レーザ管弐号機作製と光軸調整

自作レーザ加工機

 
さて、本業に取り掛かります。

一号管の光軸調整がうまく行かなかった問題をいろいろと工夫していたのですが、結局全部作りなおす事にしました。
冷却はとりあえず無しで、短時間でも良いから発振だけを目指す弐号管を作製します。

このときに作りなおしてシリコン窓を取り付けたミラーマウントモジュールです。
黄銅チーズのサイズが合うものがありませんでしたので、とりあえずプラのチーズを使ってみる事にします。最終的には金属に変えるつもり。

ミラー角度調整用のシリコンOリングを挟みます。

こんな感じ。ミラ-はまだつけていません。

これを適当な木片にネジ止めします。プラのチーズにはネジ止め穴がついているので固定は楽です。

ガラス管を取り付けて木片を固定します。
今回は外径10mm、内径8mmのガラス管を使いました。1号管の6mm/4mmはちょっと扱いにくいのです。最終的にどうするかは実験結果を見ながら決めます。ちなみに海外での作成例ではこのサイズのものがほとんどです。

短い。300mm位かな。まあ、実験は出来るでしょう。

光軸調整に入ります。
まずレーザ管両端のチューブに調整弁をつけます。こちらは真空引き側。

前回の反省を受け、今回は真空引きをした状態でミラー角度の調整を行います。
光軸調整に使う基準レーザは半導体の赤。

 

向こう側の木片にレーザ管を貫通した基準レーザのドットが見えます。

ここで、下のようなガラスとミラー、Oリングを準備します。ここからが今回の工夫。
これをレーザ管の両端に取り付け、管を真空引きします。基準レーザの入り口側を透明なガラスに、そして反対側をミラーにします。こうすればレーザ管を真空に引いていても基準レーザはガラス板を通過してレーザ管内に入り、反対側のミラーで反射して戻ってきます。

ガラス板側(基準レーザ入射側)はこんな感じ。ガラス板の真ん中に基準レーザのドットが見えます。

さて、そしてこれが今回の工夫その2。ビームスプリッタ。といってもガラス板を基準レーザの光路に斜めに置いただけですが。
考え方は光学屋さんにはおなじみのものです。ちょいと面倒ですが、以下説明です。

  • 基準レーザから出たビームがビームスプリッタに当たる。
  • ビームはスプリッタで反射と透過に分割され反射されたものは写真の手前側に出てくる(この反射ビームは今回は使いません)。透過したものはレーザ管の入り口側に取り付けられたガラス板に当たる。
  • レーザ管の入り口側に取り付けられたガラス板の表面でも反射と透過が起きる。透過されたものはそのままレーザ管内に入る。
    反射されたビームはビームスプリッタ方向に戻り、ビームスプリッタで再び透過と反射に分割される。
  • ビームスプリッタを再び透過したビームは基準レーザモジュールに戻る(これも使わない)。反射したビームは写真奥にある木片の表面に当たりドットを作る。
  • さて、レーザ管の入り口側に取り付けられたガラス板を透過してレーザ管の中に入ったビームは反対側のミラーで反射される。そしてうまい具合にほぼ反対側に反射された場合はまた入り口側ガラス板まで戻り、ガラス板を透過してビームスプリッタに当たる。
  • そしてビームスプリッタで再再度透過と反射に分割され(面倒になってきた)反射されたビームは木片上にドットを作る。

わかりにくいと思いますので、図で説明します。厳密にはビームスプリッタの表裏両面、レーザ管のガラス板の表裏両面では反射と透過が起こり、光の分割は非常に複雑なものになるのですが、ここではその中から調整に使うビームのみを取り出して説明します。

上は調整前の状態の模式図です。
ミラー(黄色)がうまく調整されておらず傾いていると、ミラーからの反射光はガラス板からの反射光とこのような位置関係になります。
写真に説明を加えると下のような感じです。
この状態からミラーを調整して光軸がぴったり合うと、ミラーで反射した光はやってきた方向とちょうど反対側、すなわちガラス板上のビーム入射点に戻ってきます。そしてそのままガラス板を抜けてビームスプリッタにあたり、木片上でガラス板からの反射光が作るドットとぴったり重なります。
これを模式的に説明したのが下の図です。

写真でみるとこんな感じになります。
ドットが重なっています。

調整の様子を動画でご覧ください。

調整が済んだら反対側から同じことをやります。
これで両端のミラーが調整された事になります。

ガラス板と調整用のミラーを外し、本番用のミラーとシリコン窓付きの出力側ミラーを取り付けます。

完成版はこんな感じ。光取り出し側。

完全反射ミラー側。

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