自作CO2レーザ加工機五号機(大) その15 完成宣言

自作レーザ加工機
  
最終仕上げに入ります。
この場所にY軸のケーブルキャリアを取り付けます。
ここね。
この部分は結構余裕のある作りにしているので、チューブやハーネス類をそのままぶらぶらさせてても問題ないっちゃないんですが、せっかくケーブルキャリアあるし、何より工作機械っぽいんですよねこれがつくと。

ということで、それっぽくモデルを追加します。この部分はそれこそ何にも考えてなかったので構想からスタートです。ケーブルキャリアは頭とお尻だけ支えてやればなんとかなりますが、それだといまいち動いているときの美しさに欠けるのです。機能的には何の問題もないのかもしれません。しかし私の美学が許さないというかなんというか、どうせつけるならきっちり行きたいのであります。
ポイントはキャリアそのものを下から支えてやることです。空中ではなく面の上で動くようにすると言えばいいかな。X軸のキャリアはX軸のアルミフレームを支えとして動いています。同じようにするということです。
肝心のケーブルキャリアがモデリングされていないので何だかわかりませんが、こんな感じです。Y軸のモータ横に出っ張りを作って、そこにキャリアの一方の端を固定、
フレーム側にはテーブル様の板(下図の右側)を設けて、キャリアの他端を固定します。
こうすることでテーブル上面を支えとしてキャリアが上手く、かつ美しく動くはずなのです。

モデリングからdxf吐いてLASERWEB4に読み込み、5mmのクリアアクリルを切り出します。X軸のモータマウントの下回りをごっそり交換しますので、この機会に気になっていたねじ穴位置などを修正しておきます。

で、せっかく光軸調整を済ませたX軸をばらします。もったいない気もしますが、自分で古設計していますからばらすも組むも自在であります。どんなに壊れようが曲がろうが修理できるのがフル自作の素晴らしいところです。

ここが交換対称のモータマウント。

ケーブルキャリアの中にはX軸キャリアを通したエアチューブ、X軸の原点スイッチ、X軸のモータ配線の3種類、計6電気配線+1チューブが通ります。

こいつらです。幅広のキャリアを選んでいますが、結構窮屈です。

配線も一旦ばらしてキャリアの中を通します。
テーブルとなるアクリル板も取り付けて、キャリアの固定を行っていきます。

仮止めしてY軸を動かしてみて無理な力がかからないか、ケーブルが突っ張ってないかなどよく調べます。

大丈夫っぽいのを確認したらねじを本止めして完成です。

動かしてみましょう。
動画でどうぞ。

いやカッコええですね。本格的な「ちゃんとした」工作機械の雰囲気が出てません?
気に入りました。
さて、大物、中物、小物と作業を進めてきましたが、これでおおよそはできました。
制御系の配線とか、隙間が開いたMDFとか細かいことを言い出すときりがありませんので、ここらで完成宣言をしたいと思います。
ということで。
自作レーザ加工機五号機完成です。
完成記念&完成度の確認のためにレリーフを作成します。
モデルはもちろんミクさんであります。
五号機にバージョンが上がったということで、ミクさんのバージョンもV4にアップします。今後デモのモデルはV4xミクさんにお願いしたいと思います。
画像は公式からDL入手したものを使います。相変わらず可愛くていらっしゃる。

で、これをInkscapeに読み込んでトレース&明度分解画像を作ります。

詳しいことは省きます、というかGoogle先生に聞いてください。Inkscapeほんとにすごいソフトです。このソフトを知らないまま人生を終わるのはあまりにもったいないです。しかもフリーなんですよ。

で、SVGファイルを作ったらLASERWEB4に渡します。
LASERWEB4はもう完全に理解しました。なんでもできるのであります。
読み込んだSVGファイルの明度分解イメージを選んでそのパスの内側をLASER Fill Pathモードを使ってハッチングで潰していきます。薄い色は粗く、黒に近づくほどにハッチの間隔を詰め、角度を変えつつ重ね書きしつつなどなど、テクを駆使していきます。

こうして作った階層ごとのGコードを使って450x300mmのシナ合板に描画していきます。
まず最下層。この時点ですでにミクさんです。

以降層を重ねるごとに黒いところはより黒く、新たに描画されるところは若干明るめに書き加えられていきます。

重ね

重ね。太ももの当たりとかスカートのひだの具合とか。

黒が濃くなっていきます。瞳とか。

これでFill Pathの作業は終了です。

ここからは輪郭を描いていきます。動画でどうぞ。
輪郭が入ると全体に締まりが出てじつにじつにいい感じです。ミクさんかわいいです。

完成しました。ここまで描画そのものは20分くらい。なんじゃかんじゃで1時間くらいかかります。

完成品と元となった公式画像。いや素晴らしい出来です。

オーバーニーソの黒は細かな斜めハッチングの集合です。0.3mmピッチくらいで描いているのでほぼ真っ黒に焦げています。

レーザ加工機完成にふさわしいレリーフとなりました。満足です。

記念に工房の部品棚上に飾ることにしました。
ここまでの完成度で加工機を作ることができるとは予想しておりませんでした。
しかもこれが加工できる最大サイズではないんですよ。もうなんでもできそうな気になってきました。TrotecやUNIVERSALにも負けない、というのは言い過ぎかもしれませんが、いい勝負ができると思いますよ。こんなすごいものが数万円、5号機作る前から持っていた分も含めても6~7万円かそこらで出来ていると思います。
さらに忘れてはならないのがLASERWEB4、GRBL-LPC、Inkscape、GIMP、fusion360などの無償利用が可能な超高機能ソフトウェア群です。これらなしにはここまでの完成度にもっていくことはとてもできませんでした。いつも思いますが素晴らしい世の中です。こんな時代を生きることができて私は幸せだと思います。世界中のコミュニティに感謝であります。

さて、ここから先はやや蛇足気味ですが、完成宣言した五号機を使ってマウスパッドを作ってみました。
私が使っているマウスパッドはMDF製で、ミクさんのイラスト、というか線画がレーザで描画されています。6年前に確か1号機で作った奴です。ここにある@cadmikuさんのデータを使わせていただきました。それをV4ミクさんにバージョンアップしたのであります。
作製中のLASERWEB4の画面がこちら。レリーフのデータを簡略化して使っています。

MDF板は結構なヤニというかなんというか、汚れが出ますので前面をマスキングテープで覆ってから描画します。
最下層では何が何だかわからないですね。目だけが見えております。

動画でどうぞ。

かなーりできてきました。

仕上げの外周切断です。LASERWEB4はパワーやスピードが異なる処理を一つのGコードにまとめて出力できます。MACH3ではやりたくてもできなかった処理です。素晴らしい。
完成。
マスキングテープを除去して初代ミクさんのマウスパッドと並べます。初代はずいぶんと使い込んで汚れがひどいです。ようやく新旧交代であります。ミクさんのバージョンも上がっていますが、描画の技法もこの6年間で大きく向上しました。私が初めてレーザ加工機を自作したのはもう7年くらい前の話です。当時はまだGRBLもなかったんじゃないかなあ。3Dプリンタも黎明期で、reprapが頑張ってた頃です。
あらためて素晴らしい環境に恵まれた良い時代になりました。ミクさんマウスパッド見てもそれが証明されるのであります。

ということで、またしばらくミクさんのお世話になりたいと思います。

さて、自作レーザ加工機五号機はこの投稿を持って完成としますが、今後も改善というか修理というか、手を入れながら使っていきたいと思います。

作って良かったレーザ加工機。

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