなのですが、以前より40Wという出力には疑いを持っていました。といいますのも、いろいろなところで見聞きするレーザの出力と、そのレーザ出力で加工できると聞いたものが私のケースと一致していないのです。
たとえば、FabLab太宰府さんにはOh-LASER のHAJIME がありますが、この加工機の公称出力は30Wです。でこれで5mm厚のMDFをばんばん切ってます。一方で、私のレーザでは2.5mmのMDFがいいところで、5mm厚を一発で切ることは出来ません。
ということは、簡単に考えると15W程度しか出ていないのではないかとの結論に至ります。いや、2.5mmのMDFもやっとこさ切っている位なのでそこまでも出ていないかもしれません。

ということで、簡易なものではありますが測定を試みました。

当然ながらパワーメータなどもっておりませんので、別の手段を考えます。すぐに思いつくもっとも簡単な方法は水を使った温度上昇試験です。
CO2レーザの発振波長10.6umで見ると水は真っ黒です。よって、水の中にレーザを照射するとレーザ光のエネルギーはほぼすべて吸収されて熱に変わります。このときの水の温度上昇を調べれば吸収されたレーザのエネルギーがわかるという考え方です。

Wikipediaによると、1W = 0.860kcal/h です。
これから計算をします。
 1W = 0.860kcal/h = 0.239cal/sec
ですから、40Wであるなら、9.56cal/sec のエネルギーが投入されることになります。これすなわち、1gの水に40Wのレーザを照射すると1秒間に9.56℃温度上昇するということです。

いま、水の量を50gとしますと、1秒間の温度上昇は0.19℃、1分間の温度上昇は11.47℃となります。
このあたりの値であれば測りやすそうです。

では実験です。
ガムのケースがちょうど良い大きさでしたのでこれを使います。

50gの水を入れます。温度は18℃でした。実験台上の洗ビンに入っている水ですので、ほぼ室温で安定状態にあります。

これをレンズを外したキャリッジの下において、レーザ光が水面に落ちるよう調整します。

この状態でレーザを照射し、温度計でチョコチョコと撹拌しながら温度上昇を測定しました。

その結果まことに残念ですが、どう考えても10W来ていないようだという計算となりました。
レーザ管へ流す電流を20mAとしましたので、公称どおりに出力が出ていればビームエネルギーは約20Wとなります。そしてこのときの測定では温度上昇がやっとこさ1℃/分あるくらいでした。数回の測定を行い、室温との温度差があまりない状況下でしたので放熱の問題は無視できると思われます。
1℃/分の温度上昇は、たった3.5Wにしかなりません。20W期待に対して3.5Wというのはあんまりです。ミラーの反射率が90%だと仮定してもレーザ管からは4.8Wしか出てないことになります。期待の1/4であります。つまりは40Wのレーザと思っているのもが、実際は10Wしか出力していないということになります。

非常に残念な結果ではありますが、これまでの情報を総合するといちいち納得できますのでおそらくこの結論は事実からそう離れていないと思われます。
いい加減ながらも定量的と思われる測定をしたのは今回が初めてですのでなんともいえませんが、以前はもう少しパワーがあったように思われます。段々と劣化が進んでいるということでしょう。
冷却水無しで通電したり、プラスマイナスを逆につないでしばらく動かしたりとめちゃくちゃやってましたから当然なのかもしれませんが。

最初のレーザ管は勉強のための投資とは思ってはいたものの、このままではやりたいこともやれなくなりますので急遽もう一本レーザ管を購入しました。

これ。

送料込みで $120 ですから、今のレートで14,000円くらいですか。
前回に引き続き中華製ですが、ちゃんとした動作保証があるものはめんたまが飛び出るほど高いので選択はこれのほかありません。
ということで、新しい管はいじめずにちゃんと使いたいと思います。到着したら、まず出力を測定してみることにします。どんな感じで劣化していくのかに興味があります。

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