レーザ加工機のミラー改造

修理、改造

 
新しいレーザ管に乗せ換えてみて思ったのですが、ミラーの調整は思っていたほど気を使う必要がなさそうです。
ということで、より調整がしやすい3点支持の調整機構に換えてみました。

現行の第一第二ミラーは、ジンバル構造を狙って作ったものです。で、これはこれでちゃんと機能しています。ですが、このなんちゃってジンバル構造は調整が難しいのです。いや、ちゃんと作れば3点支持となんら変わらない感覚で使えるはずなのですが、私のものは難しいのです。
どのへんが問題なのかというと、ミラーの回転部分を調整するところです。

現在の第一ミラーはこのような取りつけになっております。

台座への固定とミラーのあおり調整ネジです。
で、この台座への固定部分が面倒なのです。第一ミラーはレーザの射出方向に対して45度傾けて取り付けられ、ビームを90度曲げる働きをします。この角度を調節するには台座のネジをゆるめにしてちょいちょいとミラーを突っついて動かしているのですが、これが難しいのです。ちゃんと送りねじとバネか何かで微調整が出来るように作ればよかったのですがサボりました(笑
曲げすぎ、戻しすぎを繰り返した挙句に、ここだというところをようやく見つけます。んでその位置でミラーを固定するためにネジを締めこむとミラーがちょっと回転してずれると。でまた緩めて再調整して…というループに落ちます。

「ここは何とかしなくちゃな」と思っていたところでしたので、ミラーの調整が思いのほか適当でよいということがわかった今回、改造することにしました。
市販のレーザ加工機のミラーがほぼすべて3点支持構造になっているのを見て「なんという手抜き」とか思っていたのですが、合理的な設計だったのですね。

では設計です。こちらが現在の構造。結構シンプルでよい設計と自画自賛していたもの。

で、いきなりですが3点支持版。ネジ三本で平面をひとつ定義し、その面にミラーを乗せます。そのままだとミラーが落っこちますので、ミラーにバネを取り付けて、

こんなふうに後ろから引っ張ってやります。

透視図。
現行のなんちゃってジンバルは、アルミのL材に穴を開けてM3のタップを立てていたのですが、今回はナットを使って手抜きすることにしました。
下の図のグレーの部材は3Dプリンタで出力します。でその部材の三ヶ所にM3ナットを埋め込んでネジを通す構造にします。中央にはバネを引き出すための大穴を開けます。

部材をプリントします。

プリントが進む間に現行ミラーをばらします。

最初はこのLアルミを流用しようと思ったのですが、ネジ穴は別の位置にありますのでこれを使うと穴だらけになります。ということで全部作り直すことにしました。

L材を新たに切り出します。のこで切ったのですが、ずいぶん切るのがうまくなりました。
…….うそです。二回失敗した挙句のものです、しかも曲がったところにやすりをかけてごまかしております(笑

ミラーも大きなものに換えます。やはりHDDのプラッタです。
ミラーそのものは中華で2500円くらいで購入できるのですが、そこはそれこのブログの趣旨でありますので、ジャンクにこだわります。
このミラーもそのうち銅/金の合金スパッタを施して反射率を上げる計画です。

台座を外します。
このような改造のことを想定して台座は接着剤を使った固定をしておりません。

ジャンクバネ入れをのぞいてよさげなモノを探します。

この辺が候補かな。

とかやっているうちにプリントは進み、

出来上がります。

さて、ナットを打ち込もうとしたのですが….

ぜんぜん穴のサイズが合っていません。
このあたりがFDM方式3Dプリンタの問題ですね。M3のナットは対角が6mmなので、0.4mmくらい大きめに出力したのですが、まだ小さすぎました。

ということでやり直しです。さらに1.2倍、設計値はナットより1mm以上大きくして出力します

これでようやくぴったりです。
そのうちタップの下穴表みたいに各ネジサイズに合わせた設計値一覧を作る必要がありますね。

これを先ほどのL材に仮固定して穴位置を出します。

ちょいと大きめの4mmφの穴を開けます。

真ん中の穴はM4の穴をリーマーで広げて調整します。

プリント部材をL材に接着します。このときM3のナットを閉じ込めるのを忘れずに。

次にミラーにバネを付けます。
まずエポキシで山を作って、

硬化した山の上に短く切ったピアノ線を心棒にしてバネを取り付けます。

さいしょにエポキシの山で心棒とミラーの間に隙間を作っていますので、ばねは自由に動くことが出来ます。

あとは組み立てです。 …….で、組み立てたのですが、ドローっとエポキシが伸びてバネが取れてしまいました。そうです、冬は硬化が遅いんです。

待ちきれないので別の方法に変更します。
こんな感じにゴムの小片をミラーの裏に瞬間接着剤で接着し、ゴムに心棒を刺してバネをつけました。ゴムと瞬間接着剤の相性は抜群です。文字通り瞬間に固定されてびくともしません。
ということでこちらを採用します。

組み立てました。

バネの他端は爪楊枝を切った木片で引っ掛けます。

上から。いい感じです。ネジを回すと簡単にミラーの角度を調整できます。
もちろんジンバル構造ではありませんので、どのネジを回してもレーザの反射点は前後に動いてしまうのですが、そのあたりがどうでもいいようなのです。

二つ作って、

取り付けます。こちらは第二ミラー。

だいたい45度にしておきます。

こちらは第一ミラー。こちらもおおよそ45度に固定して本体に取り付けます。

で、調整ですが、これが拍子抜けするくらい簡単です。
おおよその角度は出ていますので、あとはスポットを見ながらネジをちょいちょい回すだけ。
キャリッジをワーキングエリアのあちこちに動かして、どの位置でも同じ場所にスポットが出来るように調整するだけです。
全く位置が出ていない状態から10分もかからずに調整が完了しました。すばらしい簡単さ。

ミラーも大きくなりましたので、第二ミラーから第一ミラーを見ると、ばっちりレーザの射出口が見えます。

 ちなみに、ミラーはバネでネジに押し付けられ(引っ張りつけられ?)ているだけですので、このように引っ張るとぐらぐらです。

早速描画テスト。いつものミ(略 問題なく描画できております。

 

以上でミラーは改造を終了です。
なんかどんどん中華レーザの構造に近づいていっておりますが、それだけ市販品は合理的に出来ているということなのでしょう。

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