前回から随分と間が開きましたが、依然として検討を続けています。
何とかしてスイッチポンで動く霧箱を作りたいのですが、なんだかんだで進捗していません。空冷で動く教育用途の製品はありますので物理的には可能なはずですが、安く作るというところがネックであります。
みら太な日々の趣旨としては金使って出来ても何にも面白くないわけでありまして、何とかその辺に転がっているもので作ってしまいたいと思って考えてきました。
しかしながら、さすがに投資ゼロというわけにもいきませんので、今回ちょいと頑張って使えそうな雰囲気のものを入手しました。
それがこちら、結構しっかりしたクーラーです。
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ヒートパイプが6本アルミフィンの中に突っ込まれております。風を送ってフィンを冷やしてやれば結構放熱できそうであります。
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こんな型番。ハードオフイオン佐賀店で1600円を投下して入手しました。
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12cmのファンの取り付けもできるということで、そのための金属治具も付属しています。
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問題は設置方向の自由度です。
ヒートパイプはパイプ内に封じ込められた冷媒としてのアルコールやフロン、水などの液体が熱いところ、霧箱の場合はペルチェのホット側で気化してパイプ内を移動し、コールド側すなわちアルミフィン側で冷やされて液体に戻るというサイクルを繰り返します。このサイクルがうまく回るかどうかは、コールド側で液体になった冷媒がホット側までちゃんと戻ってくるかどうかで決まります。
PCのCPUはマザーボードの上に乗っていますので、クーラーはさらにその上に乗っかる形になりますよね。で、横置きのデスクトップPCなんかであればマザーボードもCPUも机の天板面に平行に置かれることになりますから、クーラーはCPUの上に直立します。この時ホット側は下、コールド側は上になりますので、よほどへたな設計をしない限り上にあるコールド側で液体に戻った冷媒は重力で下のホット側に落ちてくるはずです。そしてまたそこで気化して…というサイクルがうまく回ります。
ではタワー型のPCなんかではどうかというと、この場合はマザーボードもCPUも机の天板に対して直立している構成がほとんどです。よって、この場合はクーラーは横向きに寝かせて取り付けられることになります。こうなるとうまくヒートパイプの這わせ方を考えないと凝縮した冷媒がホット側に戻ってこないことになります。
例えば、CPUが左側にあり、ヒートパイプが右側にある場合、ヒートパイプを ┒ の形に作ってしまうと、右下に溜まった冷媒はCPU側には戻ってきません。この場合は ┚ こうパイプを配置するべきであります。
この辺りは私がくどくど書く必要もなく、先人たちによって検討されつくしております。
で、ヒートパイプを横や下向きに這わせる場合の対策もとっくの昔に行われております。代表的な策は毛細管現象を使って液化した冷媒をホット側に引き戻すという方法です。
「ヒートパイプ 自作」という非常に魅力的なキーワードでGoogle先生に質問すると膨大な情報が返ってきます。MAKE:にも取り上げられています。
物理的な熱の移動として伝導、対流、輻射の3つがよく取り上げられますが、ヒートパイプの考え方はそのどれとも異なる、いや伝導の拡張型といえばいいですかね、気化に伴うエンタルピー変化と生じた気体のパイプ内の高速移動の相乗効果を使える熱の搬送方式です。そのため体積当たりの熱搬送能力は非常に高いです。が、それも上に書いた「サイクル」が上手く回ってくれるかどうかで決まります。
長々書きましたが、総括すると一般的なヒートパイプを使ったCPUクーラーにも上記対策は行われています。がそれでも設置方向による特性の違いは避けようがないというのが現状のようです。
ではこのような状態のCPUクーラーをペルチェ霧箱に応用するとどうなるでしょうか。
これは簡単で「最も効率が悪そうな」使い方をすることになります。
ペルチェ霧箱のホット側は下側にあります。つまりクーラーが冷やす対象は床でも壁でもなく天井なのです。完全に倒置状態で動作させることになります。この場合冷媒をホット側に戻すのに重力は一切期待できず、というか重力は阻害要因でしかありません。
この辺を頭に入れつつCPUクーラーを使っていくことになります。
こんなこと考え始めると「ヒートパイプ 自作」というのが頭をもたげてくるのですが(笑)あんまり脱線すると収拾がつかなくなるので、ここはまず入手したクーラーをいじくりまわすところから始めたいと思っております。
ではどういじくるかですが、まずは入手した”みら太な日々的には高級な”クーラーの能力評価からでしょう。様々な設置方向と熱源の組み合わせでどの程度の冷却が期待できるかを調べていきたいと思います。
まずは実験系の構築です。MFT2016に霧箱を出展した時に作った温度計を使って温度計測を行います。
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が、センサーをMFTで使った超薄型のもの(二枚しか持ってない)から通常のリードタイプのNTCサーミスタ(たくさんある)に変更します。このサーミスタはチップサーミスタにリード線付けて封止したタイプで、頭の大きさは1mmないくらいですのでまあまあのレスポンスは期待できるだろうと考えております。
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何も考えずに47kΩのものを買ったのをちょいと後悔。薄型のものは10kΩ品なので換算式の計算をやり直す必要があります。これなかなか面倒なのであります。
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長め&細めのリード線を準備し、
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ハンダ付けします。
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センサ部完了。
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基板側コネクタ作ります。
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元よりコネクタ作りは好きでしたが、このカシメ治具入手してから一段と楽しい作業になりました。日圧の純正品は目ん玉飛び出る値段ですが、こちらの中華治具はみら太な日々のレベルにあった良心的なお値段であります。
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買ったのはコレ。ちょいと改造が必要でしたが、送料入れても2000円程度と良心的。
作っていきます。
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芯線と被覆二か所のカシメを一発で行い、ピン全体を押さえますので変形は一切なくきれいに仕上がります。
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出来上がり。
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薄型サーミスタのスケッチのまま接続すると…
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01が薄型サーミスタ、02が今作った47kオームの表示。めっちゃくちゃな温度指してます(笑
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指であっためると変化するので動作はしているようです。あとは換算式ですね。
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換算式についてはたくさん情報がありますので割愛します。例えばこの辺りにやり方が書いてあります。指数表現になっている関係式を温度Tで解いてやるだけです。Arduino の標準環境でも対数系の関数が使えます。以前はmath.hをインクルードしていたような気がしますが、いつの間にか使えるようになってますね。勘違いかな。
紆余曲折の後、(誤差は追及しないとして)それなりの温度表示をするようになりました。
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冷やすとちゃんとそれっぽい値が。
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精度はさておいてとりあえず温度の測定環境はできました。
ペルチェのホット側とコールド側で二本のプローブでいいでしょう。アナログポートは余りまくってますので数増やすのは簡単にできます。
次に駆動側を作ります。
通電しっぱなしでは制御もへったくれもありませんので、PWMで通電できるような駆動回路を作ることにします。
スイッチはジャンクのFET使うことにします。どこから外したのか全く覚えていませんがたくさんあります。
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いずれペルチェを二段スタックにすることを想定して、2チャンネル分作っときます。
同じ品番のFETを探し出しました。
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型番を元にdatasheet探します。それにしてもべんりな時代になったものです。
ひと昔前なら規格表とにらめっこか、そもそも規格表を見にどっかの店に行く必要がありました。
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これでいいかな。
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ユニバーサル基板引っ張り出してレイアウト検討します。
PWM源はArduino nano の中華クローン、これにVRの分圧入れて、その電圧を元にPWMデューティを変化させることにします。
デューティー比はどっかに表示させたいとも思いましたが、そのためにもう一枚LCD使うのももったいないのでモニタ用のLEDのみつけることにしました。こ奴の点滅でおおよそのことは分りますし、正確な値が欲しくなればArduino のシリアルから抜けばいいだけです。ということでこんな感じの構成に決定。
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ヒートシンクと、
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VRの爪はユニバーサル穴には入りませんので、位置決めをしてドリルでバカ穴開けます。
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これらを基準にして全体を作り込んでいきます。
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今回ケチな新たな取り組みとしてアイロンビーズをスペーサ代わりに使うことを検討しました。
アイロンビーズはご存知ですかね。私には娘がおりませんのでいままで直接触る機会はなかったんですが、kama_AGEさんらのこの辺りのご活躍で初めてその存在を知り、店頭でものを見たときにどうしてもM3のスペーサにしか見えず(笑)、その驚安の価格もあっていずれ何かに使ってみたいと思っていた素材です。
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で、今回入手してM3ねじを突っ込んでみたら、あら予想通りぴったりであります。
つか、スペーサとしてはぴったりではいけないのですが、M3の小ねじがちょうどいい硬さでねじ込めるというか、タッピングネジ使っているような感覚で締め込みができるのです。これは良いです。
このアイロンビーズについてはほかにもいろいろアイデアを温めておりますのでそのうち試していきたいと思います。色違いのビーズで文字表示したケース作るとかね。かわいらしいものが出来そうです。
アイロンビーズは、すごく安くて、しかしながらサイズが高精度にそろっていて、色が豊富で、熱で加工が出来て、というお子様たちだけに独占させるのはあまりにもったいない素材です。皆様もなにか考えてみてはいかがですか。
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さて、配線を続けます。
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nanoにピンヘッダつけて、
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基板にはピンソケット立てて抜き差しできるようにします。
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スズメッキ線でGNDラインを配線。
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ゲートからキャリアを抜くための抵抗つけて、
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ゲート抵抗つけて(適当
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その他実装して、
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VCC側と、
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Logicを配線していきます。だんだん見苦しくなって行く(笑
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つまみつけて出来上がり。
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ペルチェは二段で、それぞれ5Vと12Vを印加することになると予想しています。
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温度計測と基板をそろえたのでなかなか良い感じであります。
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次のステップはPWM駆動のためのスケッチと動作テストです。
コメント
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